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幼少期編
ふれー、ふれー、ティーーナ!
しおりを挟むこの日のために、聖霊さんのために、この世界を選びました。
とても確率の低いお話ではありますが、わたくしにだって聖女候補になる確率はあるはずです。
でもいざ、「明後日ね!はい!頑張って!」と言われてしまうと出来る覚悟もできないと言うか、出来る準備も出来ない言うか…。
取り敢えず昨日はなけなしの準備をわたくしなりにしてみました。
まず、聖女候補は心の綺麗な人でないとならないらしいので、その努力をしてみたのです!
綺麗な心は、綺麗な肉体から!と言うことでわたくし、昨日は名山直送の天然水しか飲んでおりません!
ドヤァ!!これで心も体も綺麗ですよっ!
なぜか家族からは「バカだ!うちのティーナは天才なのに天才的にバカだ!!」と陰で言われ、侍女の皆さんからは「お嬢様……とうとういくところまでいってしまわれたのですね…。」と悲痛なお言葉を頂きましたが。なんでですかね??
さて、昨日一日中ずっと悩んでいたのは、今日何の歌を歌うか、ということ。
歌う聖歌によって来る聖霊さんも変わってきますし、そもそも呼び出す本人に合った属性の聖霊さんじゃないと来てくれない可能性が高まるのです。
全属性が好む歌だってありますよ?
でもですね…難易度が半端ないんです!
…と、言うことで。
わたくし、決めました!
わたくしが呼ぶのは、闇・光・木の三属性です。
本来なら闇だけにするつもりだったのですが…皆から「絶対、光!光を入れなさい!あなたは絶対光属性と相性がいいわ!!」と言われてしまったので光も追加。木はなぜ入れたかと言うと、単に人に懐きやすい属性だからです。
あとは…なぜわたくしが闇を選んだか、ですね?
決まってるじゃないですか。
かっこいいからですよ!
闇ですよ?闇!クールビューティー!!
……。はい、すみません。ですよね。分かっていただけませんよね。ゴメンナサイ。…ぐすん。
◇ ◆ ◇
気をとりなおしていよいよ本番です!
出来る限りこころを美しく!
今日も今日とて天然水しか飲んでおりません!
なぜか周りの視点が可哀想な人を見る目だったのですが、気のせいだと思います。
「ティーナぁぁぁあああ!心配しなくても大丈夫だからねぇえーーーー!!何たって、ティーナはナビ様の加護を受けてるんなからね!心配ないよ!」
「あ、…ありがとうございます。ナビ様…?様……??」
「ティーナ。安心するといい。僕はティーナのことを応援しているから。第一、聖霊なんぞに加護を受けなくても僕が守ってあげるから。」
「はい、ありがとうございます!」
「まぁー!嫌だわ朝っぱらから暑苦しい!!あ、そうそうティーナちゃん。私、ティーナちゃんを応援するために旗を作ったのよ!見て!凄いでしょう??」
お母様、その旗が一番暑苦しいです。
何ですかその大きさは。オリンピックの応援でもあるまいし。
というか、何ですか『我が家のアイドル☆ティーナちゃん!ファイトおー!』って。アイドル??
我が家は今日も通常運転です。
「それじゃあ、そろそろやっちゃいますね。」
覚悟を決めたその時、聞き慣れた、何とも間延びた声が降ってきました。
「ティーナぁー!あっそびーにきったよー!!って、あれれー??僕、タイミング悪かった?」
「!!ナ、ナビ!遊びに来てくれたんですね!今日はテレパシーじゃないんですね!」
「うん!僕、今日はお仕事たーっくさんあったんだけどね?相方に押し付けて来ちゃったー!えへっ。」
ナビと何でもない会話をしていると、後ろにいるお父様やお母様、お兄様、そして侍女さん達(お母様曰く『ティーナ見守り応援隊』)が大騒ぎしました。
「えぇ⁉︎ナビって、あのナビ様だよね??」
「まぁ!神々しいわ!」
「なんて神々しい!」
「ナビ様にお目にかかれる日が来るなんて!!」
「なんて麗しいのかしらっ!!」
え…?もしかして、もしかして、ナビって有名人さんですか?あれ?あれれ?
ま、いっか。
「それよりナビ!わたくし今から聖女候補にチャレンジするのです!応援して下さいね!」
「それより…?うんわかったー。ティーナって、大物だよねー。頑張ってー。ふれー、ふれー、ティーーナ!」
おおもの?よくわかりませんが褒められてますよね?それにしても小さな手足を使ってパタパタ応援してくれるナビは悶絶級に可愛いです。
天使さんに応援してもらってるんです。
きっとうまくいきますよね??
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