生殺与奪のキルクレヴォ

石八

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第2章

黒き誠

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 太陽が登り、だんだんと馬車内が蒸し暑くなるお昼時。

 蓮花は身にまとっていた黒いローブを脱ぎ、畳みながらリーデの外壁を右から左へと見渡す。


「見て梨奈ちゃん、高い壁が空に向かって建ってるし外壁下部にある水がとても綺麗だよ……」

「うん、なんて言えばいいのか分からないけど……幻想的? だね」

 改めて近場で見るリーデに2-3の生徒たちは皆興味津々なのか、日本では見たことのない建築物にただ口が塞がらなかった。

 前の方では男子が馬車から乗り出して窓のふちの部分に座ってはしゃいでいた。

 『危ない』と指摘しても返答はおちゃらけており、わざと落ちるような動作をする者も居た。

 そんな男子たちに呆れつつも、初めて見る城以外の建物に皆は早くリーデを観光したいとウズウズしていた。


「私の『美化びか』を使う必要のないくらいの美しさね……」

 吉井瑠美よしいるみの持つ『美化びか』は、どんな汚いものも綺麗に美しく帰ることができる。

 塵や埃、カビなどはもちろん。
 水に溶けてしまった毒なども時間をかけることで浄化することができるのだ。

 他にも錆びてボロボロになった金属製品の錆を取って新品同様にしたり、土から有害物質を取り除いて食べれるようにすることもできないことはない。

 あとは本人の問題かは不明だが、汚ければ汚いほどその物に反応しやすくなるのだ。


 そして吉井は汚い心も反応するのではと考えつき、風呂から上がり男子の前に行ったのだが、塵や埃の時よりも『汚いセンサー(仮)』が異常反応したのだ。

 やはり男子は男子、風呂上がりの少し艶かしくなった吉井にただ少し卑猥な目つきをチラチラと送ってしまうのだ。

 『美化(びか)』のスキルがどこまで有効かはまだ吉井本人も気づいてないのだが、自分の持てるスキルの特質に気づくのも一つの楽しみと言えるだろう。



「……ん? 蓮花ちゃん、何か聞こえない?」

 しばらく馬車の中で外の景色を眺めていると、街の方から何かを叩くような音が聞こえ始める。

 なんだなんだと皆が街の門に視線を集める。


 最初は嫌な予感がしていた2-3の生徒たちも音の正体が歓迎の拍手だと知り、ホッと一安心する。

 遠くから聞こえてくる『ルザインさま』の単語。
 それを聞く度に皆のテンションがどんどんと上がっていく。



「見ろよあの人集り! マジやべぇ! 和田ももっと盛り上がれよ!」

「うん、ルザインがすごい存在っていうのは知ってたけどまさかここまでとはね……喜びよりも驚きが上回ってるよ」

 1人だけクールな和田は喜びという感情よりも責任感が高まっていた。

 ルザインであり、そしてルザインを率いるリーダーであり勇者でもある和田は、まさかここまで歓迎させるとは思いもせず、ただ人の多さに驚きを隠せていなかった。

 相澤のように真に受け止めて騒いでもいい。
 だがそれよりも先にこれだけ多くの人に頼られているということだ。

そしてそれと同時に和田はことの重大さについて見直さなければならないと密かに決意した。


「おーい和田ー! また難しいこと考えてんなーコノヤロー!」
「ちょっ、相澤くん! やめっ、わっ!」

 たまに見せる和田の難しい顔に気づいた相澤は和田を押し倒すように突き飛ばす。

 それを見た齋藤が和田の腕を掴み、筆宮が脇腹を細かくくすぐる。

 隣では田邊が腹を抱えて豪快に笑っていた。


「筆宮くん! や、やめっ……あは、あははは!」

「そうだ! それでいい! 和田は素直に笑っておけばいいんだよ! では筆宮少尉、やっておしまい!」

 ゴホンと咳払いをし、まるでどこかの軍隊のようなポーズと命令をする相澤。

 それを聞き筆宮は『イエッサー!』と敬礼をし、再び和田の腹をくすぐっていく。


「あははは! やめ、やめて! 分かった! 分かったから! 今日はもう難しいことは考えないから!」

 和田がそう言うと相澤は筆宮に止めるように指示をする。

 やっとのことで開放された和田は息を切らし、目尻に溜まった涙を目で拭き取っていた。

 すると先程まで「ワハハ」と笑っていた相澤の表情が少しまともになり、和田の目を見て話し始めた。


「和田はそうしてればいいんだよ、あまり難しいこと考えんな。俺だって冒険すんのは怖ぇよ。俺だけじゃねぇ、筆宮だって齋藤だって田邊だって皆不安でしかねぇ。でも俺、いや俺たちだって仲間じゃねぇか、1人で抱え込まず皆で悩んで解決しようぜ!」

