精霊姫と皇子様

竹本 芳生

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プロローグ2

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精霊姫は最初の少女を亡くしても、暫くは少ない供物のままで過ごしていました。
なぜなら、精霊姫は特に食べ物も必要としなかったし服も自分で作った物を着ていたからでした。
だが、生贄の少女を捧げて100年もたてば人間達もそろそろ次の生贄を用意しなければと考えました。

森の豊かな恵みは皇国に富をもたらしておりました。
この森でしか手に入れる事ができない貴重な果物やスパイス、薬草に木の実。
近隣諸国の王侯貴族が求めてやまない物でした。

この森の恵みを無くす訳にいかない皇王は、多くの妻達で最も立場の弱い妻の産んだ体の小さな弱々しい皇子を捧げる事に決めました。

皇子の母はうんと泣きましたが、このまま皇宮に居ても大人になるまで生かして貰えるか分からない事を知っていました。
皇王から様々な贈り物やお情けを貰って過ごす事や、精霊姫は心優しく情け深い方だと聞いていた事もあって皇子の母は皇子に様々な事を教えて送り出しました。

皇子は齢7才で沢山の衣服や靴、習っていた竪琴や笛に身だしなみを整える櫛やリボン等
それはもう本当に沢山の荷物と共に森の入り口、供物を捧げるようにと造られた小さな石造りの祭壇の前にやってきました。

毎日、捧げられる供物は朝の内に祭壇に置かれ
昼前には精霊姫が受け取りに来ることは、皆知っていました。

朝の内にやってきた皇子は1人沢山の荷物と共に精霊姫を待っていました。
昼前には精霊姫がお迎えに来ますからね。と言い含められて。

祭壇に柔らかく温かい平べったいクッションの上で、少しひんやりとした森の中で体が冷えないように柔らかい毛織物の上着を着せられた皇子は1人静に待っていました。
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