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出会い編
ヤバイのは貴方ですよね⁉︎
しおりを挟むパチ、パチパチ。
パチパチパチッ!
パ、パチパチ…!?
パチパチパチパチ、パチ。
パチパチうるさくてごめんなさい。
御機嫌よう、アルカティーナでございます。
さて、この煩いパチパチ音は何を隠そうわたくしと、その背後に控えるゼンが奏でているものだったりします。
そう。実は今、わたくしは必死にゼンとアイコンタクトを取っているのです。
パチパチ!
(助けてくださいよゼン!)
パチッパチパチパチ!
(いや、俺はただの護衛役だから手出しできないんだって!)
パチパチパチッ!!
(そうですけど!そうなんですけどね!?これは流石に…)
パチ。
(言いたいことはわかるぞ?確かに、流石にこれは…。これは、予想以上だ。)
アイコンタクトの真っ最中。
ゼンにアイコンタクトを返そうとしていた時です。
「アルカティーナ様?アルカティーナ様ー??聞いてますかー?」
背中側のゼンに向けていた目の前でブンブンと手を振りかざしてきたのは、今わたくしたちがアイコンタクトをしていた原因となった人です。
とはいえ、無視するわけにもいかないのでにっこり笑って返事をしておきます。
「はい。ごめんなさい、少しぼんやりとしていましたわ。許してくださいまして、リサーシャ嬢??」
すると彼女は手を振るのをやめ、ニパッといたずら好きの子供のような笑顔になりました。
可愛いです。が、しかし。
この後の発言が問題でした。
「いいですよー!可愛いから許しちゃいます!ほんと可愛いー!天使!?天使ね、本当に!はぁ、生アルカティーナたんマジヤバイ。うっへへへ、へへへ…」
「ヤバイのは貴方ですよね⁉︎」
「え?ごめんなさいアルカティーナ様。聞き取れませんでした…何ですか?」
「いえいえ何でもありませんわよ?ええ!何でも!!ありませんわ!!」
「そうですか?なら良いんですけど…」
よ、よかった!!きこえてなかったみたいですね!
思わず小さな声でではありますが、叫んじゃいました。
そして、助けを求めるべく再びアイコンタクト。
パチパチッ!!
(ヤバイヤバイ!本当に助けてください!ピンチです!絶体絶命のっ!!)
パチパチパチパチパチ!
(ヤバイのはわかってるぞ?でも、これはやばすぎないか!?)
パチッ!
(ヤバイの度が過ぎてますよ!聞いてませんこんなのっ!)
クセのある変わり者として少し有名な彼女こそが、わたくしが怖いながらに会ってみたかった方。
その名もリサーシャ・キリリア嬢です。
焦げ茶の髪に、神秘的な金色の瞳は当たり前ですが、マニュアル通り。
バランスのいい容姿で、年相応の顔立ちは羨ましい限りです。
あまり悪役っぽい見た目ではなく、可愛らしいな、という印象を受けます。
…羨ましい!同じ悪役でもわたくしは全然違いますからね!
すごく童顔ですし!背も同年代の子より低めですし!
ぐすん。いいですもの。気にしてないですもの!
な、ないですものっ!!!
そして、問題は彼女の性格です。
どうやらアメルダは彼女が「クセのある」性格だという噂を知らなかったようで、同い年だからと呼んでしまったそうだ。
ツンデレの王女様(←何それ)であるアメルダも、さすがにリサーシャ嬢には敵わず。
お茶会が始まってからずっと、リサーシャを見てポッカーーーンとしている。
まあ、無理ないですよ。だって、わたくしとの初対面の会話が、
「初めましてリサーシャ様。わたくし、アルカティーナ・フォン・クレディリアと申しますわ。」
「初めましてアルカティーナ様!リサーシャと申します!!噂通りめっさ可愛いですねっ!!きゃぁっ!美声!!美形!!お肌ツヤツヤ!!ぐへっぐっへへへへへへ、じゅるっ。あ、やば。」
でしたからね!!
あ、初対面ですよ??初対面の会話ですからね??
リサーシャ・キリリア侯爵令嬢が「クセがある」というのは本当のようです。
今も今とてわたくしに話しかけてきています。
なぜわたくしに話しかけるのですか!?
他のご令嬢とお話ししてくださいよぉ!!
もう、アルカティーナは半泣きですっ!!
「はぁーー。いいわぁ。落ち着くわぁ。美少女萌えー。すぅはぁ、すぅはぁ。フハハハハ!あ、ところでアルカティーナ様。前世って信じます?」
……逃げたい。
この、意味不明な空間から。
逃げ出したいです。
って、あれ??
なんか今、聞き捨てならない単語が聞こえた気がするんですけど。
前世?
信じるかって?
そりゃもちろん、
「信じますよ?」
だって、転生者ですから。
当然でしょ??
すると、リサーシャはニパッとわらった。
「ですよねぇー。私もアルカティーナ様と同じです。」
それは、邪気のない笑顔。
唐突な前世の話からの「同じ」ってつまり、そういう事ですか??
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