婚約破棄されまして・裏

竹本 芳生

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初陣 26 (ルーク)

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ノエルもルチルも着々と成長してる。
いや、問題はキースだ。レベルもそこそこあるし、魔法も使えるし……体力だってある。だが、下に下がって気になる一文がある。
自己能力制限中
の一文だ。タップして良く見てみれば、魔法や攻撃力を自分自身で制限してるとの事だ。これでは困る。今から討伐だってのに……いや、制限かけていてもあれだけの実力だったって事か?何故に?なんて聞かなくたって分かる。前の主だろ。
腹立たしい……きっと大した実力も無くキースを食いものにしてのし上がったんだろう。部下の手柄でのし上がるとは見下げ果てる。側近という立場は仕える主で天と地程も扱いが変わると聞いた。これだけ有能なのにバカな奴だ、だが俺としては大助かりだ。

「お待たせ致しました」

ノエルとルチルを連れ帰ってきたキースの笑顔を見て、無意識に制限をかけてるのか?と思う。

「キース、今日は俺の初陣だ。頼むから何の遠慮も無く思い切りやって欲しい。俺は手練れだと自惚れてる訳じゃないが、周りが見えなくなる程夢中になるかも知れない。俺自身が思い切りやってるのにキースもが思い切りやれないのは変だろう?」

困ったように笑うキースと視界に入る半透明に浮かぶ文字を見て若干表現が変わった事に安心する。

「ノエル、ルチル。最中に指示出しするから頑張ってくれ」

「もちろんにゃ!ご主人のためにガンバルにゃ!たくさんワナかけてやるにゃ!」

「やってやるピカ!にいにだってがんばってたピカ!ボクもガンバルピカ!」

二匹共やる気満々だ。

「凄いですね。これは俺もやる気満々で立ち向かわないとな!」

自己能力制限解除

その一文が目に入ってニヤリと笑う。そうこないとな。

「ルーク隊長、そろそろ行きますか?」

バートンとルシウスの後ろに武装に身を包みそれぞれが得意とする武器を手に持ちギラついた目で俺達を見てる。
振り返れば、ベースキャンプを守る者達が期待に満ちた目で俺達……いや今から討伐へ向かう全員を見てる。
思わず帯剣した剣の柄を掴む。
前衛を任され、今から討伐に向かう連中を見回し一つ頷く。

「ただ今より大型討伐を行う!作戦計画通りに二班に分かれ、彩鳥討伐は俺の指揮下とし彩鳥が呼ぶであろう赤竜討伐はバートンの指揮下とする!作戦行動中は各々の指揮に従う事とする!では……行動開始!行くぞ!」

俺はキースとノエルとルチル、そして前衛半数の四番隊隊員を引き連れ昨日見かけた川べりへと静かに息を潜め行軍する。    
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