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気の緩み
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「それじゃ、黒嶋くん。今日はお疲れ様」
「はい、お疲れ様です」
「今日は初めての深夜帯だったけど、大丈夫だったかい?」
俺は今日、店長と言う通り初めての深夜帯のシフトに入っていた。俺が深夜帯に入っていることはあくまで秘密なので、俺が深夜帯に入る時は店長も一緒に深夜帯のシフトに入ってくれるとのことだ。俺のわがままに付き合わせてしまって本当に申し訳なく思う.......。
「昼に寝ていたおかげか、思っていたより苦ではありませんでした」
「それなら、良かったんだけど辛くなったらちゃんと言うんだよ?」
「はい」
「それじゃ、今日はお疲れ様」
「お疲れ様でした」
俺はそう言って店を出る。早朝のシフトの人と鉢合わせてしまわないように、普通より15分ほど早くあがらせてもらっている。本当に店長には頭が上がらないな.......。
家の前にたどり着くと、部屋の電気がついていた。みゆは電気をつけたまま寝てしまったのだろうか?
「ただいま」
一応、みゆが寝ているかもしれないので小声で言ったのだがみゆは起きていた。
「おかえり和哉くん。お疲れ様」
「起きてたのか」
「和哉くんがバイトに行ってから1人で暇だったから本を読んでいたの」
みゆの言うことは本当なのだろう。なぜなら、みゆの布団の横には本が2冊ほど積まれており、みゆの手の中には本があるので恐らく2冊を読み終えて3冊目を読んでいる最中なのだろう。
「本を読むのもいいけど、ちゃんと寝ろよ?」
「もうすぐこの本も読み終わるから、読み終わったら寝るよ」
「そうか。それなら、風呂入ってもいいか?」
みゆが寝るなら、俺がシャワーを浴びる音はうるさいだろうから俺も寝て起きてから入ろうと思っていたのだけど、みゆが起きているならシャワーを浴びても問題ないだろう。
「もちろん」
みゆからの了承を得た俺はシャワーを浴びて、浴室から出るとみゆは本を布団の横に置いて、既に寝る体勢に入っていたのだが.......
「なんで、布団をくっつけてるんだ?」
みゆは俺の布団も引いていてくれたのだが、自分と布団と俺の布団をくっつけるような形で引いていたのだ。
「.......嫌なの?」
「べ、別に、嫌って訳ではないけど.......」
「なら、早く寝よ?」
嫌ではないから、問題ないという訳でもないと思うのだが.......けど、ここで布団を離したら嫌ってことになってしまうし.......よし! 何も考えずに寝てしまおう! 同じ布団で寝るわけではないのだからきっと大丈夫だろう! 何より、普通にもう眠い!
「それじゃ、電気消すぞ?」
「うん」
そう言ってみゆの引いてくれた布団に入って寝ようとするのだが.......すんなり寝れるわけなんてなかった。聞こえてしまうのだ.......耳をすましてる訳でもないのにみゆの息遣いが.......こんなの隣にみゆがいることを意識するなって言う方が無理だ。やっぱり、布団を離しておけば.......
「ねぇ、和哉くん」
「ん? なんだ」
「.......本当はね」
「本当は?」
「ううん。やっぱり、なんでもない」
「なんだよそれ」
「気にしないで。おやすみ」
そう言ってみゆは俺に背を向けてしまう。これはもう話しかけるなということだろう。.......みゆは何を言おうとしたんだ? 気にしないでって無理に決まっているだろ.......。そんなことを悶々と考えていると、いつの間にか俺は眠りについていた。
それからの日々は、みゆも俺の家に慣れてきたのかバイトから帰ってくるとご飯が用意されていたり、俺の深夜帯のシフトの日には布団を引いてくれていた。なぜだか、俺が深夜帯のシフトの日は本を読んで俺が帰ってくるまで起きているのだが。俺としてもみゆのいる生活に慣れてきており最初ほど緊張感はもうなくなっていた。しかし、問題というのはこういった気の緩んだ時に起こるのが常なのだ。俺はいつも通り、バイトに行こうと準備をしようと立ち上がったのだが、
「.......あれ」
立ち上がった瞬間。俺の視界は傾いていた。いや、俺自身が傾いていたのだ。
「和哉くん!?」
俺はそのまま倒れてしまい、みゆが俺の名前を叫んでいるのを聞いたのを最後に俺の意識は途切れてしまった。
「はい、お疲れ様です」
「今日は初めての深夜帯だったけど、大丈夫だったかい?」
俺は今日、店長と言う通り初めての深夜帯のシフトに入っていた。俺が深夜帯に入っていることはあくまで秘密なので、俺が深夜帯に入る時は店長も一緒に深夜帯のシフトに入ってくれるとのことだ。俺のわがままに付き合わせてしまって本当に申し訳なく思う.......。
「昼に寝ていたおかげか、思っていたより苦ではありませんでした」
「それなら、良かったんだけど辛くなったらちゃんと言うんだよ?」
「はい」
「それじゃ、今日はお疲れ様」
「お疲れ様でした」
俺はそう言って店を出る。早朝のシフトの人と鉢合わせてしまわないように、普通より15分ほど早くあがらせてもらっている。本当に店長には頭が上がらないな.......。
家の前にたどり着くと、部屋の電気がついていた。みゆは電気をつけたまま寝てしまったのだろうか?
