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獣人達の国
128:出オチ
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「ん?どこか行くのか?」
基本的には部位欠損を治す治癒に関する情報を集めているが、今日はたまたまキリーの店にいた。
普段は外を歩き回って情報屋と会ったり、ちょっと黒い奴らと会ったりしているんだが、今のところそれらしいものは何もない。せっかくこの前収納具を売って金を作ったのに使う機会がない。
…正直これほど見つからないとは思わなかった。ここは剣と魔法の世界だし、正直欠損の治癒なんてすぐにできるやつが見つかるだろうとも思っていた。
もうこの街でやることが終わっているのでどうしようかと考えていたのだが、ふとキリーが外に出る準備をしたのが目に入った。
「ああちょっと冒険者ギルドにね」
冒険者?もしかして依頼を受けるのか?本人曰く金級の冒険者らしいしおかしくはないだろう。だが、今から受けるにしても今日の店はどうするんだろうか?
「…依頼でも受けるのか?」
「まさか。依頼を受けるんじゃなくて依頼をしに行くんだよ」
どうやら店で売っていないような食材は依頼として冒険者に頼んでいるらしい。なるほどな。たしかにこの店で扱ってるものを全部自分で揃えようとしたらかなり時間がかかるからな。
だが俺はそこでふいに気づいたことがあった。
「…なあ、俺も一緒に行っていいか?」
「は?どうしたんだい?…まあ構わないけど、面白いものなんてないよ?」
「俺依頼を受けたことはあるんだけど、依頼を出したことがないからさ。一回どんな感じなのか知っておいたほうがいいなって思ってな」
俺は治癒に関する情報を集めていたが、今まで自分が探す事しか思いつかなかったけど、依頼として探してもらうことも出来たんだと今更ながらに気づいた。だから依頼を出す方法を知っておきたかった。
「ふーん。ま、いいよって言っても特にこれと言ってやることなんてないんだけどね」
「俺も暇つぶしだから気にするな」
依頼の出し方を覚えて今度依頼を出しておこう。今一緒に出しておけばいいんじゃないかとも思うけど、依頼を出した場合この街にとどまってなきゃいけない可能性もある。よく知らないうちに決めるのはまずいから話を聞いてからどうするか決めようと思っている。場合によってはその場で俺も依頼を出してもいいかもしれないけど。
「それではこちらが今回の依頼内容で間違いございませんか?」
「ああ、それで頼むよ」
「かしこまりました」
受付はそういうと手慣れた様子で手続きを行った。
「さて、これでやることは終わりだけど…あんたはどうすんだい?」
キリーは俺が何か依頼をしようとしていることに気がついていたようだ。俺は苦笑いしながら答えた。
「…そうだな。一応出しておこうかな」
キリーみたいに物の受け渡しが必要なら一箇所に留まっていないとだけど、俺が求めているような情報であればいろんなところを点々としていても大丈夫らしい。定期的にギルドの寄らないといけないらしいが、それでも情報源は多いほうがいいだろう。
ただ、問題なのは依頼料だ事実が確認でき次第で収納鞄一個でいいか?…幾つでも作れるし、収納魔術もスキルも使えるから俺としてはそれほどありがたみはないけど、一般人からしたらかなりの報酬だと思う。
「…できた。これでお願いします」
「…報酬は金銭と収納具とありますがよろしいのですか?」
「ええ。それでお願いします」
「かしこまりました。…一応報酬である収納具を確認させてもらいたいのですが、可能ですか?」
書類を記入して提出。それを受付が確認する。こういうのは世界が変わっても変わらないもんなんだな。
「…確認いたしました。ではこれで受理させていただきます」
「お願いします」
手続きが終わって依頼を出すことができたので、俺はキリーの方に振り返る。
「じゃあ帰るとするかね」
「ん。だな。…何か買うものとかはあるの──」
「おっ!なんだ。お前らここに来てたのかよ!声ぐらいかけてくれよな!」
だが、俺たちが帰ろうとしたところで何故かガムラがやって来た。
「お前依頼を受けてたんじゃないのか?」
朝からギルドに行ってくると言っていたからてっきり何か依頼を受けたものだと思っていたんだが。
「いや?明後日から大会だろ?怪我とかなんか無いように依頼には行かないでここの訓練場で鍛えてたんだ」
俺はなんかの試合とか出たことないからわからないけど、印象としてはまるで受験前の追い込みみたいな感じなだな。
「俺たちはもう帰るんだが、お前はどうする?」
「あ?あ~、どうすっかな…。んじゃあ今日はこれで終わりにしとくか」
「そうか。なら待っててやるからさっさと荷物持ってこいよ」
「おう!」
「止まりな」
四人で帰ったのだが、キリーの家の前に着くと突然キリーが警戒するように腰を落として腰にさしていた短剣を構え、それに従うようにガムラも即座に構えをとった。
何があったのか分からないが、その様子からただ事では無いのは感じ取れる。俺は探知を広げキリーの家を範囲内に収める。
「…家の中に六人」
「分かるのかい?」
その問いに俺はこくりと頷く。が、探知を行なったその結果に俺は顔をしかめる。
「どうする?」
「あの、少々失礼しますね」
「え? あ、ちょ……」
俺が呼び止める前にイリンは動き出し、まるで何事もないかのように玄関を開けるとその中へと入っていった。
「ちっ!」
慌てて追いかける俺と、その後に続くガムラ達だが……
「終わりました」
家の中に入ってイリンと敵の姿を探していると、横からいつも通りのイリンの声が聞こえ、床には見知らぬ男達が倒れていた。
……え? 今の一瞬で終わらせたのか?