「あ、相澤くん……」

 そうだ、何も1人で抱え込まなくていいのだ。

 確かに僕はルザインだ、勇者だ。
 でも僕だけじゃない、みんなこの世界を救うルザインの一員なんだ。

 例え勇者でも、例えスキルが多かろうと、僕はみんなと同じ高校生なんだ。

 強さなんてみんなほとんど同じだ。
 なんでこんな簡単なことが分からなかったのだろう。


「…………筆宮少尉、また和田が難しいこと考えてる。やれ」
「イエッサー!」

「ちょ、ちょっと待って! いやぁぁ──」

 そうしてまた筆宮によるくすぐり地獄が始まる。
 それを見た田邊と齋藤が息ができなくなる笑ったのは言うまでもないないだろう。






 その和田たちの居る馬車の3つほど後ろの馬車に乗る蓮花たち。

 比較的騒がしい男子たちの居る馬車と違い、ここはとても静かであった。


「なんか、BLの香りがする」

「び、びぃーえる……? 真田ちゃん、びーえるって何?」

 あまりその手の意味を知らない蓮花は、少し腐女子気質のある真田の発言が気になりオウム返しするように聞き返す。

 それに対し真田が答えようとするが、そうはさせないと真田の前に梨奈と由奈が立ち塞がる。

 蓮花はとても知りたそうだったが、女子の中で比較的純粋な蓮花を汚すわけにはいかないため、咄嗟の判断で真田の発言を阻止したのだ。


「ま、まぁ蓮花ちゃんは知らなくてもいい事だから! それよりほら! もうすぐリーデの中に入れるよ!」

 梨奈が上手く話題を逸らし、蓮花が目を輝かせて馬車の窓際に寄って外を見る。

 すると街中からルザインを歓迎する大きな拍手と声援が大きくなりはじめ、真田たちも釣られて外を覗き見る。


「すごい……エルナさんから教えてもらったとおりだね。あの人がドワーフ、そしてあの人が豹人族……本当に異世界だね」

 素直な真田の感想に皆同意なのか首を縦に振り同意する。

 実際座学で習ったとおりの見た目なのだが、実物は見たことのないためその分の皆興味津々だ。


「(街の至る所に水が流れてて綺麗だなぁ…………ん? 今何か強い視線を感じたような……?)」

 視線の先を辿ると腰を曲げたおじさん、筋肉質でガタイのいい大男、白いフード付きのローブを着た青年とひときわ目立つ白くオシャレな服装をした猫族の女の子がいた。

 確かに強い視線を感じたのだがどこの誰がかは分からない。

 それに馬車も進んでいるので先程見つけた人たちはもう遠くになってしまった。


 蓮花は『ルザインだからかな?』と自己完結し、リーデの裏門付近にあるという馬車の停泊所に向かう馬車の中でゆったりと過ごすのであった。



─────────────────



 停泊所に到着し、やけに足元がおぼつかない和田が人数確認を行い、エルナに全員居ると報告する。


「ルザインの皆さま長旅お疲れさまです。早速ですが今日は何もせずこの先にある『福休亭』という名の宿で宿泊してもらいます。予約はとってあるので安心ください。では私に着いてきてくださいね」

