婚約破棄されまして(笑)

竹本 芳生

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新天地を! 56

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アニスとすぐに合流し自室に戻りタマトラをアニスと一緒に洗う。
それが終わった後、アニスに紅茶を淹れて貰い執務机の上に地図を広げる。

「この辺りを開拓した事になるけど、個人的にはこの川の向こう……この辺も伐採しておきたいのよね……」

「十分広いと思いますが?」

「そうなのよね。十分広いのよ……でも、何となくこの辺も開拓しておきたいの」

ただの直感なのだけど。この辺まで広げた方が良いって感じなのよね……

「では明日サッと広げてしまいましょう!明日はキャスバル様とトール様が行かれると聞きました」

「ええ。そうね……明日、ササッと広げてしまいましょう」

指先で川向こうの広げてない場所をなぞると何だか熱い気がする。何かある……それが何かは分からないけど。

私とアニスとカワイコちゃん達とでゆっくりした時間を過ごし、程良い時間でベッドへと移動した。

翌朝ルーティンを済まし、開拓地へと行く準備をし朝ご飯を食べて表に出る。
いつもの様な……だけどいつもと違う朝。
トールお兄様はキャスバルお兄様と話し合っている。厩番がチョロギーを連れて来てくれた。ヒナのサイズを戻し鞍をつける。
タマトラをチョロギーに乗せてから私も跳び乗る。それだけでお兄様達がこちらを見て出立準備を整える。
あれ?職人とかって昨日言ってた筈だけど?

「エリーゼ、隊員と職人は先に行かせてる。のんびり追い掛けて行こうか!」

キャスバルお兄様バカなの?何でのんびり追い掛けるのよ、いえ、領都の中疾走したら危ないから普通の速度で追い掛ける訳だけど。

「いえ、普通に追い掛けます」

チョロギーを操って速歩で移動です。ヒナが横について一緒に開拓地を目指します。勿論、犬共も周りを固めてます。
気持ちばかりがはやる。何か意味があるのだろうか?何かお兄様達に話し掛けられた気がしたけど、川向こうの場所が気になってそれどころじゃなかった。
早く早く……そう何かが囁く。
無言で突き進み、開拓地に着いてもチョロギーから降りる事無く川へと向かう。
川べりでチョロギーから降りて川向こうを思い切り伐採し収納する。何度か繰り返し日の光を受け輝く小さな泉があった。
精霊がいるとかって感じでは無い。

「エリーゼ、そこまで広げたなら魔物除けを際で打つから待ってろ」

キャスバルお兄様が隊員を何十人と連れて伐採した際へと進んで行った。
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