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学園編
試験を始めてください!
しおりを挟むアルカティーナが案内された座席に座ると、近くの席の新入生達がやたらざわつき始めた。
「きゃー!ラッキー」
「こんな近くで見るの初めてかも」
「麗しい……」
ゼンの席は、学園側も配慮してくれたのか隣だったので、ざわつきの原因はやはりゼンの容姿に違いないとアルカティーナはまたもや盛大な勘違いをする。
だが、そんなざわついた周囲よりもっとアルカティーナの気を引く者が現れた。
ヒロインである。
肩下で切り揃えられたブロンドヘアーを揺らしながら、ヒロインーーロゼリーナ・アゼル伯爵令嬢は講堂へと入ってきた。
途端に新たな騒めきが起こる。
「あの方、見たことがあるわ。確か彼女も聖女候補よ」
「アルカティーナ様と同じか…」
後ろの席から聞こえてきた『聖女候補』という単語にアルカティーナはピクリと反応した。見ると、ヒロインはとても可愛らしい少女だった。大きな瞳は黄緑色で、ブロンドヘアーもサラサラで、一言で言えば庇護欲を駆り立てるような容姿だ。
流石はヒロイン様ですねとばかりにアルカティーナは薄っすら微笑んだ。いつもとは異なるその笑顔に、ゼンは不安げに眉をひそめる。
「お嬢様、どうかなさいましたか?」
アルカティーナはふるふるとゆっくり首を振って答えた。
「いえ。大丈夫、何でもありません」
◇ ◆ ◇
入学式も無事終わり、アルカティーナ達は教師の引率のもと、試験会場となる教室へと向かっていた。
ぞろぞろと列をなして歩く中で、アルカティーナはこっそりとため息をついた。そのため息には勿論、理由がある。
入学式とは言っても、今日行われるのは正式なものではない。ただ学園長が新入生達に精進するようにとの言葉と祝福の言葉を告げる場であった。だから、よくある定番の『新入生代表の挨拶』だとか『在校生代表の挨拶』だとかをするのは後日となるのだが…。
さて。ここで一つ問題があった。
アルカティーナは出来ることなら『新入生代表』にはなりなくないのだ。出来るだけ目立ちたくないし、生徒達に反感を持たれるきっかけとなる機会をできるだけ減らしたい。
『新入生代表』には入学式の後にとり行われるクラス分け試験の結果でトップにだった生徒が自動的に選ばれる。
つまり、アルカティーナの今の目的は一つ。
試験で一位にならないこと、である。
何を馬鹿なことを言っているのかと言われそうだが、アルカティーナは必死だった。
自意識過剰かも知れないが、前世からずっと勉強だけは出来た。
だから、アルカティーナの上を行く人物が新入生の中にいるのか、いないのかだけが問題なわけで。
「………はぁ」
再び、ため息をつく。
手を抜いて首席を逃れればいいだけの話なのだが、そんなことをするわけにはいかない。
腐ってもアルカティーナは公爵令嬢なのだ。
公爵家に恥じない結果を出す必要もある。手を抜くことは許されない。
……希望は、ゼンくらいですかねぇ。
ゼンは完璧主義者だし、何でもそつなくこなしてしまうし、一番期待出来そうなのは、やはりゼンだ。
悩んでいる間に、アルカティーナ達は教室に到着した。教室ひとつでも、やはりゲームの世界は流石というか何というか…ひとことで言うと、超ゴージャスな教室だった。
教室に着いてもまだ不安は残る。残るどころか、どんどん増しているような気もする。
「それではみなさん、準備はよろしいですか?では、試験を始めてください!」
教壇の上で、試験監督の教師がそう言い放つと同時に、配られたテスト用紙を表にかえしてザッと問題をみる。
…………いけますね。
科目は、英数国理社の5科目。
流石にわたくしが満点を取れるとは思いませんし。
でも、このくらいの難易度なら満点も一人くらい出るでしょうし、わたくしの心配も杞憂に終わりそうですね。
アルカティーナは安心したようにほっと息を吐くと、問題に取り掛かった。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
アルカティーナの心の中のセリフで、最後にこんなのが出てきましたよね。
『 …………いけますね。』
人はこれを、フラグと呼ぶのです。
さて、嫌な予感しかしません!笑!
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