婚約破棄されまして(笑)

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新天地を！ 226

「お父様、お父様はお母様と婚姻した頃は二人きりで食事をとる事は無かったのですか？」

まさかと思うけど、自分はやってましたよ～。でも娘はダメ！なんて事じゃないわよね？
……って分かり易くキョドり始めたって何かしら？

「お父様？」

「いや……その……」

え……まさか本当にダブルスタンダードみたいな事言ったの？

「オホホホホ！」

お母様が声高らかに笑いました。それはもう、愉快そうに。

「エリーゼ、私とハインリッヒは婚姻したばかりの頃は週の半分は二人きりで食事を取ってましたわよ」

早々にお母様が教えてくれました。

「可愛い愛娘だぞ！大体、俺はエリーゼと一緒に食事をとる事が少なかったんだ！それなのに……」

「ほう……父上は俺よりも一緒に食事をとれてた筈だが？」

お父様が心情をゲロってる最中にキャスバルお兄様が遮断して何か不穏なオーラを放ちながら言っちゃいました。
私が十才で王都に行ってからキャスバルお兄様もトールお兄様も殆ど一緒に食事をとれてないから、ガチヤンデレ系シスコンのキャスバルお兄様が怒るのも仕方ないですよ。

「クッ……俺を殺す勢いだな……」

「父上じゃなかったらどうなってたか……」

キャスバルお兄様の発言に脳裏を掠めた第三王子。ヤバかった……もしどこかでキャスバルお兄様と第三王子が接近するような事があったら、殺されちゃうかも……

「キャスバルお兄様。これから一緒に食事出来るでしょう？そんな風に殺気を出す事でもありませんでしょう？」

父息子（親子）げんかが死闘とか冗談じゃありません。

「勿論だよエリーゼ。今日のドレスは良く似合ってるよ」

一瞬でご令嬢を陥落させるような甘い笑顔になってドレスを話題にしてくる。
て、事はですね……今日のドレスはキャスバルお兄様のオーダーだったのかしら？
ヨシ！この話題に乗っかってキャスバルお兄様をタラシ込んでおこう。
そうしよう。

「ありがとうございます、キャス兄様。もしかしてキャス兄様がこのドレスを？」

途端にピンクのオーラが目に見えるような笑顔へと変えるキャスバルお兄様。

「ああ。そうだよ。そのお飾りも俺が石から選んだんだよ」

うわぁ……引くわぁ……兄と妹でここまでやるとは……シスコン極まれりだよ……
だが、耐えろ！そして笑顔だ！王子妃教育の賜物！スーパー笑顔零円を受け止めるが良い！

「嬉しいですキャス兄様♡」

「エリーゼ……そんな笑顔は人前でしたら駄目だよ。良いね」

……自分の前だけにって事ですね。コワすぎてお兄様の前だけとかちょっと無理です。