政略的結婚、したらいけないですか?

鳴宮鶉子

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デンタへようこそ!!

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「オンボロ83でお出迎え……」

夏休みに入ってまもなく、杉瀬先輩が葛城先輩を連れて、新幹線で名古屋駅までやってきた。
デンタの視察に同行する気がなかった葛城先輩は、不機嫌極まりない。

私が1人で迎えに行くつもりが、和雄おじさんが多忙なのに時間調整をしてしゃしゃり出てきて、一緒にオンボロ83走らせ、名古屋駅までやってきた。

「未来を背負う天才発明家、よく来てくれた!!」

トミタの社長だから目立つのを懸念してかスーツではなく、ボロボロのつなぎの作業着姿だった和雄おじさん。

「デンタに行く前にひつまぶしでも食べに行こうか!!」

行きつけの高級料亭にぼろぼろつなぎの作業着姿なのに顔パスで入り、ひつまぶしに味噌カツ、手羽先のからあげをご馳走様してくれた。


****

「トミタ社長、ご指導、お願いします!!」

研究所前で整列してお出迎えしていた社員達に車から降りて、苦笑いを浮かべる和雄おじさん。

杉瀬先輩と葛城先輩は和雄おじさんのキャラの濃さに、ドン引きしていた。
たぶん、トミタ社長という言葉は耳に入っていない。

ナノ3半導体製造の前工程の段階に開発が進んでいる。

「……2ヶ月で微細化トランジスタを製品化させたんだ。さすがデンタ」

半導体ウエハーの前処理として、試作工場でシリコンウエハーの表面上にトランジスタなどを含む電子回路を形成している。

シリコンウエハーとは超高純度に生成された単結晶インゴットを薄く切断して作られたもので、サイズによっては、1枚のウエハーから半導体チップが何百個も取り出される。

現在製造されているシリコンウエハーは最大で直径300mm。
それをデンタでは直径450mmのシリコンウエハーを使うことで1枚のウエハーから取得できる半導体の数が増え、コスト低減につながっている。

「製造設備も……格が違うな」

ナノの領域だからプログラム制御されたロボット装置が半導体を製造していて、その設備の視察に杉瀬先輩は大興奮していた。 

「10月の終わりまでに、3nm以下半導体開発設備を整えます。マイコン(制御命令主体のマイクロコントローラー)やDSP(積和演算専用のマイクロプロセッサ)、CMOSイメージセンサー、メモリー、設計図さえ頂ければ、製造致します」

トミタとデンタの本気。
和雄おじさんは最先端半導体開発に多額の資金を投入したようだった。


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