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結婚する気はない
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日曜日の昼下がり、朝からブランチ用になんちゃってアフタヌーンティーを作り、優雅なひとときを撮影しようと思っていたら、10年以上疎遠だった兄が突然訪ねてきた。
家の住所は教えていない。
オアシスアマミヤに勤めている事はわかってるから、個人情報保護なんて関係なしで問い合わせて聞いたのかもしれない。
インターフォンが鳴り、兄だったから居留守を使おうかと思ったけど、たまたま通りかかった住民がオートロックを開け、私の部屋まで辿り着いた兄がドアベルを鳴らしまくり、玄関の戸を叩きまくるから、仕方なく、出た。
「狭い部屋だな。社会勉強って親父がクレジットカードと預金通帳没収したからって、働いてたらもっとマシな部屋に住めるだろう」
父に似てモラハラ性格に育った5歳年上の兄。
子供時代に厳格に育てられた反動か、攻撃的な性格になり、あまり関わりたくない。
バストイレ別で、単身用賃貸マンションの中では広い方だとは思う。
長く住むつもりだから、56平米ある1LDKの部屋を借りた。
オアシスアマミヤの月収手取り額が25万円、そのうち15万円が住居費に消え、YouTuborをしていなかったら、生活していけない部屋を賃貸してる。
私にとっては、ここはお城と同じ。
侮辱されて、苛つく。
「天宮くんと同棲してるんだ。じゃ、結婚の話、進めて大丈夫だな」
仕事絡みで外出していた雅人くんが帰ってきて、兄と鉢合わせて、焦る。
あーくらいくの新店舗のキッチンに冷蔵庫や食洗機などを卸しているのもあり、雅人くんはたぶん、兄と面識がある。
「急だが天宮くんが気が変わったらいけないから、3月に挙式あげるから、式場は押さえてる」
「はっ、私はまさ、……天宮常務とは結婚するつもりは無いです。勝手に話を進めないで下さい!!」
兄も妹を会社の駒としか考えていない。
兄自身も父が決めた相手と結婚したが、愛情なんてないから、形だけの夫婦を築いてる。
母も厳格な父にいつも怯え、言いなりになっていた。
会社同士の関係を築くための縁故結婚だから、コロン禍で経営状態が悪いのもあり、兄は父みたいな態度を義姉にはしていないけど、専業主婦にして放置してるから、浮気三昧散財放題させ、それを見てないふりをしてる。
「これは決定事項だ。創始者一族が会社経営していくの必要な役目だ。あーくらいくの役に立たず、勝手にオアシスアマミヤに就職したんだ。せめて、そこの跡取りと結婚して、あーくらいくの役に立てよ。天宮くんも、悪い話ではないだろう。あーくらいくがこれから出店する店舗の設備大半をオアシスアマミヤに委託する。取引だ、諦めろっ。話していても埒が明かない。帰る」
自分勝手な兄は、そう言い残すとすぐに帰って行った。
「……雅人くん、私に結婚前提に交際を申し込んだの、会社のため?」
「ち、違う。俺は咲良の事が好きになって、ずっと一緒にいたいから結婚したいと思った!!」
雅人くんが私に駆け寄り、両肩を掴んで必死に訴えてくる。
「……信じられるわけないでしょ。社長同士が結婚の話を進めてるって言ってたし。私に同情して、縁故結婚を恋愛結婚に仕立てようとしてるの?」
「違う!!」
あーくらいくの駒に使われるのは嫌。
この自由奔放に過ごせる日常がなくなるのは嫌。
「……出てって、私に、関わらないで!!絶対に結婚しない!!オアシスアマミヤも辞める!!」
父と兄の言いなりになり、服従して生きる生活は嫌。
パニクってる私の体を雅人くんがぎゅっと抱きしめてきた。
だけど、
「お願い……、私を解放して、無理。お願い、出てって!!」
