婚約破棄されまして・裏

竹本 芳生

文字の大きさ
13 / 756

蜜水⑬ BL風味注意

しおりを挟む
不安材料をとりあえずとは言え、取り除いた為ハインリッヒは子供たちに下がるよう言い渡した。
キャスバルとエリーゼはそれぞれの自室へと戻って行った。
キャスバルが自室に戻ると身支度を整えたレイが、恥ずかしそうな顔で待っていた。

「その、結構休ませて頂いたので体は楽になりました。」

レイの動きを見る限り、普段と変わらない事に驚く。
今までならば、裂傷等で半日休ませる事や動きに不自然さが出たのだが今見る限りでは全く感じない。

「普段と変わらなく見える。」

キャスバルの疑問は最もなものだった。

「はい。疲労感と言うか気怠い感じはしますが、いつもの様な痛みは無いです。」

少し照れたように答えるレイは少年らしい、初々しい可愛さであった。

「レイ、エリーゼが作ったやつだが蜜水と名付けた。試した物よりトロミと効能を上げて、さらに乾きにくくなったから使い勝手も良いだろう。」

キャスバルの言葉にレイは考え込んだ。
それ程の物ならば領主である旦那様や奥様が放っておく事は無い、何とかして次期領主となるキャスバルに1枚噛んで貰いたい。

「キャスバル様、試したのは私達です。ならば私達がこの先にも携わらなければいけないと私は思ってます。」

レイの思う所は理解している、自分もここで何とか踏み込まないといけないと。

「分かっている。おそらくだが、父上は女性を多用するのではないかな?材料の入手のし易さや作り方等女性でも十分出来る。母上も帝国の祖父殿の元に送っている。おそらくだがこの蜜水は他領では作る事が出来ないだろう。我が領のみで作る事で富を得る事になるだろう。」

キャスバルはレイの近くに歩み寄り、抱き締めると深く口づけた。
ただ、勢いが欲しかった。
明日か明後日には、帝国からの返事が来る。
それでは遅い、今決断し父上の元に行き話し合わなければ全て父が取り仕切る。
そっとレイの体を離し、人の悪い笑みを浮かべる。
レイ以外には見せない顔だった。

「父上に直談判だ。父上だけじゃない、俺も携わって行く。決まったら付いてこい。いずれ俺とお前が取り仕切る。」

強い瞳の男を、男らしい男を憧れない少年はいない。
レイはキャスバルに憧れ、側近であることは誇りでもあった。

「レイ、行ってくる。」

「吉報を待っております。行ってらっしゃいませ!」

レイは誇らしい笑顔で送り出した。
しおりを挟む
感想 3,411

あなたにおすすめの小説

遡ったのは君だけじゃない。離縁状を置いて出ていった妻ーー始まりは、そこからだった。

沼野 花
恋愛
夫と子供たちに、選ばれなかったイネス。 すべてを愛人に奪われ、彼女は限界を迎え、屋敷を去る。 だが、その先に待っていたのは、救いではなかった。 イネスを襲った、取り返しのつかない出来事。 変わり果てた現実を前に、 夫はようやく、自分が何を失ったのかを思い知る。 深い後悔と悲しみに苛まれながら、 失ったイネスの心を取り戻そうとする夫。 しかし、彼女の心はすでに、外の世界へと向かっていた。 贖罪を背負いながらもイネスを求め続ける夫。 そして、母の心を知っていく子供たち。 イネスが求める愛とは、 そして、幸せとは――。

王子を身籠りました

青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。 王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。 再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。

踏み台(王女)にも事情はある

mios
恋愛
戒律の厳しい修道院に王女が送られた。 聖女ビアンカに魔物をけしかけた罪で投獄され、処刑を免れた結果のことだ。 王女が居なくなって平和になった筈、なのだがそれから何故か原因不明の不調が蔓延し始めて……原因究明の為、王女の元婚約者が調査に乗り出した。

娼館で元夫と再会しました

無味無臭(不定期更新)
恋愛
公爵家に嫁いですぐ、寡黙な夫と厳格な義父母との関係に悩みホームシックにもなった私は、ついに耐えきれず離縁状を机に置いて嫁ぎ先から逃げ出した。 しかし実家に帰っても、そこに私の居場所はない。 連れ戻されてしまうと危惧した私は、自らの体を売って生計を立てることにした。 「シーク様…」 どうして貴方がここに? 元夫と娼館で再会してしまうなんて、なんという不運なの!

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

完結 王族の醜聞がメシウマ過ぎる件

音爽(ネソウ)
恋愛
王太子は言う。 『お前みたいなつまらない女など要らない、だが優秀さはかってやろう。第二妃として存分に働けよ』 『ごめんなさぁい、貴女は私の代わりに公儀をやってねぇ。だってそれしか取り柄がないんだしぃ』 公務のほとんどを丸投げにする宣言をして、正妃になるはずのアンドレイナ・サンドリーニを蹴落とし正妃の座に就いたベネッタ・ルニッチは高笑いした。王太子は彼女を第二妃として迎えると宣言したのである。 もちろん、そんな事は罷りならないと王は反対したのだが、その言葉を退けて彼女は同意をしてしまう。 屈辱的なことを敢えて受け入れたアンドレイナの真意とは…… *表紙絵自作

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

王が気づいたのはあれから十年後

基本二度寝
恋愛
王太子は妃の肩を抱き、反対の手には息子の手を握る。 妃はまだ小さい娘を抱えて、夫に寄り添っていた。 仲睦まじいその王族家族の姿は、国民にも評判がよかった。 側室を取ることもなく、子に恵まれた王家。 王太子は妃を優しく見つめ、妃も王太子を愛しく見つめ返す。 王太子は今日、父から王の座を譲り受けた。 新たな国王の誕生だった。

処理中です...