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逃亡 6 注意!このお話は少し未来のお話です!
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どれくらいの時間僕と姉さんは食堂に居たんだろう……
「待たせちまったねぇ、ミリアーヌあんたからだよ。」
「はい。」
マキナさんに呼ばれて、姉さんは引きずるように連れて行かれた。
「心配しなくて良い。私はカロナ、マリウスはお姉さんが好きなんだね。」
「はい。僕の事をいつも考えてくれて、僕の事を一番にしてくれるのは姉さんだけだから……」
「そうか……良い姉さんだね。今、マキナがうんとキレイにしてるからね。安心しな。」
キレイ?姉さんはいつも汚れには気を付けているのに、何でそんな事言うんだろう。
「分からないって顔だね。まぁ、暫くはここでゆっくり過ごすんだよ。誰かが一緒になるから安心しな。」
「あの……それはありがたいのですが、僕達は今どこに居るのかも分からないしどこに行くのかも分からないんで心細いです。」
「あ……あー、そうか分からないか。ここはヒュージ領って言ってね、シュバルツバルト侯爵様の寄子貴族の領地だよ。ドゥルテ領の隣だけど、おいそれと手出しは出来ない所だ安心しなよ。そうだね、きっとあんた達はシュバルツバルト侯爵領に行くことになると思うよ。あそこは人手不足だからね、姉弟の二人でまっとうな暮らしが出来るのはおうこく広しと言えどあそこだけだろうしね。」
「娼館なら働けます!」
「ああ、知らなかったか。シュバルツバルト侯爵領は娼館が無いんだよ。人手不足って言ったろ、娼婦買う位なら婚姻して子供を増やせって政策でね。仕事はうんざりする程あるし困り事は相談所もあるし、安心して暮らしていけるんだよ。」
「娼館が無い……でも、じゃあ……僕達……」
「大丈夫だって、シュバルツバルト侯爵領は豊で仕事も豊富なんだよ。ちゃんと暮らして行けるように手筈を整えるから、あんまり考えるなって。」
「はい……」
どうやって生きていけば良いんだろう……仕事が沢山あるって言われたって……
「ああ、蜜水はシュバルツバルト侯爵領の特産品だ。あれに関わる仕事も、人手不足だって聞いたよ。なんせ、帝国にも出してるからね!噂じゃあ聞いた事ないような国にも売ってるってさ!」
あの蜜水が?行商人から買ってたけど、いつでも人気の品で頼まれた分だけでも大変だって言ってた。
「それ以外にも特産品が色々あるんだ、きっと気に入る仕事があるって。だから、そんな顔するんじゃないよ。おっと、お姉さんが帰って来たよ!」
どこもかしこもホコホコと湯気を立てて歩いて来る姉さんは見た事ない位キレイになっていた。
服も新しい物を着ていた……本当にうんとキレイになった。
「ほら、次はマリウスの番だよ。じゃあ、旦那さんよろしく頼んだよ。」
「おう、さ……こっちだ。」
連れて行かれた先の部屋は湯気がモウモウとしていて、温かくて……素っ裸にされて温かい湯をかけられ、塩で体を擦られ驚いたけど気持ち良くて気持ち良くて……つい、旦那さんにねだったけど「俺は無理だ。」って言われてちょっと悲しかったけど……でも頭のてっぺんから足先まで何度も擦られ、沢山の湯の中に入れられて……こんなに気持ち良くて温かいのは初めてで嬉しくて嬉しくて泣いた。子供みたいにワアワア泣いたけど、旦那さんは何も言わずに頭を撫でてくれて……それが嬉しくてまた泣いた。
僕が泣きやんだら手ぬぐいで顔を拭かれて、湯から引っ張り出された。
びしゃびしゃの僕の頭から体まで全部、拭かれて新しい服を渡された。
「今まで着てたのはいたんでるし、明日洗うからな。これはさっき買ったやつだ、マリウスの服だから交代で着れば良い。」
旦那さんに連れて行かれた部屋は広い部屋で、姉さんがフカフカしたソファに座って待っていた。
「マリウス。この部屋ね、二つ寝室があるんですって。だからどっちかの部屋がマリウスの部屋よ。好きな方を選んでね。」
「良いのかな?こんなにして貰って……」
「分からない……分からないけど、あそこに戻るより良いわ。きっと。」
「そっか……そうだね。僕、あっちの部屋にするね。」
「じゃあ、私はこっちの部屋で寝るわね。何かあったら、すぐに来るのよ。」
「うん、姉さんお休みなさい。」
「お休み、マリウス。良い夢を。」
姉さんは立ち上がって扉の先に消えた。
あそこに戻るより良い……姉さんの言うとおりだ。
