『収納』は異世界最強です 正直すまんかったと思ってる

農民ヤズ―

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友人達の村で

413:ニナ・ニルドレン

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「さて、待たせちまったが話をするか」

 俺たちは現在ガムラの家に戻って来ていた。

 壁の外、この村を襲ってきた賊の別働隊の死体は俺が全部回収したし、あのままわざわざ壁の外でたったまま話をする必要などないのだから落ち着ける場所に来たのは当然とも言える。

「ああ。けどその前に紹介しておいた方がいいか?」

 俺たち三人は知っているが、ガムラたちはニナの事を知らないだろう。何せさっき村の外で出会ったばかりなのだ。俺だって彼女のことを知っていると言えるほど詳しいわけではないが。

 ニナの毒が解けるまでの時間は多少はお互いの状況を確認したが、それでもその内容のほとんどは彼女とイリンの話だったし、俺が知っていることといえば精々が名前と冒険者だってこと。それと依頼でここにやって来たってことくらいだ。あとはイリンの知り合いだってのもそうだが、まあそれはいいだろう。

「ん? ああ、大丈夫……いや、やっぱ紹介してもらってもいいか? キリーとナナは知らねえだろ?」

 だがガムラは首を振りニナの紹介を断ろうとした。がその直後自身の言葉を訂正した。
 その言葉の感じからして、ガムラはニナのことを知っているのだろうか?

「キリーとナナはって、お前は知ってんのか?」
「ああ。たまにうちの村にも寄ってたからな。すごく仲がいいってわけじゃねえが、面識はある」
「そうだったのか」

 まあ、この村はイリンの故郷へ行く道の途中と言える場所にある。街ではないがそこそこ大きな村だし、イリンの故郷へよく行っていたらしいニナがここの常連でもおかしくはないか。

「まあ、イリンの故郷に行くときにここはちょうど途中にある上、便利だったからな」

 俺の考えを肯定するようにニナはそう言って頷いた。

「私はイリンの知り合いで、今回この辺を襲ってる賊を倒すために依頼を受けてやってきたニナ・ニルドレンだ。階級はミスリルで、『隻腕』などと言う名で呼ばれることもある。まあ、見たまんまだな」

『隻腕』って二つ名はわかる。本人が言った通り、見たまんまだからな。

 だが、階級がミスリル? 確かに一般の者からすればミスリルはかなり上位、冒険者全体でも数パーセントしかいない英雄のような存在だ。だが、それでも俺はニナがミスリルだということに違和感を感じた。

「ミスリル?」
「なんだ。何か不服か?」
「いや不服っていうか、もっと上かと思ったんだ。俺と戦った時の最後の一撃は、まともに喰らえばそれこそドラゴンを殺せる一撃だったように感じた。だからてっきり竜級、もしくはオリハルコンだと思ってたんだ」

 何せ、俺を襲った時最期の放った攻撃は、正直に言えば神獣と相対した時と同じくらいの威圧感を感じた。
 まあ結局武器を用いての攻撃である以上は効かなかったわけだが、それでもまともに喰らっていれば俺だけではなく俺の立っていた場所の周辺さえも消し飛んでいただろう。
 それほどの攻撃を放つことの出来る者が

「ああ。確かに竜を殺せないことはない。実際殺したこともある」

 肩を竦めながらそう言って俺の疑問に答えるニナ。だが話はそれで終わりではないようだ。

「だが、それは昔の話だ。一時は竜級にもなってたが、それは腕がなる前のことだ。こうなった今は階級を落としてもらったのだ」

 どうやらニナは元々は隻腕じゃないようだ。まあそれは当然なんだが、竜級になった後に何らかの理由で片腕をなくしたらしい。そして片腕では相応しくないとランクを下げてもらった、と。

 なるほど。それなら実力と階級があっていない理由は理解できる。まあ、なんで竜の一個下であるオリハルコンではなく、二つしたのミスリルなのかって疑問はあるけど。

「確かにアンドーの言ったようにあの一撃を当てれば今でも竜を殺せるだろう。だが、問題なく殺せるのと、殺すことができる、ってのは別ものだろう? 竜級とは、竜を事ができて初めてなれるものだ。ただ殺せるだけでは竜級になることはできないのだ」

 冒険者が竜級に上がる条件として、単独で竜を狩ることができる実力を持っていること、という条件がある。
 ここで重要なのは『倒すことができる者』、ではなく『狩ることのできる者』、ということだ。満身創痍になりながらも竜を倒すことのできる者というのは、実は意外といるのだ。
 だが、余力を残しつつ安定して『狩る』ことのできる者というのは少ない。

 片腕となった今のニナには倒せはするけど余裕というほどではないらしい。

 が、それは嘘だと思う。
 だって、なんだかものすごく余裕そうに笑っているのだ。俺と戦った感じからしても、多分今でも竜を『狩る』ことはできると思う。

「それに、階級が高すぎるってのも面倒なもんだ。私にはこれくらいでちょうどいいのさ」

 それがどうしてミスリルなんかに、と思ったが、どうやらあえてそうしたようだったようだ。

 竜──ドラゴンというのは、たとえ一体であろうと人里に現れれば簡単な街ならたやすく破壊してしまうし、場合によっては小国程度なら滅ぼすこともできる。
 つまり単独でドラゴンを倒せるということは、個人で国を相手に戦争ができると言うことだ。

 もちろん実際に真正面から戦争をすれば数の暴力で冒険者の方が負けるかもしれないけど、それでも国側だって尋常ではない被害が出るし、そもそも真正面から戦わなければ冒険者の勝ちだ。
 何せ軍隊と違って竜級の冒険者というのは個人だ。街にこっそりと入って相手の指揮官がいる場所に向かって全力を叩き込み、あとはそれを他の街でも何度か繰り返せば、それだけで国は終わる。

 そんな脅威を国が放置しておくかと言ったら、それは無理というものだ。確実に囲い込みが行われる。ニナもそれは例外ではなかったのだろう。だからその囲い込みから逃げるためにオリハルコンではなくわざわざ二つ下のミスリルまで下げた。ミスリルも全体から見ればその数は少ないしすごい存在ではあるのだが、それでも竜やオリハルコンに比べればそこら辺にいるようなものだから。

 だから多分、腕がなくなったのは偶然だろうけど、その後の実力の報告や自身の扱いについてはニナの計算通りなんだろうな。
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