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2 弟の彼女
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勇樹の家に引っ越した翌朝、目が覚めて時計を見ると七時半過ぎだった。
台所の方で何かやっている気配がする。
奈瑠はのっそりと起き上がると、しばらくぼうっとしてからベッドを降りた。
ふすまを開けた瞬間、魚を焼く匂いがした。こんな匂いを嗅いだのはいつぶりだろうと思いながら、開け放たれた縁側へと出る。気持ちのいい朝日のせいで庭の雑草の緑さえ清々しい。大きく伸びをしていると勇樹が台所から出て来た。
「おう、姉ちゃんおはよ」
両手に持っていた皿を居間の食卓の上に置く。載っているメザシが匂いの正体のようだ。
「朝ご飯作ってんの?」
「そうだよ。一緒に食おうよ」
勇樹はまた台所に消えると、今度はご飯をよそった茶碗を二つ持って出て来た。
「早く顔洗って来いよ」
勇樹はまた台所へ戻った。奈瑠はのそのそとトイレへ向かった。
顔を洗って居間に戻ると、勇樹はもう食べ始めていた。勇樹の向かいに腰を下ろす。白いご飯と具だくさんのみそ汁とメザシが二匹、それにコーヒーが並べられている。とりあえずコーヒーを手に取った。
「ワカモノにしてはずいぶん渋いメニューだね。毎朝自分で作るの?」
「毎朝ってわけじゃないけど、作れるときはね。今日は出る時間が遅いけど、朝五時に家を出るときもあるし、寝不足で起きられないときもある。そういうときはコーヒーだけ。でも基本はご飯とみそ汁だな。ずっとばあちゃんと暮らしてたから」
「ごはん食べながらコーヒー飲むんだね。食後とかじゃなくて」
「これもばあちゃんから受け継いだ。もう当たり前になったよ」
奈瑠はしばらくゆっくりとコーヒーを飲んだ。
「姉ちゃん食わないの?」
「もちろん食べるよ。勇樹がせっかく作ってくれたんだもん」
「いつもは食わないの?」
「一人だと、あんまりね……」
保之が一緒だったときには何かと作ったものだ。
「朝はちゃんと食った方がいいんだぞ」
「このお味噌汁美味しそう。いただきます」
久しぶりに手作りの料理を口にした。しかも勇樹の。まさかこんな日が来るとは思ってもみなかった。
「勇樹、料理上手だね。これ何でダシとってるの?」
「そんなもん、ダシ入りの味噌だよ。あるものぶっこんで味噌溶いただけ」
「でも、美味しい。すごく」
本当にそう思った。
「姉ちゃん、顔ごといかなきゃ」
「へ?」
奈瑠はメザシの腹の上に置いていた箸を止めて勇樹を見た。
「もしかしてお上品に箸で割ってから食おうとしてない? ダメダメ。メザシはね、こうやって食うの」
勇樹は頭からがぶっとかぶりついて見せ、「カルシウムカルシウム」と言いながら口を動かした。
「ねえ勇樹、さっきメザシ『顔ごと』って言わなかった?」
「そんなこと言った?」
「あのさ、顔じゃなくて、頭でしょ。『魚を顔ごと食べる』なんて言わないでしょ。斬新すぎるんだけど」
聞き流しているのか勇樹は何も言わない。
「ねえ勇樹さ、ちょくちょく言葉おかしいんだけど、もしかして……」
「何だよ」
「バカなの?」
勇樹は口に含んだばかりのコーヒーをごくっと飲み込んだ。
「何でだよ。っていうか俺は理系なの」
「そういう問題でもないような気がするんだけど」
奈瑠は軽く首を傾げてみせてから、言われたとおりメザシに頭からかぶりついた。
「んっ。久しぶりに食べたこういうの。日本の味がする。いいね。こういうのも。でも『魚の顔』とか言う人が、よくあんな一流大学に行けたよね。裏口?」
勇樹が通っていたのは、奈瑠の大学よりランクが上の有名私大ということだった。
「アホか」
「冗談よ。でもやっぱりもったいなかった気がするな。そうそう入れない大学簡単に辞めちゃうなんて。もう少し待てばよかったのに」
「ま、いいじゃんその話は。俺もうすぐ出ないといけないから」
勇樹は「ごちそうさまでした」と手を合わせると、自分の分の食器を重ねて台所へ持って行った。
「片付けはわたしやっとくから」
背中に声をかけると、勇樹は振り向いて「サンキュ」と言って笑った。
