婚約破棄されまして・裏

竹本 芳生

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ざわめき

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それは彼等にとって初めて嗅ぐ匂いでした。
はじめは誰も気にして無かったのです。
ですが風に乗って流れて来る、初めて嗅ぐ匂いは彼等の胃袋を刺激したのです。

「おいっ!この匂いは何だ!」

彼等の中で最もお金がありそうな若者が、大声で叫びました。
若者も初めて嗅ぐ匂いだが、とにかくお腹が空く匂いなのです。

「私には分かりません。ですが、シュバルツバルト候爵一行からでしょう。」

少し年嵩の青年が、丁寧にお辞儀して答えると若者は難しい顔をして黙り込みました。

「……そんな事は分かってる……初めて嗅ぐから、何か知っているのかと思ったんだ。」

若者はただ知りたかったのでした。討伐に行く者だけが知ってる料理なのかと……でも、聞き方がなってませんね。

「いえ、私も初めて嗅ぐ匂いです。ジークフリート殿下も知らないのですか?」

「知らない。」

年嵩の青年も知らない料理のようです。若者の名はジークフリート殿下と言うようです。
でも彼等が知らなくて当たり前です、だって、この世界では初めての味付けで殆ど知られてない蒸し料理だからです。

「そうか……それにしても美味しそうな匂いだな……」

「ええ、初めて嗅ぐ匂いですが腹が減る匂いですな。」

二人だけではありません。そこに居る大勢の兵士達も、初めて嗅ぐ匂いに戸惑いながらもチラチラとシュバルツバルト候爵一行の方を見てました。
彼等の殆どが思い願ってました。
自分達にも恵んでくれないかな……と。



彼等の願いが届くかどうかは、ニャンコ達を可愛がる強く美しい候爵令嬢の気持ち一つでした。


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

どうなるかな~( ´艸`)
短いけど、チラッとね!
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