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だからキミは推しだって!

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(…なんか、)
(同級生の推しに、校舎裏に呼び出されたのですが…。)
そう、私朱瀬あかせ 恋奈れなは戸惑っていた。放課後、校舎裏、目の前にイケメン、そしてそのイケメンに呼び出されたというこのシチュエーション。ただでさえ胸が高鳴る状況だというのに、眼前のグッドルッキングガイは何と推し。今何とか二本のあんよで立っている自分を、誰か称えてくれぬだろうか?
(いや待って何される私??何この神イベ??)
(今ならいっそカツアゲだろうと喜んでお受けします)
「…なぁ、朱瀬あかせ。」
「!」
「…どしたの、何の用?」
平静を装い訊くと、
「お前、彼氏とかいる?」
私の推し──海山みやま 理灯りひとが徐にそう訊ねて来た。
「……え、カレシ?」
「そんな虚しいこと聞いちゃう??私のクリスマスは推しとネットから出来てるが??」
「ふふっ、何だよそれ。」
(あ笑った~~かわいい~~)
(…っていや違う違うそうじゃない。)
推しの笑顔に脳が溶けそうになったので、自分の頬を軽く叩いて正気に戻した。
「…ねぇ、なんで急にそんなこと聞くの?」
不思議に思い訊ねると、
「……それは、その、」
「?」
「…朱瀬、」
「へ?は、はい」
「──俺と、付き合って欲しい。」
……ん? なんだ今の幻聴か?
「え、な…中々唐突だね。」
「…何のドッキリ?w」
「一応、…本気なんだけど?」
真剣な告白をドッキリと言われ傷ついたのか、ムスッとした顔で海山が返す。
(ぐっっっっかわ……)
(…なんて言ってる場合じゃねぇ!)
「えっと、その、」
「気持ちは嬉しいけど…ごめん。」
「………、そっか…。」
(うわぁ~~めっちゃシュンってなっちゃってんじゃん耳としっぽが見える見える)
「…その、理由とか聞いてもいい?」
「え、っと…その、」

だって、

「まだ疑ってんなら一応言っとく、」
「ドッキリでも罰ゲームでもないから。」

だって
    だって、

「俺、本当に朱瀬が好きd(「ちょ近い近い!!」

だって
    だって
        だって!!


「──だって、君は推しだから…!!」


「……、推し?」
(……待ってヤバイヤバイヤバイやっちまった)
(ドラ█もん!!タイムマシン持ってきて!!)
「…よく分かんないけど、つまり…」
「!」
「──『嫌いじゃない』って解釈で良いよな?」
「へ?っいやいや、」
「……いやそうだけど!!」
「えっ…と…」
…弁明を諦めた私は、全力で踵を返した。
「ごめん本っ当ごめんっっ!!やっぱナシにしてっ──」
逃げようとする私の腕を、
「……ヤダ、気が変わった。」
此奴こやつもまた全力で掴み阻止しに来る。
「好きな奴が確実に自分に好意向けてんのに、」
「…今更逃がせるほど俺は優しくない。」
(だっ、だからキミは推しだって~!!)
…と口に出したいところだが、そんな雰囲気ではない真剣な眼差しを向けられ、今度こそ私は言葉を失った。
「はァ…」
(こんなつもりじゃ…)
諦めた私は、こう言った。
「…なら、」

「──私をリアコにしてみせてよ。」




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