婚約破棄されまして・裏

竹本 芳生

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婚姻式の日  ~後宮にて~

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「待たせたかしら?」

楽しそうなフェリシアの声が部屋に響く。
グレースは立ち上がり、フェリシアの元へと駆け寄る。

「待ってなんて!あぁ、でもフェリシア様!とても素敵!ずっと、お側に居て頂きたいわ!」

グレースはいつも、このフェリシアの悪戯を気にいっていた。

学園時代はこっそり、部屋付きの侍女の真似事をしてみたり。
王太子妃時代にも侍女の恰好をして、朝から夕方まで一緒に過ごした事もあった。

今日は第3王子妃になる男爵令嬢の様子を見るのと、無事に証立ての儀が済むのを確認するために侍女として動きたい。
その申し出にグレースは喜んで、侍女のお仕着せを用意し侍女頭にお願いをしたのだ。
『フェリシア様に協力して頂戴。』
と、グレースの困りごとをどうにかしてくれる親友フェリシア。
侍女頭をはじめとする、王妃付きの侍女は皆そう信じている。
そして今回もグレース様のお心を悩ませる第3王子の妻になる、あの男爵令嬢をどうにかして下さる。
きっと今すぐには分からなくても、必ずいつか分かるよう取り計らって下さる。
フェリシアの信頼は絶大だ。

「ウフフ、ずっとだなんて。グレース様、ご無理は仰有らないで。」

フェリシアの笑顔は、いつも優しい。
グレースの心がほんのり癒される。
最近は何一つ成果の上がらない、離宮にやった家庭教師の報告で苛つく事もあった。
甘やかしたツケなのか、末息子が後宮に入れろと駄々を捏ねたりと心安まる事が少なかったのだ。

「グレース様、そろそろお仕度を為さいませんと。」

侍女頭が声を掛けてきた、今日の婚姻式の準備を為ねばならないからだ。
国王と王妃は玉座から、若い2人の門出を許し祝わねばならない。
立ち会うのは、王太子と王太子妃・第2王子・第2王子妃の4人だ。

グレースは残念そうに侍女頭の元へと歩み寄る。

「フェリシア様、フェリシア様からお借りした侍女も婚姻式の前にはこちらにいらっしゃいます。大変助かりましたわ。」

「いいえ、私もあの2人から色々話を聞けるのを楽しみにしていたのよ。」

グレースもフェリシアもクスクスと小さく笑った。

そしてひとしきり笑った後で、グレースは王妃としての支度をするために、この部屋から出て行った。
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