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第二章 反撃のサナフ教国
第百十一話 我輩の散歩(六)
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マウマウの山が一つできている路地裏にて、我輩、母娘がしっかりと食べ終えるのを見計らってから声をかける。
「にゃ? (もう大丈夫であろうか?)」
「みにゃあ。みにゃー(はい、大丈夫です。貴重な食料まで、ありがとうございました)」
「みっ(ありがとっ)」
「にゃあ。にゃーにゃ(どういたしましてなのだ。ところで、少し聞きたいことがあるのだが良いだろうか?)」
「みにゃっ(もちろんですっ)」
「みー(もちろんー)」
母親の真似をするミィを微笑ましく思いながら、我輩、口を開く。
「にゃーにゃあ(マウマウがこんなに多いのが普通なのかということと、他の同胞達がどうしているのかを聞きたいのだ)」
問いかけると、レディは少し考えた後にそっと告げる。
「みにゃ……みにゃあ(マウマウですか……マウマウは昔から大量に居て、私達猫を脅かしています)」
その瞳に悲しみの色が見えた気がした我輩は、もしかしたら、マウマウによって大切な者を亡くすことになったのかもしれないと感じる。
ふむ、だがそうなると、ここは意図的にマウマウを増やされたわけではなさそうなのだ。
我輩、そうして考えを整理しながら、続きを話そうとするレディに注目する。
「みにゃー? みにゃあ……(あぁ、あと同胞の方、でしたか? 申し訳ありませんが、私は竜のことは良く知らなくて……)」
うむ、違うのだ、レディ。我輩、猫なのだ。だから、猫のことが知りたいのだ。
そうは思っても、我輩、口には出さない。髭は少しだけピクピクしているかもしれないが、純粋に我輩が竜であると信じているレディを前に、夢を壊すことはできない。
「にゃ。にゃあ。にゃにゃ(申し訳ないのだ。言葉が足りなかったのだ。我輩、猫のことを聞きたいのだ)」
そう聞き直せば、レディもまた謝罪してくる。
「みにゃっ。みにゃあ。みにゃにゃ(そうでしたのねっ。すみません。えーと、私達の仲間なら、上で暮らしていますよ)」
「にゃ? (上?)」
「みにゃ。みにゃあにゃ(そうです。建物の上ならば、私達猫は建物を渡ってマウマウから逃げられますので)」
言われてみて、我輩、戦いの中でのマウマウのジャンプ力が、あまりたいしたことのないものだったことを思い出す。つまりは、同胞達はそこを突いて、逃げられる場所を確保したということなのだろう。
「みにゃあにゃあ。みにゃにゃ(ですが、食べ物の確保となるとどうしても地上に降りなければならないのです。しかも、子供にはそこまでの跳躍力がなく、上には雄も多く居て、私達のような者は、上で暮らすのは難しいのです)」
続けられた説明に、我輩、ようやくこの母娘がこんな場所に居る理由を知る。どうやら、ミィを守るためにはやむを得ないことだったらしい。ただ……。
「にゃにゃあ? (ここに降りてきて、まともに食べ物を得られるのか?)」
どう考えても、それは難しいことのように思えた。
「……みにゃあ(……雄雌にかかわらず、食料を手に入れられない者が多いのが現状です)」
つまりは、飢え死にする同胞が多いということ。それに我輩、どうしようもないやるせなさを感じる。
きっと、我輩が頑張ってマウマウを倒したところで、いつかまたマウマウは増えるだろう。そして、同胞達はまた、苦しめられることになるのだ。
「にゃあ……(そうで、あるか……)」
何とかしてやりたいとは思うものの、我輩、いつまでもここにいるわけにはいかない。我輩には、使命がある。大仰で、あまりにも重いそれは、投げ出すわけにはいかない。
これは、バルディスに相談なのだ。
我輩の頭脳は、どうしてもバルディス達ほどのものではない。だから、我輩、精一杯甘えるのだ。
この後も、我輩、レジスタンスのことや、ミルテナ帝国の騎士達のことを聞き、情報を取り揃えたところで、『私達は大丈夫ですから』というレディの言葉に押されて渋々別れることとなる。
手に入れた情報は、どんな人間がどんな行動をしているかという情報ばかりで、目ぼしいものは少なそうではあったが、我輩は何度も礼を言った。なぜならそれは、過酷な環境を生き抜き、手に入れた貴重な情報なのだから。
そうして我輩、早くバルディスに相談して、同胞達の環境を改善できないかを聞こうと心に決め、砂漠へと戻るのだった。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
今日はちょっと早めに更新ですっ。
今回は、よっぽどか、『我輩、竜ではないのだっ』というタイトルにしようかと思いながらも、『我輩の散歩』で通しました。
とりあえず、今日で『我輩の散歩』は終わりです。
次は、レジスタンスの活動の方に話を戻していこうと思います。
それでは、また!