天気がよかったので、洗濯をしたり荷物を整理したりしていると、時間はあっという間に過ぎて行った。
四時近くになって、縁側に座って一息つきながら、近々草取りをするか、と考えていると、玄関の呼び鈴が鳴った。出てもいいものか一瞬迷ったものの、立ち上がって玄関へ向かった。
戸を開けると、立っていたのは白髪の頭をきれいにセットした七十代くらいと思しき老婦人だった。老婦人はにこやかに笑って挨拶した。
「わたしね、隣に住んでいる雨宮と言います。回覧板持って来たんだけど、勇樹君いるかしら?」
「勇樹は仕事で留守なんですけど……」
にこやかに笑った目の奥には探るような光を湛えている。
「もしかして、昨日引っ越してらした方?」
「はい……そうです」
「あ、わたしはね、勇樹君からしたら大叔母に当たるの」
雨宮さんと名乗るその老婦人は笑顔のままで少し声を落とし、「失礼ですけど、勇樹君とおたくとは、どういったご関係なのかしら」と続けた。
返す言葉に詰まった。
隣に住んでいる大叔母さんということであれば、姉はもちろん遠い親戚などという嘘も通じないだろう。ここはなんと説明すればいいのだろう。
答えあぐねていると、雨宮さんが口を開いた。
「もしかして、新しい恋人さん?」
「いえ、そんなんじゃないです。全然」
慌てて否定する。
「あら。でも引っ越してらしたってことは、一緒に住むってことでしょう? 今頃の若い人は、結婚前でも一緒に住む人もいるじゃない。別に珍しいことでもないんでしょう?」
「本当に違うんです。わたしと勇樹は……その……」
何と言ったものか。勇樹の大叔母さんとはいえ、初めて会った人にいちいちいきさつを説明する義理はない。かと言って適当な嘘は通じそうにないし……。
「友達です。わけあって、少しの間ここに置いてもらうことになって……」
「あら。そうなの……」
「はい……」
「やだ、ごめんなさいね。突然失礼なこと聞いちゃって。何にも知らなかったもんだから」
雨宮さんは納得はしていないようだったが、それ以上踏み込んで聞こうとはせず、回覧板を置いて帰って行った。
それから一時間半ほど経った頃、また玄関の呼び鈴が鳴った。
今度は誰だろう。出ないでおこうか。でももしまたお隣の雨宮さんだったら居留守はバレバレだ。仕方なく玄関へ向かった。
引き戸を開けて、顔を見合わせる。
お互い言葉が出なかった。
立っていたのは想像もしていなかった類の訪問者だったのだ。
小顔で色が白く、目鼻立ちのくっきりした美少女。ストレートのロングヘアは胸の辺りまであり、高校の制服らしきスカートからすらりとした細い脚が伸びている。
勇樹が出てくると思っていたのか、奈瑠と顔を合わせた瞬間に、彼女の微笑みは驚きの表情へと変わった。
瞬時にいろいろな考えが頭を駆け巡る。彼女はいったい誰なのか。勇樹の何なのか。親戚? 近所の子? 近所の子が何の用で? それともあれだろうか。勇樹は家庭教師の副業でもしていて、その生徒とか。それかうっかり家を間違えた、ただの通りすがり。そんなわけがない。やはり、あえて、意図的に、考えから外した答えがそうなのだろうか。けれど相手は女子高生だ。それは考えたくない。でも勇樹との歳の差は十歳くらいだろうし、姉がいうのもなんだが勇樹は長身で見た目は悪くない方だと思うし、カメラマンなんていうかっこよさげな仕事をしているし、このぐらいの歳の女の子が憧れるのもわからなくはない。
勇樹だって、こんな、そこら辺のアイドルよりもよっぽどかわいい女の子にだったら気持ちを持っていかれてもおかしくはない。やっぱり、そういうことなのだろうか……。
とにかく何か言わなければと思っていると、女子高生はいきなり踵を返し、逃げるように駆け出した。
「あっ、ちょっと待っ……」
たまたまか、わざわざか、彼氏の家に来てみたら、車はあるし、家の中に誰かいる気配がする。彼氏がいるんだと思って呼び鈴を鳴らしたら、出て来たのが知らない女の人だったから、びっくりして怖くなって逃げ出した――。おそらくそんなところだろう。
実は、ここの洗面所には歯ブラシが二本と女性用の化粧水のボトルがあったし、台所には、女性が好きそうなハーブのティーバッグがあった。それを見たとき、しまった、と思ったものだ。一人暮らしと聞いて衝動的にしばらく置いてくれるよう頼んだのだったが、彼女のことまでは頭になかった。とても申し訳ない気持ちになったのだったが、それにしても女子高生とは……。
