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討伐の旅 3
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「失礼致しますわ。」
俺が部屋を出る前に、誰か………
母上が入ってきた。
侍女数人を連れ、慌ただしく父上の元へと歩いて行く。
…………俺の事をチラリとも見なかった。
「あぁ……貴方達も居たのね。」
「この様な時間に如何したのだ?グレース。」
「今、王都に放っていた者から報告を受けました。早朝、王都開門と同時に行商人に混じって民が出て行ったと。」
民の出る事の何を慌てているんだ?
「………!報告に上がる位だ、少なくは無いと言うことか……」
「はい、中には店をたたんだ者らしき者が数人いたと……また、貴族の一隊にも混じっていたとの報告もあります。」
兄上達も難しい顔で聞いてる………なんでだ?
「貴族にか……そのまま領民になる、と言うことか。」
?王都民から領民になる事の何がいけないのだ?
「えぇ……おそらくは。これでシュバルツバルト家が王都から出ていけば、民の流出は更に増すでしょう。」
母上の言葉に父上も兄上達も難しい顔で黙り込んだ。
「それの何が悪いと言うのだ?」
さっぱり分からん……だが、思わず出た言葉に父上も母上も兄上達も………
憎々しげに俺を見た。
何でっ!何で、そんな目で俺を見るっ!
俺が何をしたって言うんだ!
「其方はまだ、居ったのか………早う、出て行け。政が分からぬ者に、口を出されては叶わん。」
「なっ!父上!」
「誰ぞ、此奴を連れ出せ!」
「父上っ!」
あっという間だった。
父上に聞こうと声を掛けたのに、俺の言うことを何一つ聞かずに部屋から追い出した。
まるで邪魔者のように……部屋の隅に居た近衛兵に引き摺り出され、部屋から追い出された。
俺は部屋の前で、再び入れて貰う為に立っていた。
「殿下、いつまでも此方に居られても私共も困ります。殿下には王命が下されております。速やかにお部屋にお戻りになり、出立の準備をされますよう。」
近衛兵の兵隊長に、そう声を掛けられ俺は自室へと歩き出した。
誰も彼も、俺を冷たい目で見る……見る位ならば良い……
中には、俺の姿を見た瞬間にどこかへ消えてしまう者もいる。
俺は王子なんだぞ………蔑ろにする事なぞ許される………許されるのか?
父上達の態度……俺は……………
まさか…………俺は………………
立ち止まり、回りを見渡す。
誰も………誰一人居ない………?
いや、所定の位置に衛兵がいる。
いつもはもう少し居たはずだ………
しん………と静まり返った広い王宮の廊下に、俺と僅かな衛兵だけ。
俺は王族にありながら、家族に厭われた………
涙がこぼれそうな気持ちに蓋をして、早足で自室に戻った。
何かに逃げるように、追われるように。
俺が部屋を出る前に、誰か………
母上が入ってきた。
侍女数人を連れ、慌ただしく父上の元へと歩いて行く。
…………俺の事をチラリとも見なかった。
「あぁ……貴方達も居たのね。」
「この様な時間に如何したのだ?グレース。」
「今、王都に放っていた者から報告を受けました。早朝、王都開門と同時に行商人に混じって民が出て行ったと。」
民の出る事の何を慌てているんだ?
「………!報告に上がる位だ、少なくは無いと言うことか……」
「はい、中には店をたたんだ者らしき者が数人いたと……また、貴族の一隊にも混じっていたとの報告もあります。」
兄上達も難しい顔で聞いてる………なんでだ?
「貴族にか……そのまま領民になる、と言うことか。」
?王都民から領民になる事の何がいけないのだ?
「えぇ……おそらくは。これでシュバルツバルト家が王都から出ていけば、民の流出は更に増すでしょう。」
母上の言葉に父上も兄上達も難しい顔で黙り込んだ。
「それの何が悪いと言うのだ?」
さっぱり分からん……だが、思わず出た言葉に父上も母上も兄上達も………
憎々しげに俺を見た。
何でっ!何で、そんな目で俺を見るっ!
俺が何をしたって言うんだ!
「其方はまだ、居ったのか………早う、出て行け。政が分からぬ者に、口を出されては叶わん。」
「なっ!父上!」
「誰ぞ、此奴を連れ出せ!」
「父上っ!」
あっという間だった。
父上に聞こうと声を掛けたのに、俺の言うことを何一つ聞かずに部屋から追い出した。
まるで邪魔者のように……部屋の隅に居た近衛兵に引き摺り出され、部屋から追い出された。
俺は部屋の前で、再び入れて貰う為に立っていた。
「殿下、いつまでも此方に居られても私共も困ります。殿下には王命が下されております。速やかにお部屋にお戻りになり、出立の準備をされますよう。」
近衛兵の兵隊長に、そう声を掛けられ俺は自室へと歩き出した。
誰も彼も、俺を冷たい目で見る……見る位ならば良い……
中には、俺の姿を見た瞬間にどこかへ消えてしまう者もいる。
俺は王子なんだぞ………蔑ろにする事なぞ許される………許されるのか?
父上達の態度……俺は……………
まさか…………俺は………………
立ち止まり、回りを見渡す。
誰も………誰一人居ない………?
いや、所定の位置に衛兵がいる。
いつもはもう少し居たはずだ………
しん………と静まり返った広い王宮の廊下に、俺と僅かな衛兵だけ。
俺は王族にありながら、家族に厭われた………
涙がこぼれそうな気持ちに蓋をして、早足で自室に戻った。
何かに逃げるように、追われるように。
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