政略的結婚、したらいけないですか?

鳴宮鶉子

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クリスマスイルミネーション

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「……三井さん、手伝って下さり、ありがとうございます。とても助かります」

バーベキュー親睦会明けの木曜日。
大学を休んで杉瀬先輩の自宅横の古びた町工場でゼミメンバーとクリスマスイルミネーションの装置を造るお手伝いをする事になった。

「……伽凛ちゃん、大変だね」

杉瀬先輩がクリスマスイルミネーションの発注納期を忘れていて、かなり追い込まれてる。
バーベキューの終わり方、クライアントから工事日の確認の電話がきた伽凛ちゃん。
酔い潰れた杉瀬先輩に装置が完成してるか訊いたら、全く何もしておらず、慌てふためく。

「杉瀬妹、制御プログラムはできてるのか?」

「は、はい。去年使用したものをリメイクしました」

ソーラーイルミネーションライトといえば、LDE仕様の、ストリングライト、つららライト、ネットライトが定番。
それをデザインアートでの投影でライトアップさせる装置を去年、開発したらしい。
葛城先輩が設計し、杉瀬先輩が製造し、伽凛ちゃんが制御プログラムを作成。

「こんな小さな装置で投影できるの?」

ティッシュ箱サイズの装置に基盤とソーラー電池、ライトを入れていく作業を黙々と行う。

「大丈夫です。……去年、問題なかったのでら」

基盤の素子がかなり細かい事に気がつく。



「7nmプロセスのこの基盤、どうやって作成した?」

7nmプロセスの半導体部品は海外からの輸入で、大きなパイプがないと購入ができない。
産業用ロボットの基盤は90nmプロセスで、こんな小さな半導体デバイスをどこで入手したか気になった。

「……たぶん壊れたスマホ、パソコン、プレイステと任天社スティッチの本体から基盤を抜きとって、それを分解して使ってるんだと思います」

オンボロ83のECUも7nmプロセスの廃材で組まれていた。

「……今は葛城さんのツテで基盤の廃材のみを仕入れる事ができてますが、昔は友人等から壊れた機器を頂いて、基盤を抜いていたので大変でした」


****

「ウワァー!!」

ティッシュ箱サイズの装置から投影されるプロジェクションマッピング。
樹々や壁に投影された映像に目を奪われる。

小さいプロジェクターから広範囲に映像が投影され、地面に貼り付けたスイッチを踏むと煌びやかなデジタルアートが視覚効果で人に接近するようプログラムされている。
電子音楽やコンピュータで生成されたグラフィックは多種多様で、さまざまな視覚効果を与える技術に圧巻された。


「……これ、伽凛ちゃんが1人で作ったの?」

「プロジェクションマッピングの映像だけですけどね。市販のソフトウェアを複数使用して構成してます」

映像の微調整でノートパソコンを時よりカタカタさせてる伽凛ちゃんは、できて当たり前みたいな表情を浮かべてる。

「市販のプロジェクターではこんな感じにはならないので、葛城さんが設計したプロジェクトが凄いんだと思います」

「伽凛ちゃん、この装置、1台、売ってくれない?」

「……価格は兄に相談してください。ほぼ廃材でできてるので、10万円しないと思います」

後日、杉瀬先輩からこのプロジェクターを15万円で購入した。
廃材使用でいつ壊れてもおかしくない装置だから、保証は5年つけると言われた。

葛城先輩と杉瀬兄妹が創り出す発明品に、私は魅了されてる。
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