台所の方で何かやっている気配がする。
奈瑠はのっそりと起き上がると、しばらくぼうっとしてからベッドを降りた。
ふすまを開けた瞬間、魚を焼く匂いがした。こんな匂いを嗅いだのはいつぶりだろうと思いながら、開け放たれた縁側へと出る。気持ちのいい朝日のせいで庭の雑草の緑さえ清々しい。大きく伸びをしていると勇樹が台所から出て来た。
「おう、姉ちゃんおはよ」
両手に持っていた皿を居間の食卓の上に置く。載っているメザシが匂いの正体のようだ。
「朝ご飯作ってんの?」
「そうだよ。一緒に食おうよ」
勇樹はまた台所に消えると、今度はご飯をよそった茶碗を二つ持って出て来た。
「早く顔洗って来いよ」
勇樹はまた台所へ戻った。奈瑠はのそのそとトイレへ向かった。
顔を洗って居間に戻ると、勇樹はもう食べ始めていた。勇樹の向かいに腰を下ろす。白いご飯と具だくさんのみそ汁とメザシが二匹、それにコーヒーが並べられている。とりあえずコーヒーを手に取った。
「ワカモノにしてはずいぶん渋いメニューだね。毎朝自分で作るの?」
「毎朝ってわけじゃないけど、作れるときはね。今日は出る時間が遅いけど、朝五時に家を出るときもあるし、寝不足で起きられないときもある。そういうときはコーヒーだけ。でも基本はご飯とみそ汁だな。ずっとばあちゃんと暮らしてたから」
「ごはん食べながらコーヒー飲むんだね。食後とかじゃなくて」
「これもばあちゃんから受け継いだ。もう当たり前になったよ」
奈瑠はしばらくゆっくりとコーヒーを飲んだ。
「姉ちゃん食わないの?」
「もちろん食べるよ。勇樹がせっかく作ってくれたんだもん」
「いつもは食わないの?」
「一人だと、あんまりね……」
保之が一緒だったときには何かと作ったものだ。
「朝はちゃんと食った方がいいんだぞ」
「このお味噌汁美味しそう。いただきます」
久しぶりに手作りの料理を口にした。しかも勇樹の。まさかこんな日が来るとは思ってもみなかった。
「勇樹、料理上手だね。これ何でダシとってるの?」
「そんなもん、ダシ入りの味噌だよ。あるものぶっこんで味噌溶いただけ」
「でも、美味しい。すごく」
本当にそう思った。
「姉ちゃん、顔ごといかなきゃ」
「へ?」
奈瑠はメザシの腹の上に置いていた箸を止めて勇樹を見た。
「もしかしてお上品に箸で割ってから食おうとしてない? ダメダメ。メザシはね、こうやって食うの」
勇樹は頭からがぶっとかぶりついて見せ、「カルシウムカルシウム」と言いながら口を動かした。
「ねえ勇樹、さっきメザシ『顔ごと』って言わなかった?」
「そんなこと言った?」
「あのさ、顔じゃなくて、頭でしょ。『魚を顔ごと食べる』なんて言わないでしょ。斬新すぎるんだけど」
聞き流しているのか勇樹は何も言わない。
「ねえ勇樹さ、ちょくちょく言葉おかしいんだけど、もしかして……」
「何だよ」
「バカなの?」
勇樹は口に含んだばかりのコーヒーをごくっと飲み込んだ。
「何でだよ。っていうか俺は理系なの」
「そういう問題でもないような気がするんだけど」
奈瑠は軽く首を傾げてみせてから、言われたとおりメザシに頭からかぶりついた。
「んっ。久しぶりに食べたこういうの。日本の味がする。いいね。こういうのも。でも『魚の顔』とか言う人が、よくあんな一流大学に行けたよね。裏口?」
勇樹が通っていたのは、奈瑠の大学よりランクが上の有名私大ということだった。
「アホか」
「冗談よ。でもやっぱりもったいなかった気がするな。そうそう入れない大学簡単に辞めちゃうなんて。もう少し待てばよかったのに」
「ま、いいじゃんその話は。俺もうすぐ出ないといけないから」
勇樹は「ごちそうさまでした」と手を合わせると、自分の分の食器を重ねて台所へ持って行った。
「片付けはわたしやっとくから」
背中に声をかけると、勇樹は振り向いて「サンキュ」と言って笑った。
天気がよかったので、洗濯をしたり荷物を整理したりしていると、時間はあっという間に過ぎて行った。
四時近くになって、縁側に座って一息つきながら、近々草取りをするか、と考えていると、玄関の呼び鈴が鳴った。出てもいいものか一瞬迷ったものの、立ち上がって玄関へ向かった。
