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友人達の村で
403─:砂礫と炎鬼
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カツンッ、と私が杖で床を叩くと、その瞬間広間にいた火鬼達は賊を襲い始めた。
賊は抵抗しているけど、炎の体にただの剣や槍なんて意味がない。中には運よく核に当たった攻撃もあったけど、魔力を伴わない攻撃では核を壊すことなんてできはしない。
そうして賊達は火鬼によってその手足を焼かれて地に伏し、広間には賊達の悲鳴が響き渡った。
「くそがっ! ふざけやがって! 俺はミスリル級冒険者の『砂礫』だぞ!?」
その間、当然ながらリーダーの男にも休む間も無く火鬼が襲いかかっていた。そしてその中には炎鬼も三体ほど混ざっている。
火鬼であれば簡単に消すことができた男も炎鬼を倒すには少し集中する必要があるようで、火鬼の攻撃を捌きながらではまともに反撃できないようだった。
「そう。で、それがどうしたというの?」
その悔し紛れか何か言っているけど、冒険者について詳しくない私にはよくわからない。
それに、たとえ有名な人だったとしても、この程度をどうにかできないのであれば関係ない。
ああでも……
「砂礫っていうのはあなたにぴったりかも知れないわね」
「どう、いう……」
つい、クスリと笑ってしまった私を見た男は、逃げ回っていた足を止めて茫然とこっちを見ている。
そのまま炎鬼達に襲わせて倒すこともできたけど、せっかくだから襲うのを止めて少し話すことにした。
油断して他の賊に襲われる心配はない。だって、賊達の声はいまだに聞こえるものの、私たちの周りにはもう、誰も立っていないから。
「砂礫って小さな砂粒とか、それよりちょっと大きめな小石のことだもの。あなた達って取るにたらない小物の寄せ集めと、それよりちょっと強いだけの小物でしょう? ほら、ぴったりの名前じゃない」
ただの女だと舐めて、下劣な視線で私たちを見ていたこと。そして私たちで楽しむだなんてふざけた事を言った仕返しとして、私は嘲りの視線を目の前の男に向ける。
「ふ、ふざけやがって! 手足が潰れても文句を言うんじゃねえぞ! 生きてることを後悔するほど犯してやる!」
この後に及んで私を殺そうとしないどころか、まだ私を犯そうと思うだなんて、本当に救えないわね。
「あなたこそ。後悔しても──」
「吹き飛べ!」
私が話し終える前に男がそう叫ぶと、男を中心にして衝撃波が起きた。まさか、鬼達を一瞬で消すほどの魔術を使えるだなんて。
砂使いという考えは間違っていたのかしら……いえ、あれは魔力の溜めを感じなかったから魔術具ね。
なるほど、確かに本人の能力とは別の能力を持った魔術具を持っていることもあるわね。私達の恋人……じゃなくて、お、夫である彰人もそうだし。
……知性ある者と戦うときは道具の警戒も必要、か。
「──『縛砂』!」
男の足元で蠢いた砂は、まるで鎖のように幾つもに分かれて私に襲い掛かった。
──グオオオオオオオ!
けど、それは私が何かをするまでもなく炎鬼によって止められた。
炎鬼は自身の体を私と男の操る砂の間に滑り込ませるとその体で砂を受けた。そして……
──ドオオオオオン!
