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出会い編
リサーシャの語り
しおりを挟む「えへへ…」
リサーシャ・キリリアはベッドにうつ伏せの状態のまま、フニャリと頰を緩めた。
今日はいいことづくめだった!
お茶会楽しかったし!
お友達出来たし!
アメルダ嬢可愛かったし!
それにアルカティーナ様…じゃなかった、アルカティーナとは友達になれたし!
アルカティーナも転生者だし!
ベリーベリー可愛いし!!
「えっへへ~」
「何を笑っているんだ気持ち悪いぞ。」
「うわぁっっ!…何だお兄様かー。無駄にびっくりしたよー。と言うかノックくらいしてよね!!変態!」
「変態とは何だ、失礼な。お前の愛すべきリュートお兄様だぞ。あとノックはした。お前が気がつかなかっただけだろうが。因みに俺なんかより気持ち悪い笑み浮かべてたお前の方が余程変態の称号が似合うとだけ言っておこう。」
「なっ!!変態なんかじゃないよ!」
「ああ、そうか。そりゃ良かったな。」
心底どうでも良さそうにそう言ったのはリサーシャの実の兄、リュート・キリリアだ。
飛び抜けて頭がいいわけではないが、そこそこの頭脳で、顔もかなりいいため世の令嬢から中々人気がある。
…私にはこんな失礼な男のどこがいいのかわからないけどね。
「それでお兄様、何の用?私の部屋に来たからには何か用事があったんでしょ?」
するとリュートはその通りだとばかりに頷いた。
「お前、今日初めてお茶会に出席したんだろ?どうだ、成果はあったか。」
「あったよ!大有りだよ!!」
「大有り…?動いて喋る鑑賞用美少女人形でも貰ったのか。」
「いや、違うけど。」
「なら、超美少女の髪の毛でも拾って匂いでも嗅いできたのか。」
「いや、違うんですけど。お兄様の中で私ってどんなキャラな訳?」
リュートのどこか方向性の間違った答えを訝しく思ったリサーシャは尋ねた。
そして…リュートの返答を聞いて。
酷く後悔した。
「変態」
「…今なんて?」
「いやだから、お前のことは変態だと思ってる。」
「…。」
「だってお前さ。口開いたら『美少女が』『美少女の』『美少女は』『美少女で』とか『萌え』ばかりだろうが。」
「…否定できない!けど、どっちにしろ今日の成果はそんな変なのじゃないから!ふふーん♪聞いて驚けお兄様!実はねぇ~」
◇ ◆ ◇
「…それ、本当か?」
話を書き終えたリュートは感極まったようにガタリと立ち上がった。
「うん。本当だよ?本当に今日、あのアルカティーナと喋って、それでお友達になったの!あとアメルダ嬢のツンデレも本当の話だよ。」
「し、紹介してくれ!」
「誰を?」
「アルカティーナ様と、アメルダ嬢だ!」
あれ?アメルダ嬢も?
ちょっと意外かも。
お兄様はアルカティーナと一回でいいから会ってみたいって言ってたから、アルカティーナについては予想してたけど…。
あ、わかった。
あれか。
私が今までツンデレの良さについて夜な夜な語ってきたからかな。
だから興味わいたのかもね。
…我ながらいい仕事するな、私。
「アルカティーナについては本人が良いって言ったら良いよ。でも、アメルダ嬢はそんなに親しくなったわけじゃないからな~~。ま、聞いてみるけど。」
「期待しておこう。だが、何でお前がアルカティーナ様のような令嬢と親しくなれたんだ?」
「…いやぁ、まあ色々あったんだよ。」
私は転生者だと言うことをアルカティーナ以外の人に口外したことは一度だってない。
当然、家族にも。
だから、「転生者」同士だと言う理由については言えない。
ごめん、お兄様。
リサーシャが理由を話しそうにないことを感じ取ったのか、リュートは嘆息した。
「そうか、まあ何でも良いが……俺の教えたコミュニケーション方は役に立ったか?」
「ああ、お兄様がアドバイスしてくれたからちゃんと実践したよ?…でも、『ヤバイ』って言われちゃった。……アルカティーナに。」
「……『ヤバイ』??おい、リサーシャ。俺が教えた内容、ちゃんと覚えてるか?」
「え?覚えてるよ。『本心をさらけ出した方が人付き合いは楽だ』ってやつでしょ?」
お兄様は私を何だと思っているのか。
それくらい覚えてるよ!
「合ってるな。それで、お前は実際にはお茶会でどんなコミュニケーションをしたんだ。」
まるで悪戯した子供を嗜めるような顔で私を見るお兄様。
失礼にもほどがあるよ!
コミュニケーションくらい私だって取れてたし。
前世から割と社交的だし!
前世のことも相まって、妙に自信のあったリサーシャはドヤ顔でお茶会の会話を再現した。
『初めまして~~私はリサーシャ・キリリアって言うんです~。仲良くしてね!うふ、うふふふ、ヤバイ。あなた超かわいいね!ぐへっ。ぐふぇふぇふぇ…』
リサーシャは、リュートからゲンコツを食らった。
◇ ◆ ◇
いくらお兄様でもアレは酷いと思う!
