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第2唱 可愛い弟子には旅をさせよ
衝撃のお偉方と、謎の少女の敗北
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「くっ、くだらん画策とはなんですか!」
大神殿から出張ってきていたパウマン祭司が、憤慨した様子で立ち上がった。
「聖なる巡礼に向かう者たちへ祝福と守護の祈りを捧げる我々に、悪逆な二心でもあるような物言いは、いくら大魔法使い様といえど許せません!」
「今からうちの弟子を呼ぶから、見せたくないけど顔をよくおぼえとけ」
「無視されましたよっ!?」
パウマンが涙目で隣席のアカデミー学長タイバーに訴えたが、タイバーはもう何も言う気力はないというように首を振る。
しかし脂ぎったエルベン総長にはまだ闘争心が残っていたようで、大きな顔に歪んだ笑みを浮かべた。
「弟子? ふん、噂の『介護人』か。こんな無礼で傲慢な大魔法使いサマに見込まれるとは、哀れなことだ。さぞボロ雑巾のごとくくたびれきっていることだろうな」
その言葉に追従して嘲笑が広がる。
「そうですなあ。天才が優秀な指導者とは限りませんからな」
「口の悪さと態度の悪さであれば、簡単に学べたのでは?」
悪態をつくことで、アカデミーの面々は元気を取り戻したようだ。
クロヴィスはそれにはかまわず扉をひらき、「入ってこい」と廊下に向かって声をかけた。
「失礼いたします」
まず入って来たのは、アシュクロフト騎士団長。
そしてその大きな手に白い手をそっと引かれてきたのは、ボロ雑巾どころか、玉のような美少年だった。
「こんにちは、はじめまして。お師匠様の弟子で、このたび養子にしてもらいました、ラピス・グレゴワールです!」
容姿ばかりか声まで可愛らしく耳に心地良い。
驚愕のあまり目を剥いて、呆然と口をあけたまま凝視するエルベン総長らに向かって、ラピスは行儀よくぺこりと頭を下げた。顔を上げて彼らと目が合うと、ニコニコと見つめ返してくる。
誰かが「うっ」とか「眩しいっ」などと呻いた。
「なっ、なんっ、なんで……」
「か、かわわ、可愛いじゃないの……!」
くたびれきった子供か、師匠に感化された目つきの悪い生意気なガキが、挑戦的に入ってくるのだろうくらいに考えていた一同は。
見るからに素直そうで、見たこともないほど愛らしく、明らかに大事に大事にされている宝石のような少年が、あのクロヴィスの弟子とはとても思えぬほど無邪気に懐っこく笑みを向けてくるものだから、すっかり混乱してしまった。
「ら、ラピスくん? きみ、本当に、この……グレゴワール氏の、弟子なのかい?」
なぜか赤面したエルベン総長が、おずおずと腰を浮かせて話しかけると、ほかの者たちも続いて身を乗り出す。
挙動不審な大人たちに動じず、ラピスは幸せそうにうなずいた。
「はい! お師匠様の弟子にしていただけた上、家族になってくださったんです!」
頬を薔薇色に染めて、星の輝きの瞳で師を見上げるそのさまの、愛らしいことときたら!
