婚約破棄されまして・裏

竹本 芳生

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リコ、初めての集会。

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八丈島の夜明け前の少し前、サアサアと細やかな雨が降り島中をしっとりと濡らしていた。
島中が潤い、空気がほんの僅かだけヒンヤリした頃雨は止み風がソヨソヨと靡く。
そして、まだ薄暗い八丈島の広場へと飛び出す影!

「きもちいいにゃ!」

「ほんとにゃ!」

(気持ち良い朝だね!)

「ヒナもそうおもうにゃ!」

「あさからげんきピカ……」

クシクシと瞼を擦りながらピカ太郎が出て来る。

「なにするコン?」

(仲間同士の集会よ。)

「ユキママはあつまるのスキピカ?」

(好き。ピカ太郎は嫌い?)

「……ユキママがスキならスキピカ!」

ピカ太郎、現金である。ユキは仕方ないとペロペロとピカ太郎の毛づくろいをし出すと、嬉しそうにピカピカ言いながら舐められている。
広場には昨日作ったばかりのバーベキューコンロがある。そのコンロに薪の残りを置く。

「リコ、まきにひをつけてほしいにゃ!」

「わかったコン!」

タマの要請にリコが火魔法で湿った薪を燃やす。火力が強いので薪はあっという間に乾いてパチパチと燃え始める。

「まずは笛のれんしゅうにゃ!」

小さなオカリナのような笛を取り出すタマとトラジは笛を吹き始める。
緑色の光がフヨフヨと漂う景色をリコはキラキラした目で見る。

「キレイだコン……」

一曲吹き終わると、今度は明るいテンポの良い曲を吹き始めるタマトラジ。その曲に合わせてヒナとピカ太郎が踊り出す。リコはピカ太郎の向かいに立つと、ピカ太郎に合わせて尻尾を振ってタンタンと跳ねる。その姿を見たユキはヒナの向かいに立ち、リコと同じように跳ねだす。

薪の炎に照らされ踊る四匹と楽しげに笛を吹く二匹。
タマもトラジも楽しくなって、笛を吹きながらコンロの周りをスキップし出すと四匹も後をついて回る。


大きなコンロの周りを踊りながら、吹きながら回る姿をロッジの窓からチビナビちゃん達は眺めてました。

「楽しそうね!」

「可愛いね!」

「ああ……でも空が白み出した……」

「集会終わっちゃうね……」

「残念ね……」

空の色が濃い青からだんだん明るい青へと変わる。日の光が静かな海を照らし出す。


「あかるくなってきたにゃ!」

「しゅうかいおわりにゃ!」

吹き終わった笛をどこかにしまい込み、タマとトラジは集会の終わり輪告げる。
薪は既に燃え尽きかかっているが、ユキは冷気を放って消してしまう。
その様を見てタマとトラジとピカ太郎はポムポムと音の鳴らない拍手をした。

「じゃあ、もどってねるにゃ!」

こうしてリコ初参加の集会が終わりました。
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