戸を開けると、立っていたのは白髪の頭をきれいにセットした七十代くらいと思しき老婦人だった。老婦人はにこやかに笑って挨拶した。
「わたしね、隣に住んでいる雨宮と言います。回覧板持って来たんだけど、勇樹君いるかしら?」
「勇樹は仕事で留守なんですけど……」
にこやかに笑った目の奥には探るような光を湛えている。
「もしかして、昨日引っ越してらした方?」
「はい……そうです」
「あ、わたしはね、勇樹君からしたら大叔母に当たるの」
雨宮さんと名乗るその老婦人は笑顔のままで少し声を落とし、「失礼ですけど、勇樹君とおたくとは、どういったご関係なのかしら」と続けた。
返す言葉に詰まった。
隣に住んでいる大叔母さんということであれば、姉はもちろん遠い親戚などという嘘も通じないだろう。ここはなんと説明すればいいのだろう。
答えあぐねていると、雨宮さんが口を開いた。
「もしかして、新しい恋人さん?」
「いえ、そんなんじゃないです。全然」
慌てて否定する。
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「本当に違うんです。わたしと勇樹は……その……」
何と言ったものか。勇樹の大叔母さんとはいえ、初めて会った人にいちいちいきさつを説明する義理はない。かと言って適当な嘘は通じそうにないし……。
「友達です。わけあって、少しの間ここに置いてもらうことになって……」
「あら。そうなの……」
「はい……」
「やだ、ごめんなさいね。突然失礼なこと聞いちゃって。何にも知らなかったもんだから」
雨宮さんは納得はしていないようだったが、それ以上踏み込んで聞こうとはせず、回覧板を置いて帰って行った。
それから一時間半ほど経った頃、また玄関の呼び鈴が鳴った。
今度は誰だろう。出ないでおこうか。でももしまたお隣の雨宮さんだったら居留守はバレバレだ。仕方なく玄関へ向かった。
引き戸を開けて、顔を見合わせる。
お互い言葉が出なかった。
立っていたのは想像もしていなかった類の訪問者だったのだ。
小顔で色が白く、目鼻立ちのくっきりした美少女。ストレートのロングヘアは胸の辺りまであり、高校の制服らしきスカートからすらりとした細い脚が伸びている。
勇樹が出てくると思っていたのか、奈瑠と顔を合わせた瞬間に、彼女の微笑みは驚きの表情へと変わった。
瞬時にいろいろな考えが頭を駆け巡る。彼女はいったい誰なのか。勇樹の何なのか。親戚? 近所の子? 近所の子が何の用で? それともあれだろうか。勇樹は家庭教師の副業でもしていて、その生徒とか。それかうっかり家を間違えた、ただの通りすがり。そんなわけがない。やはり、あえて、意図的に、考えから外した答えがそうなのだろうか。けれど相手は女子高生だ。それは考えたくない。でも勇樹との歳の差は十歳くらいだろうし、姉がいうのもなんだが勇樹は長身で見た目は悪くない方だと思うし、カメラマンなんていうかっこよさげな仕事をしているし、このぐらいの歳の女の子が憧れるのもわからなくはない。
勇樹だって、こんな、そこら辺のアイドルよりもよっぽどかわいい女の子にだったら気持ちを持っていかれてもおかしくはない。やっぱり、そういうことなのだろうか……。
とにかく何か言わなければと思っていると、女子高生はいきなり踵を返し、逃げるように駆け出した。
「あっ、ちょっと待っ……」
たまたまか、わざわざか、彼氏の家に来てみたら、車はあるし、家の中に誰かいる気配がする。彼氏がいるんだと思って呼び鈴を鳴らしたら、出て来たのが知らない女の人だったから、びっくりして怖くなって逃げ出した――。おそらくそんなところだろう。
実は、ここの洗面所には歯ブラシが二本と女性用の化粧水のボトルがあったし、台所には、女性が好きそうなハーブのティーバッグがあった。それを見たとき、しまった、と思ったものだ。一人暮らしと聞いて衝動的にしばらく置いてくれるよう頼んだのだったが、彼女のことまでは頭になかった。とても申し訳ない気持ちになったのだったが、それにしても女子高生とは……。
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