攻撃を受け止めた瞬間に体の前面を爆発させて自身に迫っていた全ての砂を吹き飛ばした。
「……すごいけど、洞窟内でやるのはやめて頂戴」
狭い空間で突然爆発が起きたせいで、耳にダメージが入ってしまった。爆風なんかは私に向かって爆発が起きたわけじゃないし、あったとしても桜からもらった守りの魔術具で防げるけど、音はそうはいかなかった。
──グオオォォォォ……
私に怒られたせいか、火鬼と違って意思を持っている炎鬼は少し悲しげに肩を落とした。
「あら、まだ無事なのね。私が何かをする前に終わってしまったと思っていたのだけど……良かった」
爆発によって舞い上がった煙は不自然な形で通路の方へと流れていき、数秒後には舞い上がっていた煙の一切は無くなった。
元に戻った視界では、男が杖に縋り付くようにしながら膝を突いていた。
「くそっ! なんだよお前! なんでお前みたいなやつがこんなとこにいんだよ。聞いてねえぞ!」
「ええそうね。私も聞いていなかったわ。あなたみたいな人がいるだなんて。ただの賊じゃなかったの? あなた、ミスリル級冒険者って言ってたわよね」
冒険者から賊に堕ちる者もいるとは聞いているけど、ミスリル級になれる実力があるなら賊になんてなる必要はないはず。だってそんなことしなくても稼げるんだから。
なのにこの男はここにいて村を襲っていた。
そんなおかしなことをする理由なを考えるとしたら、まず思いつくのはこの男が法の範囲内じゃ満足できないような下衆だった場合。
この男が下衆であるのはさっきまでの話からして明らかだけど、それでもこんなところで賊をやると言うのはおかしい。もっと大きな団に入って、もしくは作ってもっと別の場所を襲った方がいいはず。いくらあの村が拠点にちょうどいいって言っても、何度も撃退されてるのにまだ挑むのも、周辺の村を壊滅させるのも違和感がある。
となるともう一つの可能性が高くなる。それは誰かに雇われたってこと。普通に冒険者をやるよりもお金を稼げるということで、誰かに雇われて村を襲っていた可能性がある。
「くそ──」
「動かないで」
杖に寄りかかりながらも魔術を使おうとしている男。その背後に火鬼を生み出し、拘束する。
「ぐ、っあああああああ! やめ、やめろおおお!」
火鬼の体は炎でできてるから触られれば当然ながら焼ける。
そのせいで男は絶叫しているけど、今までこの男がやったことを思えば仕方ないこと。
「……うん。これだけやって問題ないなら、実験は成功ね」
洞窟内という閉所で炎を扱うにあたって、私は常に魔術を使っていた。魔術を使い空気を循環させれば炎による二酸化炭素中毒を気にせず炎を使えると思ったから。
その際に継続して使うには魔力の消費量と、その魔術を維持しながら戦えるかが気になったけど、どうやらどっちも問題ないみたいね。
「そろそろイリンの方も終わってるかしら。……それにしても、怒ってたとは言え少し時間をかけすぎたわ。彰人の方は、もう終わってるでしょうね……はぁ」
早く倒したら援護に来てくれって言われてたのに……怒ってたにしても、もう少し手早く終わらせればよかったわ。
でも、あれに何もしないでいるっていうのはできなかったから、仕方がないわね。
賊は抵抗しているけど、炎の体にただの剣や槍なんて意味がない。中には運よく核に当たった攻撃もあったけど、魔力を伴わない攻撃では核を壊すことなんてできはしない。
そうして賊達は火鬼によってその手足を焼かれて地に伏し、広間には賊達の悲鳴が響き渡った。
「くそがっ! ふざけやがって! 俺はミスリル級冒険者の『砂礫』だぞ!?」
その間、当然ながらリーダーの男にも休む間も無く火鬼が襲いかかっていた。そしてその中には炎鬼も三体ほど混ざっている。
火鬼であれば簡単に消すことができた男も炎鬼を倒すには少し集中する必要があるようで、火鬼の攻撃を捌きながらではまともに反撃できないようだった。
「そう。で、それがどうしたというの?」
その悔し紛れか何か言っているけど、冒険者について詳しくない私にはよくわからない。
それに、たとえ有名な人だったとしても、この程度をどうにかできないのであれば関係ない。
ああでも……
「砂礫っていうのはあなたにぴったりかも知れないわね」
「どう、いう……」
つい、クスリと笑ってしまった私を見た男は、逃げ回っていた足を止めて茫然とこっちを見ている。
そのまま炎鬼達に襲わせて倒すこともできたけど、せっかくだから襲うのを止めて少し話すことにした。
油断して他の賊に襲われる心配はない。だって、賊達の声はいまだに聞こえるものの、私たちの周りにはもう、誰も立っていないから。
「砂礫って小さな砂粒とか、それよりちょっと大きめな小石のことだもの。あなた達って取るにたらない小物の寄せ集めと、それよりちょっと強いだけの小物でしょう? ほら、ぴったりの名前じゃない」
ただの女だと舐めて、下劣な視線で私たちを見ていたこと。そして私たちで楽しむだなんてふざけた事を言った仕返しとして、私は嘲りの視線を目の前の男に向ける。
「ふ、ふざけやがって! 手足が潰れても文句を言うんじゃねえぞ! 生きてることを後悔するほど犯してやる!」
この後に及んで私を殺そうとしないどころか、まだ私を犯そうと思うだなんて、本当に救えないわね。
「あなたこそ。後悔しても──」
「吹き飛べ!」
私が話し終える前に男がそう叫ぶと、男を中心にして衝撃波が起きた。まさか、鬼達を一瞬で消すほどの魔術を使えるだなんて。
砂使いという考えは間違っていたのかしら……いえ、あれは魔力の溜めを感じなかったから魔術具ね。
なるほど、確かに本人の能力とは別の能力を持った魔術具を持っていることもあるわね。私達の恋人……じゃなくて、お、夫である彰人もそうだし。
……知性ある者と戦うときは道具の警戒も必要、か。
「──『縛砂』!」
男の足元で蠢いた砂は、まるで鎖のように幾つもに分かれて私に襲い掛かった。
──グオオオオオオオ!