クロヴィスが手を伸ばすと、当たり前のように手をつなぐ。その笑顔がまた、実に嬉しそうなのだ。
「い、いいなぁ……」
「うちなんて、孫すら手をつないでくれない……」
衝撃のあまり羨望と嫉妬を隠せずラピスに見惚れる視線の数々を、「はい、おしまい」と自らの躰で遮ったクロヴィスは……
「おぼえたな? どう見ても忘れようがないな? これで『知らなかった』なんて言わせねえからな」
ビシッと指を突きつけて、名残惜しげに「ああっ」と切ない声の漏れる議事室から、ラピスと共に退室したのだった。
当然、続いて役員たちに頭を下げて退室した騎士団長が、無表情のまま笑いをこらえていたことなんて、誰も気づいていなかった。
☆ ☆ ☆
ラピス目当てに学術研究棟に入ったドロシアは、ぐるりと辺りを見回した。
広い館内のどこに向かったのかと考え、(お手洗いかしら)と視線を走らせた廊下の中ほどに、騎士の制服を着た二人連れがいる。
(あれは……アシュクロフト団長によく同行している騎士見習いの、ディードくんだわ)
通常であれば騎士見習いの顔と名前などいちいちおぼえないが、ディードはすらりとバランスの良い体型に制服が映える美少年なので、ドロシアの脳内の『美少年の書』に、しっかり記録されている。
彼がいるということは団長やラピスも近くにいるかもしれないと期待したが、その気配はなく、ディードはこちらに背を向けた人物と話し込んでいた。
(あのうしろ姿……あれもたぶん美少年。もしくは美青年)
興味津々で見つめすぎたか、ドロシアに気づいたディードと目が合った。
彼が二言三言喋ると、相手の『推定美少年か美青年』は、ドロシアのいる場所と反対方向へ去ってしまった。
一方ディードはつかつかと、ドロシアの前までやって来た。
「なにかご用でしょうか?」
愛想のない声で訊いてくる。
男子にすげなく扱われることに慣れていないドロシアは内心ムッとしたが、綺麗な顔に免じて受け流し、ついでにここへ来た目的を思い出した。
そうして先ほどイーライにも使って効果てきめんだった『よく褒められる笑顔』をつくる。
「あのぅ、わたし、ずっと憧れてきた大魔法使い様に、ぜひ訊いてみたいことがあるんです。巡礼に出る前に、ほんの少しでいいのでお会いできませんか? もしもダメなら、遠くからお姿だけでも拝見させてもらえないかしら」
(――決まった)
可愛い女学生が控えめにお願い。それも「遠くから見せてくれ」程度のお願いであれば、断られることはあるまい。本命はラピスを拝むことだから、ひとつ目のお願いは本当はどうでもいい。
しかし。
ディードはニコリともせずドロシアを見下ろした。
「グレゴワール様は大事な会談の最中なので、人払いを命じられています」
秒で断られた。
あまりに容赦なく断られて、ムッとしつつ食い下がる。
「遠くから見るだけでもダメですか? 会談が終わるまで待ってますから」
これなら断れまい! ドロシアはここの学生で、出待ちするのは自由なのだから。
どや、とディードを見返すと……
「はあ。別に俺に訊かずとも、待ちたければ待てばいいのでは」
(しまった、その通りだ)
計算しすぎて無策と化した。
ディードは「それでは」と背を向け、エントランスの大階段をのぼっていく。
ドロシアは脳内の『美少年の書』のディードの項に、『性格は可愛くない』と書き加えた。
大神殿から出張ってきていたパウマン祭司が、憤慨した様子で立ち上がった。
「聖なる巡礼に向かう者たちへ祝福と守護の祈りを捧げる我々に、悪逆な二心でもあるような物言いは、いくら大魔法使い様といえど許せません!」
「今からうちの弟子を呼ぶから、見せたくないけど顔をよくおぼえとけ」
「無視されましたよっ!?」
パウマンが涙目で隣席のアカデミー学長タイバーに訴えたが、タイバーはもう何も言う気力はないというように首を振る。
しかし脂ぎったエルベン総長にはまだ闘争心が残っていたようで、大きな顔に歪んだ笑みを浮かべた。
「弟子? ふん、噂の『介護人』か。こんな無礼で傲慢な大魔法使いサマに見込まれるとは、哀れなことだ。さぞボロ雑巾のごとくくたびれきっていることだろうな」
その言葉に追従して嘲笑が広がる。
「そうですなあ。天才が優秀な指導者とは限りませんからな」
「口の悪さと態度の悪さであれば、簡単に学べたのでは?」
悪態をつくことで、アカデミーの面々は元気を取り戻したようだ。
クロヴィスはそれにはかまわず扉をひらき、「入ってこい」と廊下に向かって声をかけた。
「失礼いたします」
まず入って来たのは、アシュクロフト騎士団長。
そしてその大きな手に白い手をそっと引かれてきたのは、ボロ雑巾どころか、玉のような美少年だった。
「こんにちは、はじめまして。お師匠様の弟子で、このたび養子にしてもらいました、ラピス・グレゴワールです!」
容姿ばかりか声まで可愛らしく耳に心地良い。
驚愕のあまり目を剥いて、呆然と口をあけたまま凝視するエルベン総長らに向かって、ラピスは行儀よくぺこりと頭を下げた。顔を上げて彼らと目が合うと、ニコニコと見つめ返してくる。
誰かが「うっ」とか「眩しいっ」などと呻いた。
「なっ、なんっ、なんで……」
「か、かわわ、可愛いじゃないの……!」
くたびれきった子供か、師匠に感化された目つきの悪い生意気なガキが、挑戦的に入ってくるのだろうくらいに考えていた一同は。
見るからに素直そうで、見たこともないほど愛らしく、明らかに大事に大事にされている宝石のような少年が、あのクロヴィスの弟子とはとても思えぬほど無邪気に懐っこく笑みを向けてくるものだから、すっかり混乱してしまった。
「ら、ラピスくん? きみ、本当に、この……グレゴワール氏の、弟子なのかい?」
なぜか赤面したエルベン総長が、おずおずと腰を浮かせて話しかけると、ほかの者たちも続いて身を乗り出す。
挙動不審な大人たちに動じず、ラピスは幸せそうにうなずいた。
「はい! お師匠様の弟子にしていただけた上、家族になってくださったんです!」
頬を薔薇色に染めて、星の輝きの瞳で師を見上げるそのさまの、愛らしいことときたら!