寝よう……部屋に入って驚いた。フカフカのベッド……もぐり込んで横になってあっという間に寝てしまった。
「待たせちまったねぇ、ミリアーヌあんたからだよ。」
「はい。」
マキナさんに呼ばれて、姉さんは引きずるように連れて行かれた。
「心配しなくて良い。私はカロナ、マリウスはお姉さんが好きなんだね。」
「はい。僕の事をいつも考えてくれて、僕の事を一番にしてくれるのは姉さんだけだから……」
「そうか……良い姉さんだね。今、マキナがうんとキレイにしてるからね。安心しな。」
キレイ?姉さんはいつも汚れには気を付けているのに、何でそんな事言うんだろう。
「分からないって顔だね。まぁ、暫くはここでゆっくり過ごすんだよ。誰かが一緒になるから安心しな。」
「あの……それはありがたいのですが、僕達は今どこに居るのかも分からないしどこに行くのかも分からないんで心細いです。」
「あ……あー、そうか分からないか。ここはヒュージ領って言ってね、シュバルツバルト侯爵様の寄子貴族の領地だよ。ドゥルテ領の隣だけど、おいそれと手出しは出来ない所だ安心しなよ。そうだね、きっとあんた達はシュバルツバルト侯爵領に行くことになると思うよ。あそこは人手不足だからね、姉弟の二人でまっとうな暮らしが出来るのはおうこく広しと言えどあそこだけだろうしね。」
「娼館なら働けます!」
「ああ、知らなかったか。シュバルツバルト侯爵領は娼館が無いんだよ。人手不足って言ったろ、娼婦買う位なら婚姻して子供を増やせって政策でね。仕事はうんざりする程あるし困り事は相談所もあるし、安心して暮らしていけるんだよ。」
「娼館が無い……でも、じゃあ……僕達……」
「大丈夫だって、シュバルツバルト侯爵領は豊で仕事も豊富なんだよ。ちゃんと暮らして行けるように手筈を整えるから、あんまり考えるなって。」
「はい……」
どうやって生きていけば良いんだろう……仕事が沢山あるって言われたって……
「ああ、蜜水はシュバルツバルト侯爵領の特産品だ。あれに関わる仕事も、人手不足だって聞いたよ。なんせ、帝国にも出してるからね!噂じゃあ聞いた事ないような国にも売ってるってさ!」
あの蜜水が?行商人から買ってたけど、いつでも人気の品で頼まれた分だけでも大変だって言ってた。
「それ以外にも特産品が色々あるんだ、きっと気に入る仕事があるって。だから、そんな顔するんじゃないよ。おっと、お姉さんが帰って来たよ!」
どこもかしこもホコホコと湯気を立てて歩いて来る姉さんは見た事ない位キレイになっていた。
服も新しい物を着ていた……本当にうんとキレイになった。
「ほら、次はマリウスの番だよ。じゃあ、旦那さんよろしく頼んだよ。」
「おう、さ……こっちだ。」
連れて行かれた先の部屋は湯気がモウモウとしていて、温かくて……素っ裸にされて温かい湯をかけられ、塩で体を擦られ驚いたけど気持ち良くて気持ち良くて……つい、旦那さんにねだったけど「俺は無理だ。」って言われてちょっと悲しかったけど……でも頭のてっぺんから足先まで何度も擦られ、沢山の湯の中に入れられて……こんなに気持ち良くて温かいのは初めてで嬉しくて嬉しくて泣いた。子供みたいにワアワア泣いたけど、旦那さんは何も言わずに頭を撫でてくれて……それが嬉しくてまた泣いた。
僕が泣きやんだら手ぬぐいで顔を拭かれて、湯から引っ張り出された。
びしゃびしゃの僕の頭から体まで全部、拭かれて新しい服を渡された。
「今まで着てたのはいたんでるし、明日洗うからな。これはさっき買ったやつだ、マリウスの服だから交代で着れば良い。」
旦那さんに連れて行かれた部屋は広い部屋で、姉さんがフカフカしたソファに座って待っていた。
「マリウス。この部屋ね、二つ寝室があるんですって。だからどっちかの部屋がマリウスの部屋よ。好きな方を選んでね。」
「良いのかな?こんなにして貰って……」
「分からない……分からないけど、あそこに戻るより良いわ。きっと。」
「そっか……そうだね。僕、あっちの部屋にするね。」
「じゃあ、私はこっちの部屋で寝るわね。何かあったら、すぐに来るのよ。」
「うん、姉さんお休みなさい。」
「お休み、マリウス。良い夢を。」
姉さんは立ち上がって扉の先に消えた。
あそこに戻るより良い……姉さんの言うとおりだ。
寝よう……部屋に入って驚いた。フカフカのベッド……もぐり込んで横になってあっという間に寝てしまった。
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