婚約破棄されまして・裏

厨房のアイドル！（タマ・トラジ・ノエル）

ここ最近、昼間の厨房（メイン）は中々の人気だ。

「トラジ！こっちの鍋はどうすんだ！」

料理長が叫べば。

「そっちのなべはしあげにショウガをいれるにゃ！しるだけにゃ！」

「良し！分かった！」

「タマにゃ！ニンニクするにゃ！ノエルはハクサイをザクぎりにゃっ！」

「「はいにゃ！」」

……トラジの料理スキル発動中は料理長とジムだけがトラジと同等に働ける為、他の料理人達は黙って見ているしかない。
が、その目は真剣そのものだ。
何故ならトラジ・料理長・ジムご作ってる料理は見本だからだ。
ちなみに今回のメニューはアナスタシア様希望の魚料理。

鯛の塩焼き
トゥナたっぷりのペペロンチーノ
鰯のつみれ汁
ハクサイとカツオの炒め煮
揚げごま団子

となってる。
魚料理となると滅法トラジの独壇場のようになる。
別に料理長が力不足とかでは無い。
じつはトラジの料理スキル解放により、ナビを介してのエリーゼの知識がトラジへと流入してるのだ！（マジか！作者すら知らんかったぜよ！）

「トラジ！できたにゃ！」

「トラにゃ！ボクもできたにゃっ！」

二匹の声を聞いてトラジは叫ぶ！

「よくやったにゃ！しあげはまかせるにゃっ！」

男前である。

出来上がった料理の数々。
それらを並べ料理長は叫ぶ。

「良し！これを手本に全員始めろ！」

「「「「「ぅおぉぉぉぉっっ！」」」」」

むさ苦しい雄叫びを上げ、料理人達はそれぞれ作り出す。
ある者は焼き台に、ある者はスープの下拵えに。
それぞれが最大の努力をする。

「みんながんばってるにゃ」

「トラジはさすがにゃ」

「トラにゃみたいになれるかにゃ？」

トラジはポンポンとノエルの肩を叩く。

「ノエルががんばればできるにゃ。ご主人のためにゃ、ノエルはできるやつにゃ！」

「ありがとにゃ……」

ウルウルと瞳を潤ませるノエルとそれを慰めるトラジ。その二匹を笑顔で見守るタマ。

厨房の窓の外から眺めるむさ苦しい男共はお約束の見守り隊の連中だ。（領都在住の者に限る。領都以外の連中から恨まれてるが気にしないらしい）