拳骨いたかったよ。マジで痛かったよ!!
でも、なんやかんやでアルカティーナと知り合えて本当に良かったと思う。
前世の記憶を持ったまま乙女ゲームの世界に転生して、しかも悪役で、一人ぼっちで。
ずっとずっと、どこか心細かった。
だから、アルカティーナという悪役で、しかも転生者の仲間が出来たことは本当に心強い。
ただ、アルカティーナは……いや、前世の彼女と言った方がいいだろうか。
前世の彼女は、この世界と酷似している乙女ゲーム「聖霊のアネクドート」を全くもって知らないのだそうだ。
ここが乙女ゲームの世界だと言うことは転生前に知らされていたらしく、かろうじて知っていたそうだ。
私達は境遇は少し違えど、同じ様に心細いなか此処まで何とかやってきた。
そして、出会った。
これって、運命だと思う。
元々、アルカティーナには違和感を感じていた。
ゲームにはなかった設定がアルカティーナに加わっていたから。
例えば、彼女が聖女候補だとかいう設定。
もしかしたら、とは思っていた。
それが、面と向かって話してみて確信に変わった。
もう、アルカティーナは別のキャラクターと化していたのだ。
ゲームのアルカティーナは一言で言うと「勘違いヒロインもどき」。
常に「きゅるん!」と効果音が聞こえてきそうなまでのヒロインらしさがあった。
そんな彼女は「聖霊のアネクドート」最恐の悪役令嬢で、意外な一面を持ったキャラクターでもあった。
それは、バッドエンドの時に初めてわかる彼女の本当の性格。
『ふ、ふふ、あははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははは!!!!!!そう、貴方はわたくしを選んでくれないのね?貴方はその女を選ぶのね?…わかったわ。ならそんな貴方は、い・ら・な・い♡ わたくしが消してあげるわ。貴方の存在ごとねっ!!!!!!』
そう、アルカティーナは実はヤンデレ気質。
このバッドエンドのスチルには本当に恐怖した。
もちろんアルカティーナの表情とその手に持ったナイフが怖すぎてね。
だからこそ、すぐにわかった。
ーーあ。この子、多分私と同じだ。
そして、友達になった。
どうしてかな。
私は何故か、彼女と初対面な気がしないの。
ずっとずっと前にあっている様な気がするの。
なんでかは、わからない。
心当たりなんて全然ない。
でも、ね?
これって運命でしょ?
私は悪役令嬢の中でも一番ショボいキャラクターで、どんなルートでもアルカティーナのように死ぬことはない。
酷くて国外追放だ。
国外追放くらいはどうってことない。
けど、友達の死亡フラグは放っておけない!
決めた。
アルカティーナに全面協力しよう。
それで二人で笑ってハッピーエンドを迎えるの。
幸い私は前世ではおきまりのオタクで、「聖霊のアネクドート」は何十回もプレイしていた。
各ルートのストーリーは全て覚えている。
これを使えばアルカティーナだって酷い目に合わないはず!!
実は私は記憶持ちとは言っても、結構ボンヤリとしか覚えていなかったりする。
でも、一つだけはっきり覚えていることがあった。
私は前世で、人に隠していたことがある。
それは、「私」がオタクだということだ。
家族にも、友達にも、ずっと隠し通して。
そしてそのまま死んだ。
前世の「私」には、大切な人がいた。
大切なその人は掬った砂が零れ落ちるように、ある日突然死んだ。
その人も、「私」と同じだった。
その人にも、隠し事があった。
どうして言ってくれなかったのかと、うらんだ。
そして、自分も人のことを言えるような立場ではないと、気がついた。
後悔した。
やめとけばよかった。
隠し事なんて、やめておけばよかった!
もう、やめよう。
「私」はもう傷つくのはごめんだ。
でも、現実は残酷で。
「私」は隠し事を止めるということを実践する前に、
死んだ。
死は、ちっぽけな私の事情を待ってなんてくれなかった。
今世こそは。
隠し事なんてせずに。
いや、勿論隠すべきものは隠すけど。
でも、大切な人には誠実でありたい。
私の名前はリサーシャ・キリリア。
「私」の名前は……何だったかなぁ
もう、思い出せないや。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
ちょっぴりお久しぶりです。
ご無沙汰してます水瀬 こゆきです。
更新遅れましてごめんなさい…。
いや、ちゃんと事情があるんですっ!!
学校が始まったんです!
テストがあったんです!
勉強もしてたんです!
ゲームもしてたしネット小説もちょっと読んだりもしたけど!
勉強してたんです!!
そしてここに降臨するは無事?テストを終えた水瀬……!!
はい、すみません。
何はともあれ更新遅れてごめんなさい!
今後もどうぞお付き合いくださいませ。
さいごにはなりましたが、感想を送ってくださった皆様、本当にありがとうございます!!
心の支えになります!
感想はいつでもウェルカムです。
何か御座いましたらぜひぜひ。
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