我輩は紳士である(猫なのに、異世界召喚されたのだが)

星宮歌

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第二章 反撃のサナフ教国

第百三十六話 砂漠の中の作戦(三)

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 リリナ以外信じない。リリナ以外は敵だ。……そう、本気で思って、僕はレジスタンスに入った。だから、今のこの状況も納得できる、はずだった。


「こいつの命が惜しいなら、そこの猫を殺せっ」


 僕達の元に、手を振りながら近づいて、騎士達が全員無力化されていると分かるや否や、彼は、ハーグは豹変した。一番近くに居た僕を人質に取り、タロの命を要求してきたのだ。


「ハーグ隊長、これは、どういうことだ?」


 震えそうになる声で、僕は屹然とハーグを問いただす。
 ハーグは、時々行き過ぎることはあるものの、忠義の人だと思っていた。裏切りとは遠い人だと、勝手に思っていた。しかし、それは違った。ジルクに教えてもらったばかりというバルディス達やノルディ達の話を聞いてもまだ信じられなかったが、今は信じざるを得ない。


「はっ、俺は最初から、帝国側の人間ってわけですよっ」


 僕の言葉を鼻で笑い、嘲るハーグ。それは、今まで見てきたハーグの姿とは全く異なるもの、裏切り者の顔だった。


「ふむ、こうも簡単に釣れるとはな」


 ハーグの様子にショックを隠せないでいると、何やらバルディスが険しい顔でハーグを見て言う。


「? 何を言って……むぐっ!?」

「捕縛、完了」


 その声と同時に、僕はハーグの拘束から解き放たれる。


「えっ?」


 振り返ってみれば、そこには、ディアムが影を用いてハーグをぐるぐる巻きにしている姿があった。


「いつの間に……」

「ハーグ、来た瞬間から、狙ってた」

「ロッダ様っ、ご無事ですかっ」

「ちょっ、ノルディさんっ、騎士達踏んでますよっ」

「にゃっ!」


 ディアムに答えをもらうと、すぐさまノルディ達が僕の元へと走ってくる。……ノルディは、号泣しながら落とし穴から引き上げ、地面に転がしていた騎士達を踏みつけ、こちらへ向かってきていた。……少し怖い。


「ロッダ様ぁぁあっ」

「ノルじいっ、ちょっ、顔が怖いっ」

「ロッダ様ぁぁあっ」

「だ、誰か、助けてっ」


 僕に抱きついてこようとするノルディを、僕は懸命に押し留める。何が悲しくて、顔面が崩壊した老人の抱擁を受けたいと思うのだろうか。僕は、必死に抵抗して、バルディス、ディアム、ジルクの内の誰かに助けてもらおうとする。


「すみません。僕、ノルディさんが怖いので」

「右に同じく」

「同感」


 救助要請を三人ともに断られた僕には、なすすべがない。


「ロッダ様ぁぁあっ」

「~~~っ!?」


 ギュムッと音がしそうな程に抱き締められ、僕は声なき悲鳴を上げるのだった。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


本当の裏切り者はハーグでしたー。

そして、次回は多分、タイトルを変える……はず?

この続きであることには変わりないですけどね~。

それでは、また!
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