我輩は紳士である(猫なのに、異世界召喚されたのだが)

星宮歌

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第二章 反撃のサナフ教国

第百五十八話 もたらされた情報

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「にゃーごろごろ(うむ、気持ちいいのだ)」


 我輩は今、バルディスの膝の上でたっぷり撫でられ、ご満悦だった。

 クーデターは大成功。ミルテナ帝国の騎士はあらかた排除し、セイクリア教国の後押しによって、ロッダは新たな教皇として立つことが決まった。そして、クーデターが終わった直後にロッダの欠片の回収も済み、もう、他にやらなければならないことはラーミアを待つことのみになっていた。


「それにしても、ロッダは随分歓迎されているんだな」


 クーデターが成功したことで、あのドーム群は不要となり、今は我輩達、街中で宿を取って、そこで休んでいる。そして、ロッダが教皇になることが決まってからは、街はお祭り騒ぎだった。


「にゃっ(マウマウも減って良かったのだっ)」


 未だにマウマウの数は少ないとは言いがたい。しかし、それでも徐々にその数が減っていることは分かっていた。クーデターが終われば、マウマウの数も減ってくるだろうというバルディスの予想は間違いではなかったのだ。


「あぁ、マウマウは人間にとっても厄介な魔物の一種だからな。街に活気が戻れば、マウマウ退治の罠くらい張るようにもなるさ」

「にゃ? (マウマウが魔物?)」

「知らなかったのか? マウマウは、ネズミ型の魔物だぞ? 疫病の元になるから、ギルドなんかで討伐依頼なんかもあったりするんだ」

「にゃ? (ギルド?)」

「……そうか、冒険者ギルドも知らないのか」


 マウマウは人を襲うこともある凶暴な魔物であり、冒険者ギルドとは、主に魔物の討伐や採取などを請け負う機関らしい。そうして、この世界の常識講座を受けていると、にわかに外が騒がしくなる。


「にゃ? (何かあったのだろうか?)」

「ふむ、見てみるか」


 今はディアムをロッダの護衛につけているため、我輩とバルディスしかこの部屋には居ない。バルディスが『見てみる』と言うのであれば、自然と我輩もそれに付き従う形となる。


「にゃっ(分かったのだっ)」


 ヒョイッとバルディスの膝から下りて……ミシッという音がしたような気がするのを無視して、我輩、扉の前までいそいそと駆ける。


「にゃあっ(さぁっ、行くのだっ)」

「あぁ、そうだな」


 そうしてバルディスが扉を開けようとした瞬間だった。


「バルディス殿っ! おぉっ!?」

「にゃっ!? (ふぬっ!?)」


 先にその扉は慌てた様子のノルディに開けられて……扉に寄りかかっていた我輩は、扉に引きずられて倒れた直後、ノルディの足を引っかけて、転ばせてしまったのだった。

 ドスンという音とともに、ノルディは派手に地面へと倒れ込む。我輩はというと、案外プリティなボディのおかげで痛みもなく、ただ驚いて丸まってしまうだけだった。


「あー、大丈夫か? ノルディ?」


 恐る恐る尋ねるバルディスに、倒れていたノルディはカッと目を見開き、即座に立ち上がる。


「大変ですぞっ、バルディス殿っ!」

「にゃあ? (どうしたのだ?)」


 バルディスに迫るノルディは、どこか鬼気迫るように見えて、ちょびっと怖い。きっと、迫られているバルディスは、もっと怖いことだろう。


「な、何が、あったんだ?」

「それが、リリナが帰ってきたのですが――――」


 そうして聞き出した内容に、我輩もバルディスも顔色を変える。

 『ラーミアがセイクリア教国で捕まった』それは、その情報は、とても最悪なものだったのだから……。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


今回で、やっとラーミアのことが出てきます。

次回がリリナに詳しく内容を聞く回になりそうです。

次の話に繋げるため、頑張って書きますね。

それでは、また!
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