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宮殿の宝物庫には、重い沈黙が落ちていた。
捕縛されたザルゴンが兵士たちに連行されていく。その背中には、もはや反抗の意思は感じられなかった。
「終わったのね……」
サミアが安堵のため息をついた。
「本当に、終わったのよね」
「ああ」
ユリナスが頷いた。
「これで、平和が戻る」
皇帝が前に出て、金色に輝くアークを見上げた。
「この機械が、世界を滅ぼすところだった」
「陛下」
レオンハルトが進み出た。
「このアークは、どうしますか」
「封印するしかあるまい」
皇帝が答えた。
「二度と、誰も触れられないように」
その時、アークが突然、微かに震え始めた。
「何だ?」
クロストロフが警戒した。
「ザルゴンが何か仕掛けたのか?」
「まずい!」
久世が叫んだ。
「起動装置に触れた時、何かが作動したのかもしれません!」
アークの震えが激しくなり、金色の光が強くなっていく。
「みんな、離れて!」
ユリナスが叫んだ。
「爆発する!」
兵士たちが慌てて出口に向かって走り出した。
しかし、ユリナスは逆にアークに向かって走った。
「兄さん、何をするの!」
サミアが叫んだ。
「止めてみせる!」
ユリナスが両手を前に出し、魔法を発動させた。
強力な防御魔法の障壁が、アークを包み込んだ。
「ユリナス、危ない!」
久世が叫んだ。
次の瞬間、アークが爆発した。
凄まじい衝撃波が宝物庫を襲った。
ユリナスの防御魔法が爆発のエネルギーを抑えようとするが、アークの力は想像を遥かに超えていた。
障壁が破れ、爆発の衝撃がユリナスを直撃した。
「兄さんっ!」
サミアの悲鳴が響いた。
煙が晴れると、そこには倒れているユリナスの姿があった。
右手から頬、脇腹にかけて、酷い火傷を負っている。皮膚は黒く焦げ、ところどころから血が滲んでいた。
「兄さん!兄さん!」
サミアが駆け寄った。
「しっかりして!」
ユリナスは微かに目を開けた。
「み、みんなは……無事……?」
「馬鹿!自分の心配をしてよ!」
サミアが涙を流しながら叫んだ。
「治癒師を!早く治癒師を呼べ!」
皇帝が命じた。
やがて、宮殿の治癒師たちが駆けつけてきた。三名の治癒師が、必死にユリナスに治癒魔法をかけた。
しかし、傷は全く癒えなかった。
「どうして……」
一人の治癒師が呆然とした。
「私の魔法が効かない……」
「私もです」
別の治癒師も困惑した表情を浮かべた。
「この傷は、ただの火傷ではありません」
最も経験のある老治癒師が、深刻な顔で言った。
「アークの力が残留しています。われわれの魔法では治せません」
「そんな……」
サミアが崩れ落ちた。
クロストロフとヨルンヘルムも、ユリナスのそばに駆け寄った。
「ユリナス、お前……」
クロストロフが震える声で言った。
「何でこんな無茶を……」
「みんなを……守りたかった……」
ユリナスが弱々しく微笑んだ。
「これは……私の役目だから……」
「馬鹿野郎」
ヨルンヘルムが拳を握りしめた。
「お前が死んだら、誰が喜ぶんだよ」
捕縛されたザルゴンが兵士たちに連行されていく。その背中には、もはや反抗の意思は感じられなかった。
「終わったのね……」
サミアが安堵のため息をついた。
「本当に、終わったのよね」
「ああ」
ユリナスが頷いた。
「これで、平和が戻る」
皇帝が前に出て、金色に輝くアークを見上げた。
「この機械が、世界を滅ぼすところだった」
「陛下」
レオンハルトが進み出た。
「このアークは、どうしますか」
「封印するしかあるまい」
皇帝が答えた。
「二度と、誰も触れられないように」
その時、アークが突然、微かに震え始めた。
「何だ?」
クロストロフが警戒した。
「ザルゴンが何か仕掛けたのか?」
「まずい!」
久世が叫んだ。
「起動装置に触れた時、何かが作動したのかもしれません!」
アークの震えが激しくなり、金色の光が強くなっていく。
「みんな、離れて!」
ユリナスが叫んだ。
「爆発する!」
兵士たちが慌てて出口に向かって走り出した。
しかし、ユリナスは逆にアークに向かって走った。
「兄さん、何をするの!」
サミアが叫んだ。
「止めてみせる!」
ユリナスが両手を前に出し、魔法を発動させた。
強力な防御魔法の障壁が、アークを包み込んだ。
「ユリナス、危ない!」
久世が叫んだ。
次の瞬間、アークが爆発した。
凄まじい衝撃波が宝物庫を襲った。
ユリナスの防御魔法が爆発のエネルギーを抑えようとするが、アークの力は想像を遥かに超えていた。
障壁が破れ、爆発の衝撃がユリナスを直撃した。
「兄さんっ!」
サミアの悲鳴が響いた。
煙が晴れると、そこには倒れているユリナスの姿があった。
右手から頬、脇腹にかけて、酷い火傷を負っている。皮膚は黒く焦げ、ところどころから血が滲んでいた。
「兄さん!兄さん!」
サミアが駆け寄った。
「しっかりして!」
ユリナスは微かに目を開けた。
「み、みんなは……無事……?」
「馬鹿!自分の心配をしてよ!」
サミアが涙を流しながら叫んだ。
「治癒師を!早く治癒師を呼べ!」
皇帝が命じた。
やがて、宮殿の治癒師たちが駆けつけてきた。三名の治癒師が、必死にユリナスに治癒魔法をかけた。
しかし、傷は全く癒えなかった。
「どうして……」
一人の治癒師が呆然とした。
「私の魔法が効かない……」
「私もです」
別の治癒師も困惑した表情を浮かべた。
「この傷は、ただの火傷ではありません」
最も経験のある老治癒師が、深刻な顔で言った。
「アークの力が残留しています。われわれの魔法では治せません」
「そんな……」
サミアが崩れ落ちた。
クロストロフとヨルンヘルムも、ユリナスのそばに駆け寄った。
「ユリナス、お前……」
クロストロフが震える声で言った。
「何でこんな無茶を……」
「みんなを……守りたかった……」
ユリナスが弱々しく微笑んだ。
「これは……私の役目だから……」
「馬鹿野郎」
ヨルンヘルムが拳を握りしめた。
「お前が死んだら、誰が喜ぶんだよ」
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