天敵同期からの最低なプロポーズ

鳴宮鶉子

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情けないプロポーズ

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「……予定日より早く子宮が下がってるから入院しましょう」

茨城のレオパレスを引き払って東京に戻ってきて、お腹がはるなっと思ってたら、まさかの管理入院。

院内に洗濯機と乾燥室があるから洗濯物はなんとかなる。
でも、請け負ってる内職のプログラミングの仕事があるから入院は免れたかった。
早産はリスクがあるからなるべくお腹の中で育てた方がいいらしい……。

納期を伸ばして貰って産後に仕上げるしかないと諦め、賃貸マンションに戻り、入院準備をする事にした。

「……おまえ、妊婦の自覚ないな。姉貴から連絡貰って仕事投げ出してきた」

待合室に息を切らした成宮がいて、捕まってしまった。

「藤坂先生は俺の義理の姉。残念だったな。俺からは逃げれない。田舎でのんびり暮らしてるから泳がしていたけど、出産間際にまた管理入院……。出産までは病院から出れないようにするから。本当に危なっかしい」

わたしの手を引き、黒いレクサスの助手席に座らせ、成宮は車を発進させた。

わたしのマンションにつき、スーツケースにパジャマと下着類を入れ、病院にとんぼ返りをすると思ってた。

「ちょっと、成宮、ふざけないで」

ベッドに押し倒してわたしの上に覆い被さる成宮。
お腹には体重はかけてないけれど、唇を塞がれてわたしは身動きが取れない。

「……天沢、好きなんだ。愛してる。だから、俺と結婚してくれ。お前に子供ができたら俺の物になると最低な事をしたのは悪かった。俺も、初めて女を好きになり、抑えきれなかったんだ」

わたしの唇に唇を合わせ、恋愛初心者のわたしと成宮。
舌を噛みそうになりながら歯が当たり呼吸ができずに窒息しそうになりながらディープなキスをした。

「天沢乙羽さん、俺の奥さんになって下さい」

成宮の真剣さにわたしは、

「はい」

と言ってしまってた……。


入院前に港区役所に婚姻届を出しに行ったわたしと成宮でなく理人。

婚姻届を窓口に提出しようとした時に証人の名前を見て驚いた。
ソミーロボット開発テクノロジーの代表取締役の名前と、ソミーミュージックの代表取締役の名前が書いてあった。

それと……、

「橘 理人って誰?」

「俺の本名」

「どういう事?」

「俺、実はソミー創業者一族で、ソミーロボット開発テクノロジーの次期社長」

「  ……………」

役所の窓口で理人が爆弾発言で窓口の前でわたしは固まった。

婚姻届に名前を記入する時に急かして書かせたのは、自分がソミーロボット開発テクノロジーの次期社長という身分を明かした事で、わたしが結婚を躊躇してしまうと懸念したからだった。

わたしが先に窓口で出して貰った戸籍謄本と何も考えずに名前を記入して印鑑をついた婚姻届を理人が窓口スタッフに渡した。

そして、

「今から、天沢じゃなく橘乙羽だから」

理人は嬉しそうに窓口スタッフから結婚証明書を受け取った。

ーー  藤坂 産婦人科医院  ーー

「天沢さんじゃなく、乙羽さん、結局おれたんだ」

藤坂産婦人科医院の特別個室に入院したわたし。
理人の兄のソミー総合病院の次期院長の奥さんの旧名で実家の仕事を手伝ってる橘志織先生がわたしの診察をしながら言った。

「成宮がソミー創業者一族でソミーロボット開発テクノロジーの次期社長なんて知らなかったです。孕まされ騙されて結婚させられました……」

「あいつの兄貴もゲスいから。わたしも孕まされて結婚した身だからね。あの兄弟、本当に最低だわ」

志織先生は3歳の娘さんがいて、実家の母に昼間面倒をみてもらってる。

お産が始まったと助産師さんから電話がかかり、志織先生は慌てて部屋から出て行った。


わたしを扶養に入れるためと出産一時金の手続きをするために会社に行ってた理人が入れ替わりに戻ってきた。

「明日か明後日に産まれるって。35週と5日だけど赤ちゃんの推定体重が3250gあるから保育器に入らなくて大丈夫だって」

志織先生に言われた事を理人に伝える。

「そっか、本当にギリギリで乙羽と夫婦になれた。こいつの戸籍に父親として記載される。良かった……」

わたしのお腹を触って理人は言う。
こいつと結婚する気なんてなかったのに、流されて結婚してしまった。






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