婚約破棄されまして(笑)

竹本 芳生

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連載

新天地を! 48

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どうしましょう……川遊びの概念が無いんだっけ……

「暑い時期に川で涼むのですけど……」

トールお兄様がどこか遠い所を見てます。何か思い出してるのでしょうか?

「ああ……思い出した!裏庭の池で遊んだりしてたな。他にも噴水で遊んだり、庭園の一部に作った小川でも遊んでたな。けったいな事をすると思っていたが、ああやって水場で遊ぶ事か?」

私……何やってましたの?小さな頃っていつ位?何才の頃ですの?全く覚えてません。なのにトールお兄様はケラケラと楽しそうに笑ってます。

「ククッ……小さいのにキャアキャア楽しそうに叫びながら噴水に突撃したのは笑ったな。母上が追い掛けて、父上が真っ青になって……びしょ濡れになったエリーゼを引き上げたのに大泣きして兄貴の腕の中で大暴れしてたな」

あああ…………!マジか!覚えてないけど!私ったらぁ!

「それまでは噴水の中はそんなに掃除してなくて、ちょっと汚かったけどそんな事があってこまめに掃除するようになっていつ見ても美しい噴水ですねって言われるようになったんだよね。他の水場もいつ姫様が入るか分からない!って綺麗になったんだよ」

知られざる秘密暴かれる!裏の大きな池も敷地内の池とかあちこちがキレイなのって私発信なの?裏庭って言ったって、広大過ぎてどこまでとか分からないけど近場の事よね?じゃあ、スラ道誕生の池もなのかしら?

「トールお兄様は祠……赤い小さな家みたいなのの近くの池って分かりますかしら?」

「分かるよ。なんでもあの赤いオヤシロはシュバルツバルト家が代々お守りしてるからね。不思議だよね、初代とかその辺りからあるらしいけど朽ちもしないし色も落ちない。エリーゼは今、ホコラって言ったね。あれが何か知ってるんだ」

トールお兄様の目が鋭くなる。こういう目をした時は逃げたり誤魔化したりしてはいけない。
正面きって受け止め、何を聞かれても正直に話そうとトールお兄様を見つめ口を開く。

「神と言う存在を祀る建物です。大きさも人が住まう程大きいものからもっと小さいものまで色々です。でも祠……お社の大きさを見ると人目につかれたく無かったのでしょうね。しかもあのお社は炎の精霊が出てきましたから……何か謂われや遠い昔に何かあったのでしょう」

トールお兄様は私の言葉を真剣に聞き、大きく息を吐くと小さく「そうか……」と呟き何か思い耽ってしまった。
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