我輩は紳士である(猫なのに、異世界召喚されたのだが)

星宮歌

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第二章 反撃のサナフ教国

第百十三話 混乱の町

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 俺は、ノルじいとバルディスに町の偵察に行く旨を報告した。どうしても、町の様子をこの目で確かめたかった。そして、嫌な予感の正体も知りたかった。


「ふうむ、ロッダ様に関してはワシに任せるが良いぞ」

「分かった。それなら、タロも一緒に連れていけ。きっと、役に立つだろうから」

「にゃ」

「分かった」


 俺は、よろしくとでも言っていそうなタロを渡されながらうなずく。

 竜が側で味方してくれるなら、心強い。


「にゃにゃあ」


 そして、タロが何かを言った途端、目の前の景色が変わった。おそらく、町に転移したのだろう。やはり、賢い竜だ。


「まずは、状況把握と、仲間の安否確認、あと、ジルク副隊長の捜索をする。良いな」

「にゃっ」


 町は、混乱に包まれていた。どこからか発生した火によって、いくつもの建物が焼けている。人によっては、野次馬になって火事を眺めている者も居たが、騎士が側に近づけばそそくさと逃げていく。


「ここは……」


 ひとまず、どこで火事が起こっているのかを把握しようと見てみると、そこは、今日の朝までアジトにしていた場所だった。


 どうやら、騎士どもの攻撃で間違いなさそうだな。


 先程から見ていると、騎士達は消火活動に協力していない。消火しようとしているのは、主に近隣住民達だった。それを見るだけでも、騎士達がこの火事を仕組んだものだと分かる。


 ただ、煙が出てるのはここ以外にもありそうだな。タロは……よし、着いてきてるな。なら、行ってみるか。


 途中で出会ったレジスタンスの仲間には、落ち着いて行動し、レジスタンスだとバレないように気を付けるよう言い渡しておく。変に騒いで捕まって、情報がもれるのは避けたいところだった。

 そうして走り回って元アジトの全てを確認すると、やはり、その全てが炎に包まれていた。ついでに、いつの間にか、タロとははぐれてしまっていた。


「しまったな……」


 帰るにはどうしてもタロの転移が必要だ。今はまだ、ジルクを見つけていないものの、見つけたらすぐにでも帰るつもりだった。
 レジスタンスとして顔がバレているわけではないものの、こうも騎士達がウロウロしている中を歩くのは気味が悪い。


「とにかく、ジルクの奴を探すか」


 そう思って踏み出すと、ふと、聞き覚えのある声が聞こえた気がした。


「ん?」


 振り返ってみると、ジルクらしき後ろ姿の人物が路地裏に入るのを見つける。
 一瞬、声をかけようかと思ったものの、それをするには大声を出す必要がある。騎士達がうろつく中、目立つ行動は控えたかった。


「仕方ねぇな」


 だから、俺はジルクらしき人物の後を追った。まさか、あんなことになるとは思わずに……。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


二話連続リリナ視点。

そして、明日の更新もリリナ視点……もしかしたら、後半タロ視点かもしれません。

ただ、ちょっと明日は更新できるかどうか不明です。

できなければ明後日更新しますので、お待ちくださいね。

それでは、また!
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