史上最強魔導士の弟子になった私は、魔導の道を極めます

白い彗星

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第十一章 使い魔召喚編

844話 いっぱいやることはある

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 そんでもって放課後。場所は生徒会室。
 室内には、いつものメンバー。ゴルさんにリリアーナ先輩、タメリア先輩、メメメリ先輩……そしてシルフィ先輩。

 学園祭での発表の後、ゴルさん周りのことはいろいろと大変なことになっているみたいだ。次期国王としての準備や、リリアーナ先輩との婚姻準備。
 本来なら学生業なんてやってる場合じゃないけど……責任感の強いゴルさんは、こうして今日も学校に来ている。

 もちろん、どうしても外せない用事がある時なんかは休むみたいだけど……今日なんかは、一年生の使い魔召喚の授業があるとわかっていた。
 で、ゴルさんはというと……

「はぁ……」

 頭を抱えていた。

「どうしたのゴルさん」

「言わなければわからないか?」

「んや、なんとなくわかる」

 会長の席に座り、資料を前にゴルさんはうなだれていた。こんな姿を見ることになるなんて。

 いったいなんの資料を見ているのか……とは、わざわざ考えるまでもない。
 一年生の使い魔召喚の授業、その諸々について書かれたものだろう。

「生徒会長として、いろいろと纏めなきゃいけないみたいだからねぇ」

「それは会長だけの仕事じゃないと思うんですけど」

「まあそうじゃが、他にもいろいろと作業があるというわけじゃ」

 一年の生徒と、それぞれが召喚した使い魔。その纏め作業。
 私は初めてのことだからなにをすればいいのかさっぱりだけど、どうやら仕事量がとんでもないことになっているらしい。

 私だって手伝えることがあるならもちろん手伝うけど。

「まったく……どうなっているんだ、お前たちの代は」

「今回のは私悪くなくない!?」

 使い魔召喚に関しては私はノータッチだ。今回は私関係ないもん!

「ひゃー、すげえよなぁ。フェニックスにカーバンクルにペガサス!」

「それに、人間やしゃべる魔物……」

「しかも、その召喚された女の子は、召喚した術者の身内という話じゃないですか」

 先輩たちはそれぞれ資料を見て、驚きを口にした。やっぱり驚くところはそこだよなぁ。

 三年生の先輩であっても、同級生にゴルさんという規格外の存在がいても、驚いてしまうものはあるのだ。

「すでに召喚されている使い魔、黒竜に魔物を加えると……確かに、ゴルドーラ様が頭を抱えたくなるのもわかる」

 シルフィ先輩も、事の重大さに軽くため息を漏らすくらいだ。

 一般生徒からしたら、使い魔なんて召喚して契約したらそれまでだ。だけどその裏では、こうやって考えることがいっぱいあるのだ。

「やるべきことって……」

「ここは歴史ある魔導学園。あらゆるモンスターに関する資料などがある……けど、今回は例外が多すぎる。
 使い魔をちゃんと育てていくために、ふさわしい環境はなんなのか……それを把握しておかないとね」

 タメリア先輩が言うには、使い魔の育て方。
 契約したとはいえモンスターには違いない。モンスターにだって、人と同じように過ごしやすい環境過ごにくい環境ってものがある。

 普通のモンスターならばすぐわかるようなことでも、事例の少ないモンスターはそうはいかない。
 しかも、こんなにたくさんだ。

「それは……一人一人に聞いて、教えてもらうんじゃだめなの?」

 だけど、わざわざ難しく考えなくても、契約した本人に話を聞けばいいのではないか。
 たとえばダルマスに、フェニックスのあれこれを聞いてもらって、それを教えてもらう。調べるよりも時間は取られないし、確実だ。

「もちろん、それも行う。が、なかには頑ななモンスターもおる……自分のことを語ろうとせん者とかな」

「あー……」

 無駄に気品の高いモンスターは、確かに自分のこと話しそうにないや。
 そういう意味で考えると……ペガサスは妙にプライド高そうだ。それ以前に、筋肉男が素直に聞いてくれるとは思えない。

「とはいえ、基本的に魔法陣の中にいる使い魔にとっては、魔法陣の中以上に快適な空間もそうそうないはずです」

「じゃあ、そこまで深刻に考えなくていいのか……」

「……これまでに召喚されたことのないモンスター。彼らの種族について、また改めて調べる必要もあるがな」

 うーん……まあ結局は、やることいっぱいってことだよなぁ。
 みんな珍しいモンスター召喚したのは嬉しいけど、こっちじゃ忙しくて大変ってわけだ。

 ゴルさんは、いつの間にかペンを手に紙に文字を走らせている。

「なにしてるの?」

「使い魔と契約者、その両者の名前をその紙に書き込んで、この二人がちゃんと契約関係にありますって証明みたいなものかな」

「まだ学生の身分だし、あまりに規格外のモンスターを連れていたら疑われかねんからの」

 二人の……いやメメメリ先輩の言葉にはどこか説得力のようなものがあった。

 もしかして……過去、ゴルさんがなにか言われたのだろうか。いくら王子でも、あの年でサラマンドラという規格外なモンスター連れてたら怪しいよな。
 あれ、じゃあ私もそういう証明されてるのかな。いつの間に。

「お前たち、しゃべってばかりでなく手を動かせ。今のは一部……やることは他にもあるんだ」

「はーい」

 ゴルさんからの注意を受け、私たちはそれぞれの席に戻る。

 どうやら、ここで証明し登録したものは、生徒一人一人の端末へそれぞれ送られるらしい。クレアちゃんにはクレアちゃんと使い魔の。ルリーちゃんにはルリーちゃんと使い魔の。
 すごいね。
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