基本的には部位欠損を治す治癒に関する情報を集めているが、今日はたまたまキリーの店にいた。
普段は外を歩き回って情報屋と会ったり、ちょっと黒い奴らと会ったりしているんだが、今のところそれらしいものは何もない。せっかくこの前収納具を売って金を作ったのに使う機会がない。
…正直これほど見つからないとは思わなかった。ここは剣と魔法の世界だし、正直欠損の治癒なんてすぐにできるやつが見つかるだろうとも思っていた。
もうこの街でやることが終わっているのでどうしようかと考えていたのだが、ふとキリーが外に出る準備をしたのが目に入った。
「ああちょっと冒険者ギルドにね」
冒険者?もしかして依頼を受けるのか?本人曰く金級の冒険者らしいしおかしくはないだろう。だが、今から受けるにしても今日の店はどうするんだろうか?
「…依頼でも受けるのか?」
「まさか。依頼を受けるんじゃなくて依頼をしに行くんだよ」
どうやら店で売っていないような食材は依頼として冒険者に頼んでいるらしい。なるほどな。たしかにこの店で扱ってるものを全部自分で揃えようとしたらかなり時間がかかるからな。
だが俺はそこでふいに気づいたことがあった。
「…なあ、俺も一緒に行っていいか?」
「は?どうしたんだい?…まあ構わないけど、面白いものなんてないよ?」
「俺依頼を受けたことはあるんだけど、依頼を出したことがないからさ。一回どんな感じなのか知っておいたほうがいいなって思ってな」
俺は治癒に関する情報を集めていたが、今まで自分が探す事しか思いつかなかったけど、依頼として探してもらうことも出来たんだと今更ながらに気づいた。だから依頼を出す方法を知っておきたかった。
「ふーん。ま、いいよって言っても特にこれと言ってやることなんてないんだけどね」
「俺も暇つぶしだから気にするな」
依頼の出し方を覚えて今度依頼を出しておこう。今一緒に出しておけばいいんじゃないかとも思うけど、依頼を出した場合この街にとどまってなきゃいけない可能性もある。よく知らないうちに決めるのはまずいから話を聞いてからどうするか決めようと思っている。場合によってはその場で俺も依頼を出してもいいかもしれないけど。
「それではこちらが今回の依頼内容で間違いございませんか?」
「ああ、それで頼むよ」
「かしこまりました」
受付はそういうと手慣れた様子で手続きを行った。
「さて、これでやることは終わりだけど…あんたはどうすんだい?」
キリーは俺が何か依頼をしようとしていることに気がついていたようだ。俺は苦笑いしながら答えた。
「…そうだな。一応出しておこうかな」
キリーみたいに物の受け渡しが必要なら一箇所に留まっていないとだけど、俺が求めているような情報であればいろんなところを点々としていても大丈夫らしい。定期的にギルドの寄らないといけないらしいが、それでも情報源は多いほうがいいだろう。
ただ、問題なのは依頼料だ事実が確認でき次第で収納鞄一個でいいか?…幾つでも作れるし、収納魔術もスキルも使えるから俺としてはそれほどありがたみはないけど、一般人からしたらかなりの報酬だと思う。
「…できた。これでお願いします」
「…報酬は金銭と収納具とありますがよろしいのですか?」
「ええ。それでお願いします」
「かしこまりました。…一応報酬である収納具を確認させてもらいたいのですが、可能ですか?」
書類を記入して提出。それを受付が確認する。こういうのは世界が変わっても変わらないもんなんだな。
「…確認いたしました。ではこれで受理させていただきます」
「お願いします」
手続きが終わって依頼を出すことができたので、俺はキリーの方に振り返る。
「じゃあ帰るとするかね」
「ん。だな。…何か買うものとかはあるの──」
「おっ!なんだ。お前らここに来てたのかよ!声ぐらいかけてくれよな!」
だが、俺たちが帰ろうとしたところで何故かガムラがやって来た。
「お前依頼を受けてたんじゃないのか?」
朝からギルドに行ってくると言っていたからてっきり何か依頼を受けたものだと思っていたんだが。
「いや?明後日から大会だろ?怪我とかなんか無いように依頼には行かないでここの訓練場で鍛えてたんだ」
俺はなんかの試合とか出たことないからわからないけど、印象としてはまるで受験前の追い込みみたいな感じなだな。
「俺たちはもう帰るんだが、お前はどうする?」
「あ?あ~、どうすっかな…。んじゃあ今日はこれで終わりにしとくか」
「そうか。なら待っててやるからさっさと荷物持ってこいよ」
「おう!」
「止まりな」
四人で帰ったのだが、キリーの家の前に着くと突然キリーが警戒するように腰を落として腰にさしていた短剣を構え、それに従うようにガムラも即座に構えをとった。
何があったのか分からないが、その様子からただ事では無いのは感じ取れる。俺は探知を広げキリーの家を範囲内に収める。
「…家の中に六人」
「分かるのかい?」
その問いに俺はこくりと頷く。が、探知を行なったその結果に俺は顔をしかめる。
「どうする?」
「あの、少々失礼しますね」
「え? あ、ちょ……」
俺が呼び止める前にイリンは動き出し、まるで何事もないかのように玄関を開けるとその中へと入っていった。
「ちっ!」
慌てて追いかける俺と、その後に続くガムラ達だが……
「終わりました」
家の中に入ってイリンと敵の姿を探していると、横からいつも通りのイリンの声が聞こえ、床には見知らぬ男達が倒れていた。
……え? 今の一瞬で終わらせたのか?
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