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第二章 反撃のサナフ教国

第百五十三話 クーデター前日(二)

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 クーデターの決行。それは、必然的に決まったものだった。
 決定打になったのは、この、元サナフ教国に
駐留していた大隊が、二つの中隊のみを残してミルテナ帝国へと帰還するという情報だった。あの異常な場所を調べた日、ちょうどその話を耳にすることとなり、後日、ディアムがその真偽の確認を行った結果が今なのだ。


「にゃあ? (大丈夫なのだろうか?)」


 情報を受けて、好機と捉えるのは良いものの、素早すぎる行動に、我輩、不安も覚える。バルディスに言わせれば、これでも決定が遅い方だということらしいのだが、我輩、今までのんびり生きてきたため、ここまで早い行動には戸惑いを隠せない。


「大丈夫だ。タロ」


 我輩の言葉に応えて、頭をワシャワシャと撫でてくれたバルディスは、詳しい作戦を立てるべくロッダへと視線を移す。


「それで、作戦はどうするつもりだ? こちらの人数は変動はほぼなしで約二百、敵は二個中隊だから、約四百。倍の戦力差をどう覆す?」


 大隊ではなくなったとはいえ、その人数の差は顕著だ。何か作戦でもない限り、その差は埋められないらしい。


「あぁ、それに関しては、ノルディから説明してもらう」

「はっ、それでは説明しますの。まず前提として、我々は構成員の七割が元サナフ教国の騎士であり、戦う術を知っている者達です。つまり、約百四十。それが、実質的な我々の戦力。そして、そこから導き出せる作戦は、夜間における奇襲作戦となる」


 堂々と説明するノルディに、我輩、分からない言葉が所々あるものの、どうにか理解に努める。


「ただ、その前提に、竜であるタロ殿の力を借りたいと思っておるのです」


 そうして、理解しようとしている中で、突然、我輩の名前が呼ばれてどういうことか分からずにバルディスを見る。もはや、竜であると思われていることに関しては、突っ込む気力もないのでスルーだ。


「……それは、具体的にはどういうことだ?」

「タロ殿に本来の姿に戻ってもらい、詰め所へと強襲をかけることから始め、その対応に追われたミルテナの騎士達を、背後から奇襲するというものですの」


 本来の姿? 我輩、姿を偽ってはいないのだが?


「……」
「……」


 意味が分からず混乱していると、バルディスと、いつの間に現れたのか分からないディアムから痛いほどの視線を受ける。


「にゃ? (どういうことなのだ?)」

「……すまないが、ノルディ。少し、こちらでも話し合いをさせてくれ」

「むぅ、確かに、タロ殿の負担が大きい作戦ではありますからの。存分に話し合うと良いでしょう」


 そうして我輩、バルディスになぜか首根っこを掴まれて持ち上げられると、その腕の中にスッポリと収まったまま別のドームへと移動するのだった。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


竜と思われていた弊害がこんなところで!?

さて、果たしてタロは竜になれるのでしょうかっ(笑)

それでは、また!
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