「ただいま」
一応、みゆが寝ているかもしれないので小声で言ったのだがみゆは起きていた。
「おかえり和哉くん。お疲れ様」
「起きてたのか」
「和哉くんがバイトに行ってから1人で暇だったから本を読んでいたの」
みゆの言うことは本当なのだろう。なぜなら、みゆの布団の横には本が2冊ほど積まれており、みゆの手の中には本があるので恐らく2冊を読み終えて3冊目を読んでいる最中なのだろう。
「本を読むのもいいけど、ちゃんと寝ろよ?」
「もうすぐこの本も読み終わるから、読み終わったら寝るよ」
「そうか。それなら、風呂入ってもいいか?」
みゆが寝るなら、俺がシャワーを浴びる音はうるさいだろうから俺も寝て起きてから入ろうと思っていたのだけど、みゆが起きているならシャワーを浴びても問題ないだろう。
「もちろん」
みゆからの了承を得た俺はシャワーを浴びて、浴室から出るとみゆは本を布団の横に置いて、既に寝る体勢に入っていたのだが.......
「なんで、布団をくっつけてるんだ?」
みゆは俺の布団も引いていてくれたのだが、自分と布団と俺の布団をくっつけるような形で引いていたのだ。
「.......嫌なの?」
「べ、別に、嫌って訳ではないけど.......」
「なら、早く寝よ?」
嫌ではないから、問題ないという訳でもないと思うのだが.......けど、ここで布団を離したら嫌ってことになってしまうし.......よし! 何も考えずに寝てしまおう! 同じ布団で寝るわけではないのだからきっと大丈夫だろう! 何より、普通にもう眠い!
「それじゃ、電気消すぞ?」
「うん」
そう言ってみゆの引いてくれた布団に入って寝ようとするのだが.......すんなり寝れるわけなんてなかった。聞こえてしまうのだ.......耳をすましてる訳でもないのにみゆの息遣いが.......こんなの隣にみゆがいることを意識するなって言う方が無理だ。やっぱり、布団を離しておけば.......
「ねぇ、和哉くん」
「ん? なんだ」
「.......本当はね」
「本当は?」
「ううん。やっぱり、なんでもない」
「なんだよそれ」
「気にしないで。おやすみ」
そう言ってみゆは俺に背を向けてしまう。これはもう話しかけるなということだろう。.......みゆは何を言おうとしたんだ? 気にしないでって無理に決まっているだろ.......。そんなことを悶々と考えていると、いつの間にか俺は眠りについていた。
それからの日々は、みゆも俺の家に慣れてきたのかバイトから帰ってくるとご飯が用意されていたり、俺の深夜帯のシフトの日には布団を引いてくれていた。なぜだか、俺が深夜帯のシフトの日は本を読んで俺が帰ってくるまで起きているのだが。俺としてもみゆのいる生活に慣れてきており最初ほど緊張感はもうなくなっていた。しかし、問題というのはこういった気の緩んだ時に起こるのが常なのだ。俺はいつも通り、バイトに行こうと準備をしようと立ち上がったのだが、
「.......あれ」
立ち上がった瞬間。俺の視界は傾いていた。いや、俺自身が傾いていたのだ。
「和哉くん!?」
俺はそのまま倒れてしまい、みゆが俺の名前を叫んでいるのを聞いたのを最後に俺の意識は途切れてしまった。
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