婚約破棄されまして(笑)

竹本 芳生

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連載

春が来た! 37

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働く場所も住まいを構える土地もあったけど、若い人を留める魅力には映らなかった。
華やかな繁華街や娯楽施設には勝てない。穏やかで密接な人間関係は刺激が無い様に彼等には見えたのだろう。
密接な人間関係は時にスリリングで時に癒し癒されたのだけど、表面上それは分かりづらい。

「どうした?」

「ん?んー……前世は本当に田舎で、過疎化はどんどん進んだし自治体は頑張ってたけど中々成果は出なくてね……よくよく考えたら、こっちの方が権力ある分色々出来て人をふやせてるなぁって……」

何となく見上げたくなくて地面を見詰める。軟らかそうな草が一面生えて、ここが豊かな土地だと分かる。

「まぁ……そうだな。俺は割と街中で育ったし、大学からは東京だったからな。正直、過疎化は縁遠くて良く分からないんだ」

人の多い所で育って、人の多い所で暮らした人には分からなくて当たり前だと思う。

「そうね。昨日まで挨拶した人が消えて。建っている家から人がパラパラ引っ越して、その家が傷んで古ぼけて……寂しいものよ。少ない小さな子供の笑い声が喜びで、ずっとこの声が聞きたい……そう思うようになるの……私自身、縁遠くて残念な思いを何度したか分からない……」

フワリと頭が撫でられ、思わず顔を上げればルークが優しい顔で見詰めてて……

「今世は婚姻するし、子供だって望むなら俺頑張るから」

頑張るからって……

「ねぇ……ルークが頑張るのって子作りだよね?妊娠中は私が頑張るのよね?」

バレた!って顔しても無理です。それに子作り頑張るって……頑張るってさぁ!

「バカ……」

「いやっ!子育ても俺、頑張るからさ!ホント!ホント!」

それ位頑張ってくれないと……ん?子育てってこっちだとどれ位やるものなのかしら?

「ルーク……ルークの言う子育てって、何をどれ位やるの?お家で違うわよね?」

そう!お家で違うのです!我が家は小さい頃から英才教育よろしく、三歳頃から座学に体力作り(軽め)と始めて徐々に内容を変えていくのよね。

「んー……三歳位から座学を始めて、体力を見て色々決めるかな?後は性格を見て必要だと思う事をやらせるかな……俺もそうだったしな」

「あんまり変わらなくて安心したわ。差異が大きいと争う元になるもの」

「そうだな」

……お母様が元帝国令嬢だったからかしら?ちょっとだけホッとしました!
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