婚約破棄されまして(笑)

竹本 芳生

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サテュロスゲットの旅 75

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あ~飲みた~い!でも…ちょっと位……我慢は毒よ!飲もう!
コップをトン!と出して台に置き、収納から日本酒を一本出す。コップにトクトクと注ぎ、グイと煽る。キターー!コレだよコレ!五臓六腑に染み渡る美味さ!たまんないね!

「エリーゼ……」

ルークの声が聞こえる。声のする方に笑顔を向ける。ルークの戸惑った顔、やぁ~ん!そんな顔しちゃあ。
ひょいと肉を一切れつまんでポン酢を付けてルークの口元に持って行く。

「はい、アーン!」

え?って顔したけどちゃんとアーンしたのでルークの口の中にポン酢を付けた犬鳴きのタタキを入れる。指ごとパクリとされたけど笑って許す。

「美味しいでしょ。でもね……」

ルークの手にコップを手渡し、日本酒をトクトクと注ぐ。

「飲むともっと良いのよ~!」

ルークはグビリと一口飲むと大きく息を吐き出した。ルークの赤い舌がペロリと唇を湿らす。その仕草のエロさに頭がクラクラする。イケメンがそんなエロい仕草しちゃダメ!屈強な男達に狙われちゃう!(嘘www)

「美味いな。だけどエリーゼはダメ。これ以上飲んだらダメ。」

「え~何でぇぇ!ルークのケチィ!」

「そういう所含めて可愛いからダメ。これ以上可愛いトコ、他の男に見せたくない。」

……やだ……どんな殺し文句言っちゃうの……これが多少お顔の造りが残念ならウケる~とか言って無視するけどイケメンはズルイわぁ~違和感無くて逆らえない。

「なら俺が貰うかな。良いだろ、エリーゼ。」

「トールお兄様!」

背後から現れたトールお兄様が私の持ってた一升瓶を丁寧に取り上げました。

「ほぉう……水の様に透明だが酒か……どれ。」

ラッパ飲みで一口含んでしまいました…一升瓶ラッパ……

「飲みやすいがこれは……結構強いんじゃないか?」

「まぁ……そこそこ強いとは思いますけど……」

アルコール度数とか分かりませんし、知りたいとも思いません!

「どれ、エリーゼ。その皿そのままな。」

「え?ええ、はい。」

トールお兄様もタタキを一切れつまんでポン酢を付けてポイッと口の中に放り込む。
目を瞑り咀嚼するトールお兄様……はカッ!と目を見開き再び日本酒をラッパでゴクゴクと飲みプハーッと息を吐き出した。

「美味いな。だがエリーゼ。エリーゼはダメだ!」

「え~!トールお兄様まで!」

「可愛い妹が酒で乱れる姿は見たく無いんだよ。」

「トールお兄様……本当は?」

「本当だよ。まだ婚姻もしてないんだから当然だろう。」

「なら我慢します。」

仕方ないです。これ以上出せ!と言われないだけマシです。
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