「にゃ? (もう大丈夫であろうか?)」
「みにゃあ。みにゃー(はい、大丈夫です。貴重な食料まで、ありがとうございました)」
「みっ(ありがとっ)」
「にゃあ。にゃーにゃ(どういたしましてなのだ。ところで、少し聞きたいことがあるのだが良いだろうか?)」
「みにゃっ(もちろんですっ)」
「みー(もちろんー)」
母親の真似をするミィを微笑ましく思いながら、我輩、口を開く。
「にゃーにゃあ(マウマウがこんなに多いのが普通なのかということと、他の同胞達がどうしているのかを聞きたいのだ)」
問いかけると、レディは少し考えた後にそっと告げる。
「みにゃ……みにゃあ(マウマウですか……マウマウは昔から大量に居て、私達猫を脅かしています)」
その瞳に悲しみの色が見えた気がした我輩は、もしかしたら、マウマウによって大切な者を亡くすことになったのかもしれないと感じる。
ふむ、だがそうなると、ここは意図的にマウマウを増やされたわけではなさそうなのだ。
我輩、そうして考えを整理しながら、続きを話そうとするレディに注目する。
「みにゃー? みにゃあ……(あぁ、あと同胞の方、でしたか? 申し訳ありませんが、私は竜のことは良く知らなくて……)」
うむ、違うのだ、レディ。我輩、猫なのだ。だから、猫のことが知りたいのだ。
そうは思っても、我輩、口には出さない。髭は少しだけピクピクしているかもしれないが、純粋に我輩が竜であると信じているレディを前に、夢を壊すことはできない。
「にゃ。にゃあ。にゃにゃ(申し訳ないのだ。言葉が足りなかったのだ。我輩、猫のことを聞きたいのだ)」
そう聞き直せば、レディもまた謝罪してくる。
「みにゃっ。みにゃあ。みにゃにゃ(そうでしたのねっ。すみません。えーと、私達の仲間なら、上で暮らしていますよ)」
「にゃ? (上?)」
「みにゃ。みにゃあにゃ(そうです。建物の上ならば、私達猫は建物を渡ってマウマウから逃げられますので)」
言われてみて、我輩、戦いの中でのマウマウのジャンプ力が、あまりたいしたことのないものだったことを思い出す。つまりは、同胞達はそこを突いて、逃げられる場所を確保したということなのだろう。
「みにゃあにゃあ。みにゃにゃ(ですが、食べ物の確保となるとどうしても地上に降りなければならないのです。しかも、子供にはそこまでの跳躍力がなく、上には雄も多く居て、私達のような者は、上で暮らすのは難しいのです)」
続けられた説明に、我輩、ようやくこの母娘がこんな場所に居る理由を知る。どうやら、ミィを守るためにはやむを得ないことだったらしい。ただ……。
「にゃにゃあ? (ここに降りてきて、まともに食べ物を得られるのか?)」
どう考えても、それは難しいことのように思えた。
「……みにゃあ(……雄雌にかかわらず、食料を手に入れられない者が多いのが現状です)」
つまりは、飢え死にする同胞が多いということ。それに我輩、どうしようもないやるせなさを感じる。
きっと、我輩が頑張ってマウマウを倒したところで、いつかまたマウマウは増えるだろう。そして、同胞達はまた、苦しめられることになるのだ。
「にゃあ……(そうで、あるか……)」
何とかしてやりたいとは思うものの、我輩、いつまでもここにいるわけにはいかない。我輩には、使命がある。大仰で、あまりにも重いそれは、投げ出すわけにはいかない。
これは、バルディスに相談なのだ。
我輩の頭脳は、どうしてもバルディス達ほどのものではない。だから、我輩、精一杯甘えるのだ。
この後も、我輩、レジスタンスのことや、ミルテナ帝国の騎士達のことを聞き、情報を取り揃えたところで、『私達は大丈夫ですから』というレディの言葉に押されて渋々別れることとなる。
手に入れた情報は、どんな人間がどんな行動をしているかという情報ばかりで、目ぼしいものは少なそうではあったが、我輩は何度も礼を言った。なぜならそれは、過酷な環境を生き抜き、手に入れた貴重な情報なのだから。
そうして我輩、早くバルディスに相談して、同胞達の環境を改善できないかを聞こうと心に決め、砂漠へと戻るのだった。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
今日はちょっと早めに更新ですっ。
今回は、よっぽどか、『我輩、竜ではないのだっ』というタイトルにしようかと思いながらも、『我輩の散歩』で通しました。
とりあえず、今日で『我輩の散歩』は終わりです。
次は、レジスタンスの活動の方に話を戻していこうと思います。
それでは、また!
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