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蜜水⑫ BL風味注意
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ハインリッヒは執務室に残った子供たちと話し合いをせねばならなかった。
2人からの聞き取りを始めて、改めてこの蜜水の有用性の高さに興奮が隠せないでいた。
トロミの主原料が海草である以上、隣のウナス領以外は手出し出来ない事。
桃の葉やナオ草やウルオ草等は比較的入手し易いが、蜂蜜は高級品であるため入手できるのは限られた者だけである事。
そしてエリーゼが唱えたと言う不思議な呪文、これこそが最大の謎であり又有用性の高さを上げる一因でもあった。
蜜水を作るのは、女でもできる事がハインリッヒを喜ばせる最大の理由であった。
シュバルツバルト領は魔物に襲われる事が多く、討伐隊を出しているのだが全くの無傷とはいかなかった。
討伐隊での死傷者と襲われる居住区の住人達……
毎年何人もの死者を出し、未亡人や孤児が出続けているのだ。
男達は家族や仲間を守るために亡くなる者が多いため、女子供の生存率が高くなっているのだ。
また、妻や子供を亡くした男は新たに妻や子持ちの未亡人と再婚する者が殆どだった。
だが、そんな者はほんの僅かで残された女子供を路頭に迷わせる訳にはいかなかった。
その救済措置として孤児院や救護院と呼ばれる母子で身を寄せれる場所などを作ったものの、生計を立てるのは中々大変で食べていくのがやっとの者もかなり居た。
そんな者達を優先的に雇用すれば、飢えや貧しさに苦しむ者が減る事につながる。
ただ1つ、エリーゼが唱えた不思議な呪文の事だけが気に掛かっていた。
魔法を使える者ならば使えるのか?と言う疑問だ。
こればっかりは試してみないと、何とも言えないが何となくだがエリーゼの様子から大丈夫そうだとハインリッヒは踏んだ。
ハインリッヒは2人と話ながら、頭の中でアレコレ考えていた。
「エリーゼ、この呪文だが誰が言っても効くのか?」
不意にキャスバルがエリーゼに疑問をぶつけた。
だがハインリッヒも聞きたい事柄だったため、黙ってエリーゼの返事を待った。
聞かれたエリーゼはキョトンとキャスバルを見つめ、頭をコテンと倒して……
「むつかしいおまじないじゃないです。たぶんつかえるとおもいます。キャス兄さま、ためしてみたらいいとおもうのです。」
そう言うとソファから飛び降りテーブルの上に置かれていた、蓋の取れた瓶を手に取り紅茶を注いだ。
透明な液体に薄い茶色が入り込んでいく。
その瓶をズイッと押し出してきた妹を見ると、期待に満ちた瞳でキャスバルを見つめている。
キャスバルは瓶に手をかざし呪文を唱えた。
「さっきん・めっきん・こうきんしよう!ピッカピカのキレイキレイ!」
「むしょくとうめい・ぼうふしょり!ざっきんはいじょ!」
「しょうひきげんはせいぞうびからいちねんかん!いちねんたったらへんしょくしてかたまるよ!」
次々と唱えると、瓶の中身がピカッと光った後に透明になった。
ただし紅茶を入れたせいか、作った物より水っぽくなってるように見えた。
「だれでもできそうですね。」
エリーゼは嬉しそうに、破顔しキャスバルに言うと兄のホッとした顔を見つめた。
2人からの聞き取りを始めて、改めてこの蜜水の有用性の高さに興奮が隠せないでいた。
トロミの主原料が海草である以上、隣のウナス領以外は手出し出来ない事。
桃の葉やナオ草やウルオ草等は比較的入手し易いが、蜂蜜は高級品であるため入手できるのは限られた者だけである事。
そしてエリーゼが唱えたと言う不思議な呪文、これこそが最大の謎であり又有用性の高さを上げる一因でもあった。
蜜水を作るのは、女でもできる事がハインリッヒを喜ばせる最大の理由であった。
シュバルツバルト領は魔物に襲われる事が多く、討伐隊を出しているのだが全くの無傷とはいかなかった。
討伐隊での死傷者と襲われる居住区の住人達……
毎年何人もの死者を出し、未亡人や孤児が出続けているのだ。
男達は家族や仲間を守るために亡くなる者が多いため、女子供の生存率が高くなっているのだ。
また、妻や子供を亡くした男は新たに妻や子持ちの未亡人と再婚する者が殆どだった。
だが、そんな者はほんの僅かで残された女子供を路頭に迷わせる訳にはいかなかった。
その救済措置として孤児院や救護院と呼ばれる母子で身を寄せれる場所などを作ったものの、生計を立てるのは中々大変で食べていくのがやっとの者もかなり居た。
そんな者達を優先的に雇用すれば、飢えや貧しさに苦しむ者が減る事につながる。
ただ1つ、エリーゼが唱えた不思議な呪文の事だけが気に掛かっていた。
魔法を使える者ならば使えるのか?と言う疑問だ。
こればっかりは試してみないと、何とも言えないが何となくだがエリーゼの様子から大丈夫そうだとハインリッヒは踏んだ。
ハインリッヒは2人と話ながら、頭の中でアレコレ考えていた。
「エリーゼ、この呪文だが誰が言っても効くのか?」
不意にキャスバルがエリーゼに疑問をぶつけた。
だがハインリッヒも聞きたい事柄だったため、黙ってエリーゼの返事を待った。
聞かれたエリーゼはキョトンとキャスバルを見つめ、頭をコテンと倒して……
「むつかしいおまじないじゃないです。たぶんつかえるとおもいます。キャス兄さま、ためしてみたらいいとおもうのです。」
そう言うとソファから飛び降りテーブルの上に置かれていた、蓋の取れた瓶を手に取り紅茶を注いだ。
透明な液体に薄い茶色が入り込んでいく。
その瓶をズイッと押し出してきた妹を見ると、期待に満ちた瞳でキャスバルを見つめている。
キャスバルは瓶に手をかざし呪文を唱えた。
「さっきん・めっきん・こうきんしよう!ピッカピカのキレイキレイ!」
「むしょくとうめい・ぼうふしょり!ざっきんはいじょ!」
「しょうひきげんはせいぞうびからいちねんかん!いちねんたったらへんしょくしてかたまるよ!」
次々と唱えると、瓶の中身がピカッと光った後に透明になった。
ただし紅茶を入れたせいか、作った物より水っぽくなってるように見えた。
「だれでもできそうですね。」
エリーゼは嬉しそうに、破顔しキャスバルに言うと兄のホッとした顔を見つめた。
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