クロヴィスが手を伸ばすと、当たり前のように手をつなぐ。その笑顔がまた、実に嬉しそうなのだ。
「い、いいなぁ……」
「うちなんて、孫すら手をつないでくれない……」
衝撃のあまり羨望と嫉妬を隠せずラピスに見惚れる視線の数々を、「はい、おしまい」と自らの躰で遮ったクロヴィスは……
「おぼえたな? どう見ても忘れようがないな? これで『知らなかった』なんて言わせねえからな」
ビシッと指を突きつけて、名残惜しげに「ああっ」と切ない声の漏れる議事室から、ラピスと共に退室したのだった。
当然、続いて役員たちに頭を下げて退室した騎士団長が、無表情のまま笑いをこらえていたことなんて、誰も気づいていなかった。
☆ ☆ ☆
ラピス目当てに学術研究棟に入ったドロシアは、ぐるりと辺りを見回した。
広い館内のどこに向かったのかと考え、(お手洗いかしら)と視線を走らせた廊下の中ほどに、騎士の制服を着た二人連れがいる。
(あれは……アシュクロフト団長によく同行している騎士見習いの、ディードくんだわ)
通常であれば騎士見習いの顔と名前などいちいちおぼえないが、ディードはすらりとバランスの良い体型に制服が映える美少年なので、ドロシアの脳内の『美少年の書』に、しっかり記録されている。
彼がいるということは団長やラピスも近くにいるかもしれないと期待したが、その気配はなく、ディードはこちらに背を向けた人物と話し込んでいた。
(あのうしろ姿……あれもたぶん美少年。もしくは美青年)
興味津々で見つめすぎたか、ドロシアに気づいたディードと目が合った。
彼が二言三言喋ると、相手の『推定美少年か美青年』は、ドロシアのいる場所と反対方向へ去ってしまった。
一方ディードはつかつかと、ドロシアの前までやって来た。
「なにかご用でしょうか?」
愛想のない声で訊いてくる。
男子にすげなく扱われることに慣れていないドロシアは内心ムッとしたが、綺麗な顔に免じて受け流し、ついでにここへ来た目的を思い出した。
そうして先ほどイーライにも使って効果てきめんだった『よく褒められる笑顔』をつくる。
「あのぅ、わたし、ずっと憧れてきた大魔法使い様に、ぜひ訊いてみたいことがあるんです。巡礼に出る前に、ほんの少しでいいのでお会いできませんか? もしもダメなら、遠くからお姿だけでも拝見させてもらえないかしら」
(――決まった)
可愛い女学生が控えめにお願い。それも「遠くから見せてくれ」程度のお願いであれば、断られることはあるまい。本命はラピスを拝むことだから、ひとつ目のお願いは本当はどうでもいい。
しかし。
ディードはニコリともせずドロシアを見下ろした。
「グレゴワール様は大事な会談の最中なので、人払いを命じられています」
秒で断られた。
あまりに容赦なく断られて、ムッとしつつ食い下がる。
「遠くから見るだけでもダメですか? 会談が終わるまで待ってますから」
これなら断れまい! ドロシアはここの学生で、出待ちするのは自由なのだから。
どや、とディードを見返すと……
「はあ。別に俺に訊かずとも、待ちたければ待てばいいのでは」
(しまった、その通りだ)
計算しすぎて無策と化した。
ディードは「それでは」と背を向け、エントランスの大階段をのぼっていく。
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