けど、それは私が何かをするまでもなく炎鬼によって止められた。
炎鬼は自身の体を私と男の操る砂の間に滑り込ませるとその体で砂を受けた。そして……
──ドオオオオオン!
攻撃を受け止めた瞬間に体の前面を爆発させて自身に迫っていた全ての砂を吹き飛ばした。
「……すごいけど、洞窟内でやるのはやめて頂戴」
狭い空間で突然爆発が起きたせいで、耳にダメージが入ってしまった。爆風なんかは私に向かって爆発が起きたわけじゃないし、あったとしても桜からもらった守りの魔術具で防げるけど、音はそうはいかなかった。
──グオオォォォォ……
私に怒られたせいか、火鬼と違って意思を持っている炎鬼は少し悲しげに肩を落とした。
「あら、まだ無事なのね。私が何かをする前に終わってしまったと思っていたのだけど……良かった」
爆発によって舞い上がった煙は不自然な形で通路の方へと流れていき、数秒後には舞い上がっていた煙の一切は無くなった。
元に戻った視界では、男が杖に縋り付くようにしながら膝を突いていた。
「くそっ! なんだよお前! なんでお前みたいなやつがこんなとこにいんだよ。聞いてねえぞ!」
「ええそうね。私も聞いていなかったわ。あなたみたいな人がいるだなんて。ただの賊じゃなかったの? あなた、ミスリル級冒険者って言ってたわよね」
冒険者から賊に堕ちる者もいるとは聞いているけど、ミスリル級になれる実力があるなら賊になんてなる必要はないはず。だってそんなことしなくても稼げるんだから。
なのにこの男はここにいて村を襲っていた。
そんなおかしなことをする理由なを考えるとしたら、まず思いつくのはこの男が法の範囲内じゃ満足できないような下衆だった場合。
この男が下衆であるのはさっきまでの話からして明らかだけど、それでもこんなところで賊をやると言うのはおかしい。もっと大きな団に入って、もしくは作ってもっと別の場所を襲った方がいいはず。いくらあの村が拠点にちょうどいいって言っても、何度も撃退されてるのにまだ挑むのも、周辺の村を壊滅させるのも違和感がある。
となるともう一つの可能性が高くなる。それは誰かに雇われたってこと。普通に冒険者をやるよりもお金を稼げるということで、誰かに雇われて村を襲っていた可能性がある。
「くそ──」
「動かないで」
杖に寄りかかりながらも魔術を使おうとしている男。その背後に火鬼を生み出し、拘束する。
「ぐ、っあああああああ! やめ、やめろおおお!」
火鬼の体は炎でできてるから触られれば当然ながら焼ける。
そのせいで男は絶叫しているけど、今までこの男がやったことを思えば仕方ないこと。
「……うん。これだけやって問題ないなら、実験は成功ね」
洞窟内という閉所で炎を扱うにあたって、私は常に魔術を使っていた。魔術を使い空気を循環させれば炎による二酸化炭素中毒を気にせず炎を使えると思ったから。
その際に継続して使うには魔力の消費量と、その魔術を維持しながら戦えるかが気になったけど、どうやらどっちも問題ないみたいね。
「そろそろイリンの方も終わってるかしら。……それにしても、怒ってたとは言え少し時間をかけすぎたわ。彰人の方は、もう終わってるでしょうね……はぁ」
早く倒したら援護に来てくれって言われてたのに……怒ってたにしても、もう少し手早く終わらせればよかったわ。
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