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出会い編
様々な事情が絡まった複雑な事情って何ですかそれ!!!
しおりを挟むリサーシャ・キリリア侯爵令嬢は、謎の多いキャラクターです。
マニュアルによれば、様々な事情が絡まった、とある複雑な事情からヒロインとヒーローの恋路を邪魔するのだとか。
さて、これを踏まえた上でわたくしは大声で言いたいことがあります。
「様々な事情が絡まった複雑な事情って何ですかそれ!!!」
あ。本当に言っちゃいました。
まあいっか。ついでに他の文句も叫んでやりましょう!
「お、お嬢!?どうしたんだお嬢!曲者か??」
「だいたい、マニュアルもマニュアルですよっ!」
「何!?曲者!?おいみんな、お嬢様をお守りしろっ!!」
「もう少し詳細を書いてほしいものですよねぇ…ってあれ?何で皆さん剣を構えてるんですか??そんな物騒なものは早くしまってください、もうっ!!」
少しぼうっとしている間に部屋に大勢の人が駆けつけていました。
わたくしの部屋にそんなものを持ち込まないでください!
でも、何かあったのでしょうか。
「侵入者でもいたんですか?」
すると皆んなは顔を見合わせると首をキョトンと傾げた。
「「「え、だってお嬢(様)が曲者が出たって…」」」
「言ってませんよ!?ふぅ、誤解させてしまいましたね。ごめんなさい。もう帰って大丈夫ですよ?」
すごすごと帰って行く従者の皆さんを見ながらわたくしは思わず首を傾げてしまいました。
「……あれ?何でこうなったんですかね??」
何故かその瞬間ゼンが首を思いっきり背けましたが、見なかったことにします。
後で覚えておいてくださいよっゼン!
余談だが、アルカティーナの部屋に曲者が現れたという誤報を聞いた父、マリオスはその後、光の速さで部屋に駆けつけたと言う。
もちろん、相手にされていなかったが。
◇ ◆ ◇
あれから、色々考えましたが。
うん、もう何でもいいや、ってなりました!
だってわたくしがどうこうしてもリサーシャ様のお人柄が変わるわけでもありませんしね。
きっと大丈夫ですよね!
変わった人だとか聞きましたけど。
様々な事情が絡まった複雑な事情がある方ですけど!
悪役ですけど!
…………。
「……大丈夫かなぁ。」
不安になってきました。
でも、リサーシャ様はいったいどんな方なんでしょうか。それは何だか楽しみな気がします。
今回のお茶会は、アメルダ曰く同年代の令嬢たちを呼んだものなのだとか。
……ちなみに、他の令嬢たちにも『べ、別に来なくてもいいけどね!でも。どうしてもって言うなら…』や、『この私がさ、誘ってあげてるのよ!?きてよね!』などといったツンデレ招待状を送っているのかと気になって聞いて見たところ、他の令嬢たちへはアメルダのお母様が招待状をお書きになったそうです。
……ま、ですよねぇ。
じつはこのお茶会。
わたくしがグズグズと物思いにふけっているうちにあっという間に時間が過ぎ去っていったため、明日です。
もう一度言いましょう。
明日です!!
悪役仲間に実際会うのははじめてですけど…。
仲良くなれるでしょうか。
いや、仲良くなっちゃダメなんですかね??
でもでも、お友達は欲しいし…。
あれ?あれれ?どうしましょう。
ま、なるようになりますよね!
ともかく明日に備えて今日は早めに眠ることにしましょうか。
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