書き換えオーダーメイド

夜船 銀

文字の大きさ
2 / 15

出会い

しおりを挟む
「うまくいかないもんだなぁ…。」近頃すっかり口癖になってしまったセリフをつぶやきながら古山 栞はため息をついた。中学校に入学してはや二ヶ月、栞にはあまり友達ができずにいた。小学校まではその優しい性格で友達も多く、自分でも人付き合いは得意だと思っていた。しかし仲の良かった友達と違う中学校に進んだこともあってか、知り合いが一人もいないクラスで上手く話すことができず、人の輪から完全に取り残された気分になっていた。そんな状態なので一緒に帰る人もおらず、今日も一人で帰り道を辿っていた。『はぁ…さびしいなぁ。』もしこのまま一人も友達ができずにずっと一人ぼっちだったらと考えると、栞は不安に押しつぶされそうになるのです。そのときふと、誰かに自分が呼ばれたような気がして立ち止まりあたりを見回しました。歩道は夕方に差し掛かり少し薄暗くなってきていて、どこからか遊んでいる子供の楽しげな声が響いてきています。しかし、歩道の上には栞以外のひとはいません。『気のせいかな…』そう思って再び歩き出そうとするとまた自分を呼ぶ声が聞こえました。『栞』と。今度ははっきりと右の小道から聞こえてきました。悩んだ挙げ句、栞は小道の方に進んでみることにしました。自分を呼んでいる何かが待っているような気がしたのです。小道から小道へ、路地から路地へ。奥へ、どんどん奥へと進んでいきます。そうして自分でも帰り道が分かるか不安になってきた頃、突然開けた空き地のような場所に出ました。あたりは静まりかえっていて何の音も誰の声もしませんでした。まるで時が止まってしまっているような空き地の真ん中には小さな店が一軒、ポツンと建っていました。色あせた赤い屋根にくすんだクリーム色の壁、両開きのドアだけは自分の存在をアピールするように黄色とライトグリーンの装飾があしらわれた真新しいものでした。よく見るとドアの前に看板が立っています。「琥珀…堂?」それが私とあの店の出会いでした。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

生贄姫の末路 【完結】

松林ナオ
児童書・童話
水の豊かな国の王様と魔物は、はるか昔にある契約を交わしました。 それは、姫を生贄に捧げる代わりに国へ繁栄をもたらすというものです。 水の豊かな国には双子のお姫様がいます。 ひとりは金色の髪をもつ、活発で愛らしい金のお姫様。 もうひとりは銀色の髪をもつ、表情が乏しく物静かな銀のお姫様。 王様が生贄に選んだのは、銀のお姫様でした。

『異世界庭付き一戸建て』を相続した仲良し兄妹は今までの不幸にサヨナラしてスローライフを満喫できる、はず?

釈 余白(しやく)
児童書・童話
 毒親の父が不慮の事故で死亡したことで最後の肉親を失い、残された高校生の小村雷人(こむら らいと)と小学生の真琴(まこと)の兄妹が聞かされたのは、父が家を担保に金を借りていたという絶望の事実だった。慣れ親しんだ自宅から早々の退去が必要となった二人は家の中で金目の物を探す。  その結果見つかったのは、僅かな現金に空の預金通帳といくつかの宝飾品、そして家の権利書と見知らぬ文字で書かれた書類くらいだった。謎の書類には祖父のサインが記されていたが内容は読めず、頼みの綱は挟まれていた弁護士の名刺だけだ。  最後の希望とも言える名刺の電話番号へ連絡した二人は、やってきた弁護士から契約書の内容を聞かされ唖然とする。それは祖父が遺産として残した『異世界トラス』にある土地と建物を孫へ渡すというものだった。もちろん現地へ行かなければ遺産は受け取れないが。兄妹には他に頼れるものがなく、思い切って異世界へと赴き新生活をスタートさせるのだった。 連載時、HOT 1位ありがとうございました! その他、多数投稿しています。 こちらもよろしくお願いします! https://www.alphapolis.co.jp/author/detail/398438394

きたいの悪女は処刑されました

トネリコ
児童書・童話
 悪女は処刑されました。  国は益々栄えました。  おめでとう。おめでとう。  おしまい。

王女様は美しくわらいました

トネリコ
児童書・童話
   無様であろうと出来る全てはやったと満足を抱き、王女様は美しくわらいました。  それはそれは美しい笑みでした。  「お前程の悪女はおるまいよ」  王子様は最後まで嘲笑う悪女を一刀で断罪しました。  きたいの悪女は処刑されました 解説版

かつて聖女は悪女と呼ばれていた

朔雲みう (さくもみう)
児童書・童話
「別に計算していたわけではないのよ」 この聖女、悪女よりもタチが悪い!? 悪魔の力で聖女に成り代わった悪女は、思い知ることになる。聖女がいかに優秀であったのかを――!! 聖女が華麗にざまぁします♪ ※ エブリスタさんの妄コン『変身』にて、大賞をいただきました……!!✨ ※ 悪女視点と聖女視点があります。 ※ 表紙絵は親友の朝美智晴さまに描いていただきました♪

極甘独占欲持ち王子様は、優しくて甘すぎて。

猫菜こん
児童書・童話
 私は人より目立たずに、ひっそりと生きていたい。  だから大きな伊達眼鏡で、毎日を静かに過ごしていたのに――……。 「それじゃあこの子は、俺がもらうよ。」  優しく引き寄せられ、“王子様”の腕の中に閉じ込められ。  ……これは一体どういう状況なんですか!?  静かな場所が好きで大人しめな地味子ちゃん  できるだけ目立たないように過ごしたい  湖宮結衣(こみやゆい)  ×  文武両道な学園の王子様  実は、好きな子を誰よりも独り占めしたがり……?  氷堂秦斗(ひょうどうかなと)  最初は【仮】のはずだった。 「結衣さん……って呼んでもいい?  だから、俺のことも名前で呼んでほしいな。」 「さっきので嫉妬したから、ちょっとだけ抱きしめられてて。」 「俺は前から結衣さんのことが好きだったし、  今もどうしようもないくらい好きなんだ。」  ……でもいつの間にか、どうしようもないくらい溺れていた。

悪女の死んだ国

神々廻
児童書・童話
ある日、民から恨まれていた悪女が死んだ。しかし、悪女がいなくなってからすぐに国は植民地になってしまった。実は悪女は民を1番に考えていた。 悪女は何を思い生きたのか。悪女は後世に何を残したのか......... 2話完結 1/14に2話の内容を増やしました

かぐや

山碕田鶴
児童書・童話
山あいの小さな村に住む老夫婦の坂木さん。タケノコ掘りに行った竹林で、光り輝く筒に入った赤ちゃんを拾いました。 現代版「竹取物語」です。 (表紙写真/山碕田鶴)

処理中です...