私に腹をぽかぽか叩かれようが暴言を吐かれようが、雅人くんは一行に動かない、何も言わない。
気がついたら、意識を失くして、私は眠っていた。
家の住所は教えていない。
オアシスアマミヤに勤めている事はわかってるから、個人情報保護なんて関係なしで問い合わせて聞いたのかもしれない。
インターフォンが鳴り、兄だったから居留守を使おうかと思ったけど、たまたま通りかかった住民がオートロックを開け、私の部屋まで辿り着いた兄がドアベルを鳴らしまくり、玄関の戸を叩きまくるから、仕方なく、出た。
「狭い部屋だな。社会勉強って親父がクレジットカードと預金通帳没収したからって、働いてたらもっとマシな部屋に住めるだろう」
父に似てモラハラ性格に育った5歳年上の兄。
子供時代に厳格に育てられた反動か、攻撃的な性格になり、あまり関わりたくない。
バストイレ別で、単身用賃貸マンションの中では広い方だとは思う。
長く住むつもりだから、56平米ある1LDKの部屋を借りた。
オアシスアマミヤの月収手取り額が25万円、そのうち15万円が住居費に消え、YouTuborをしていなかったら、生活していけない部屋を賃貸してる。
私にとっては、ここはお城と同じ。
侮辱されて、苛つく。
「天宮くんと同棲してるんだ。じゃ、結婚の話、進めて大丈夫だな」
仕事絡みで外出していた雅人くんが帰ってきて、兄と鉢合わせて、焦る。
あーくらいくの新店舗のキッチンに冷蔵庫や食洗機などを卸しているのもあり、雅人くんはたぶん、兄と面識がある。
「急だが天宮くんが気が変わったらいけないから、3月に挙式あげるから、式場は押さえてる」
「はっ、私はまさ、……天宮常務とは結婚するつもりは無いです。勝手に話を進めないで下さい!!」
兄も妹を会社の駒としか考えていない。
兄自身も父が決めた相手と結婚したが、愛情なんてないから、形だけの夫婦を築いてる。
母も厳格な父にいつも怯え、言いなりになっていた。
会社同士の関係を築くための縁故結婚だから、コロン禍で経営状態が悪いのもあり、兄は父みたいな態度を義姉にはしていないけど、専業主婦にして放置してるから、浮気三昧散財放題させ、それを見てないふりをしてる。
「これは決定事項だ。創始者一族が会社経営していくの必要な役目だ。あーくらいくの役に立たず、勝手にオアシスアマミヤに就職したんだ。せめて、そこの跡取りと結婚して、あーくらいくの役に立てよ。天宮くんも、悪い話ではないだろう。あーくらいくがこれから出店する店舗の設備大半をオアシスアマミヤに委託する。取引だ、諦めろっ。話していても埒が明かない。帰る」
自分勝手な兄は、そう言い残すとすぐに帰って行った。
「……雅人くん、私に結婚前提に交際を申し込んだの、会社のため?」
「ち、違う。俺は咲良の事が好きになって、ずっと一緒にいたいから結婚したいと思った!!」
雅人くんが私に駆け寄り、両肩を掴んで必死に訴えてくる。
「……信じられるわけないでしょ。社長同士が結婚の話を進めてるって言ってたし。私に同情して、縁故結婚を恋愛結婚に仕立てようとしてるの?」
「違う!!」
あーくらいくの駒に使われるのは嫌。
この自由奔放に過ごせる日常がなくなるのは嫌。
「……出てって、私に、関わらないで!!絶対に結婚しない!!オアシスアマミヤも辞める!!」
父と兄の言いなりになり、服従して生きる生活は嫌。
パニクってる私の体を雅人くんがぎゅっと抱きしめてきた。
だけど、
「お願い……、私を解放して、無理。お願い、出てって!!」
私に腹をぽかぽか叩かれようが暴言を吐かれようが、雅人くんは一行に動かない、何も言わない。
気がついたら、意識を失くして、私は眠っていた。
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