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蜜水⑨ BL風味注意
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「エリーゼ様、お待たせ致しました。ポーションの瓶をお持ち致しました。」
ポーションの瓶?キャスバルは首を巡らすと浅い箱にギッシリ入った瓶が持ち込まれていた。
ヨシッと小さな掛け声をエリーゼが発し、その小さな手を瓶に向けていた。
「さっきん・めっきん・こうきんしよう!ピッカピカのキレイキレイ!」
不思議な呪文を唱えた後、ピカッと光り瓶は美しく輝いていた。
ふぅ…と大きく息を吐くと、料理人に出来たばかりの液体を瓶に詰めてくれるように頼み込んでいる。
料理人は慣れたのか、鮮やかな手つきで液体をどんどん瓶に注ぎ込んでゆく。
手渡された瓶の中身は透明だったのに、今注がれている液体は腐ったような緑と茶色だ。
エリーゼは、小さな手を瓶にかざした。
「むしょくとうめい・ぼうふしょり!ざっきんはいじょ!」
謎の呪文を唱えると液体は真水のような透明な液体になっていました。
「しょうひきげんはせいぞうびからいちねんかん!いちねんたったらへんしょくしてかたまるよ!」
不思議な呪文を更に唱えたエリーゼは、何かをやり遂げた顔でキャスバルを見ました。
「キャス兄さま、できあがりです。びんにふたをして父さまにほうこくしにいきましょう!さぁ、キャス兄さまはびんのはいったはこをもってください!」
妹の頼みだから、持つ事は良いのだが何故父上に報告しに行くのか理解出来なかった。
だがキャスバルは上機嫌でトッタカトッタカ進んで行く、エリーゼの後を無言で付いて行く。
ードンドンドン
「父さまー!ほうこくにきましたー!」
「エリーゼ様、旦那様がお待ちですよ。」
ハインリッヒの側近のアレクが直ぐさま扉を開けて、執務室に招き入れてくれる。
エリーゼと共に執務室に入ると、来客用のソファへと案内される。
ハインリッヒは既に席について、紅茶を楽しんでいた。
エリーゼとキャスバルを見据える目は、静かだが父と言うより領主に近いものが漂っていた。
「2人とも座りなさい。キャスバル、それがエリーゼの作った物か?アレク、キャスバルから受け取って1つこちらに持ってきてくれ。」
「畏まりました。キャスバル様、お預かり致します。」
淡々と箱を受け取り、執務机の上に置くと1瓶抜き取りハインリッヒに手渡す。
ハインリッヒは瓶の蓋を開け、中身の確認をする。
手のひらに少し垂らし、トロミ具合や匂い等を真剣に見ている。
「父さま!ポーションのざいりょうもつかってますし、からだにがいのあるものははいってません!たとえくちにはいってもがいはないです。」
ハインリッヒに臆すること無く、発言する妹の大胆さが正直羨ましいと感じるキャスバルは無言で事の成り行きを見守っていた。
ポーションの瓶?キャスバルは首を巡らすと浅い箱にギッシリ入った瓶が持ち込まれていた。
ヨシッと小さな掛け声をエリーゼが発し、その小さな手を瓶に向けていた。
「さっきん・めっきん・こうきんしよう!ピッカピカのキレイキレイ!」
不思議な呪文を唱えた後、ピカッと光り瓶は美しく輝いていた。
ふぅ…と大きく息を吐くと、料理人に出来たばかりの液体を瓶に詰めてくれるように頼み込んでいる。
料理人は慣れたのか、鮮やかな手つきで液体をどんどん瓶に注ぎ込んでゆく。
手渡された瓶の中身は透明だったのに、今注がれている液体は腐ったような緑と茶色だ。
エリーゼは、小さな手を瓶にかざした。
「むしょくとうめい・ぼうふしょり!ざっきんはいじょ!」
謎の呪文を唱えると液体は真水のような透明な液体になっていました。
「しょうひきげんはせいぞうびからいちねんかん!いちねんたったらへんしょくしてかたまるよ!」
不思議な呪文を更に唱えたエリーゼは、何かをやり遂げた顔でキャスバルを見ました。
「キャス兄さま、できあがりです。びんにふたをして父さまにほうこくしにいきましょう!さぁ、キャス兄さまはびんのはいったはこをもってください!」
妹の頼みだから、持つ事は良いのだが何故父上に報告しに行くのか理解出来なかった。
だがキャスバルは上機嫌でトッタカトッタカ進んで行く、エリーゼの後を無言で付いて行く。
ードンドンドン
「父さまー!ほうこくにきましたー!」
「エリーゼ様、旦那様がお待ちですよ。」
ハインリッヒの側近のアレクが直ぐさま扉を開けて、執務室に招き入れてくれる。
エリーゼと共に執務室に入ると、来客用のソファへと案内される。
ハインリッヒは既に席について、紅茶を楽しんでいた。
エリーゼとキャスバルを見据える目は、静かだが父と言うより領主に近いものが漂っていた。
「2人とも座りなさい。キャスバル、それがエリーゼの作った物か?アレク、キャスバルから受け取って1つこちらに持ってきてくれ。」
「畏まりました。キャスバル様、お預かり致します。」
淡々と箱を受け取り、執務机の上に置くと1瓶抜き取りハインリッヒに手渡す。
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手のひらに少し垂らし、トロミ具合や匂い等を真剣に見ている。
「父さま!ポーションのざいりょうもつかってますし、からだにがいのあるものははいってません!たとえくちにはいってもがいはないです。」
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