 エルナ筆頭に来た道を3列ほどで戻る2-3の生徒たち。

 中には握手を求める者も居たり美味しいお菓子をくれる者が居たりと様々で、皆有名人になったかのように照れつつも胸を張って歩いていた。

 ──有名人になったか、というよりもそれ以上の存在にいるのだが……


「あっ、ちょっと靴紐が解けちゃった。梨奈ちゃん、先に行ってて」

「うん、分かった。でも寄り道はあまりしないでね?」

 少し遅れると梨奈に告げ、前居た世界とは少し形状の違う靴紐をゆっくりと結んでいく。

 結び終わって靴の先を地面にトントンとして足をしっかりと靴にはめる。


「まだちょっと前に居るし早く行かなきゃ……あれ?」

 目の前の通りでぶつかってしまったのか倒れている猫族の女の子を見つける。

 その猫族の女の子は他にいる猫族や豹人族と違って雪のように白く、そして宝石のような青い瞳が美しく、女である自分ですらときめいてしまうような容姿をしていた。

 そしてその猫族の女の子はさっき馬車内で見た子と同一人物であった。


「大丈夫ですか?」

 そっと手を差し伸べると猫族の女の子はその手を掴んでくれ、抱えていた少し大きめな紙になにやら文字を書いていく。

 そこには[ありがとうございます、大丈夫です]と少し冷めたような文章だったが、それとは対照的に笑顔は可愛く、耳もピコピコと動いていた。

 それにわざわざ紙に書くということはきっと喋れないのだろう。

 あまり難しい会話をしてしまったら大変だろう。


「怪我は……あっ、少し膝が擦りむいてるね。ちょっと待っててね……『光復ヒール』」

 視線を下に落とすと綺麗な膝が少し赤くなっていた。
 きっと転んでしまったときにできた傷だろう。


 蓮花は城で訓練した光属性魔法の内の回復魔法である『光復ヒール』を使用する。

 自分の手のひらに白く暖かな光が溜まっていく。
 するとみるみるうちに綺麗な白い素肌に戻っていった。


[ありがとうございます……もしかしてルザインの方ですか?]

「えーと……一応そう言われてるね。私は蓮花って言うの、よろしくね!」

 素朴な疑問を投げかけられたので、蓮花は素直にその問いに対し答える。

 そしてピコピコと動く耳が気になったので、軽く触ってみてもいいかと聞くと頷いてくれたので蓮花は遠慮なく耳に触り始める。


「(ふわぁぁ……なにこれぇ……すごいフワフワで触り心地がいい……この感触は飽きないよぉ)」

「あ、ありがとうございます。じゃあレナ、もう行こうか?」

 雲のようにフワフワな猫耳を触っていると、後ろから少し掠れた高い声をした男が前へ出てくる。

 なるほど、つまりこの猫族の女の子は『レナ』って言うんだ。
可愛らしくていいなぁ。


 でもそれよりも顔を完全に隠してる目の前の男の人が気になって仕方がない。

 さりげなく少し屈んで覗こうとしても後退して顔を隠すし……見せれない事情でもあるのかな?


[ハルマさま、私ルザインの方に傷を──]
「わーーー!」

 レナが何かを書き、それを目の前の男の人に見せるいきなり声が低くなって間に割り込むように入り込み紙を切り取る。

 ていうか今聞き覚えのあるような声が聞こえたような……?

 でもそうだとしたら隠す意味が分からないし……それに『ハルマ』って書いてあった気もする。

 なので蓮花は確かめるようにレナと男の人に疑問形で問いかけてみた。


「……? 今、その紙に『ハルマ』って書いてあった気が……」

 そう聞くと目の前の男の人は頬から汗を垂らし、レナの前へまたまた立ち塞がってしまう。

 明らかに挙動不審だ。

 どうにか顔を確かめようにもフードが深くて何度試みても見えないものは見えないで終わる。


「そ、そう! レナは『ハルマキ』が食べたいんだな! そうだな、まだ昼を食べてないしな、そうかそうか! では、傷を治してくれてありがとうございま~す!」

 ハルマキ……? そう言えばお腹も空いてきたな……じゃなくて!

 絶対おかしい、だってわざわざ春巻きをハルマキなんてカタカナ表記にするだろうか?


「レ、レナちゃん! ちょっと待って! まだ話したいことが──」

「蓮花ちゃーん! 早くしないと置いてくよー?」

 追いかけたいのにもう遠くに行ってるし梨奈には呼ばれてるしどうすればいいんだろう。

 まだ聞きたいことはあったけど私情を挟んでみんなに迷惑をかけるわけにはいかないか。


「うん! 今行くから待って!」

 蓮花は逃げるように去っていったローブを深く被った男の人とレナを横目に見ながら早歩きで梨奈の居る場所へ走っていった。






















如月 悠真

NS→暗視眼 腕力Ⅲ 家事Ⅰ 加速Ⅰ 判断力Ⅱ 火属性魔法Ⅰ 広角視覚Ⅰ 大剣術Ⅰ 脚力Ⅰ 短剣術Ⅰ

PS→危険察知Ⅰ 火属性耐性Ⅰ

US→逆上Ⅰ 半魔眼 底力

SS→殺奪



レナ

NS→家事Ⅲ 房中術Ⅱ 水属性魔法Ⅰ 光属性魔法Ⅰ

PS→聴覚強化Ⅰ 忍足Ⅰ

US→NO SKILL

SS→NO SKILL
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