我輩は紳士である(猫なのに、異世界召喚されたのだが)

星宮歌

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第三章 セイクリア教国の歪み

第百七十八話 我輩のささみ

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 『入らずの祠』。そこは、町外れにある、そこそこ大きな洞窟のことらしい。バルディスの聞き込み調査によってそれが分かった我輩とバルディスは、さすがに今日はもう遅いということで、宿に戻ることにする。ディアムは、あの男どもの拷問が終わればすぐに宿へ戻ってくるそうなので、そこで作戦会議となりそうだった。ただ……。


「ふにゃん(旨いな)」


 どういうわけか、ブチは我輩達に着いてきて宿屋まで来ていた。何でも、ボスとの仲介役になってくれるらしかったが、今見る限りでは、ただ食べ物をねだりに来ているようにしか見えない。事実、ブチはバルディスからもらったささみにご満悦だ。……我輩は、心配をかけさせたという理由で取り上げられてしまったにも拘わらず、だ。


「にゃー……(我輩のささみ……)」

「ふにゃ(そんなのあの男に言え)」


 涙目で無惨に食い散らかされるささみを見ていると、ブチは鬱陶しそうに一蹴する。
 もちろん、抗議しなかったわけではないものの、バルディスは一歩も譲らなかった。我輩が誘拐されて、どれだけ心配だったのかを懇切丁寧に説明されては、我輩も強くは出られない。結果、我輩のご褒美だったはずのささみはブチのものとなってしまったのだった。


「にゃー……(ささみ……)」

「タロ、そろそろディアムが帰ってくるから、切り替えろ」

「にゃー……(ささみ……)」

「ふにゃー(無駄っぽいぞ)」

「…………はぁ」


 我輩の様子に頭を抱えるバルディスだったが、我輩、今、傷心中なのだ。放っておいてほしいのだ。


「まぁ、ディアムが帰ってくるまでなら良いか」


 そして、バルディスは我輩を慰めることもせずに放置する。


 ……これはこれで寂しいのだ。


 贅沢な悩みを抱えたまま、少しばかりの時を待っていると、ディアムが帰ってくる。


「ただいま、帰還」

「あぁ、それじゃあ情報の確認といこうか」

「御意」

「ふにゃん(おう)」

「……にゃ(……分かったのだ)」


 ささみはとてもとても恋しい。しかし、それはラーミアのことよりも重要というわけではないので、我輩、どうにかこうにか切り替える。ちなみに、ブチはただ返事をしたかっただけだろう。今は、腹を見せてゴロンと転がっていた。


「それじゃあ、まずはタロの情報から聞きたい。良いか?」

「にゃっ(分かったのだっ)」


 そうして、我輩、集めた情報を話し始めるのだった。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


「にゃー……(我輩の、ささみ……)」

はい、今回はタロのお仕置き回でした。

ささみ抜きはタロに相当なダメージを与えた模様。

タロの好物、第一位はささみですからね。

次回は、今度こそ情報整理の回になる……かなぁ?

ちょっと他のことも考えているので、確約はできませんが、多分、そんな感じの話も出てくるはず?

あっ、そして、明日と明後日は、もしかしたら更新できないかもしれません(できたとしても時間がいつもと違うかも?)

ちょっと所用がありまして、難しいかもです。

六日にはちゃんと更新しますので、よろしくお願いします。

それでは、また!
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