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学園編
しょーもない補正だから〜〜
しおりを挟む「えへへ、久し振り~!元気そうで何よりだよー、うんうん!」
パタパタと宙を飛びながらアルカティーナに話しかけているのは、酷く懐かしい顔だった。
「ナ、ナ、ナビ!?わ、ほんとに久しぶりですね…!ナビも元気そうで何よりです」
以前、テレパシーで会話したことはありましたが、こうして直接面と向かって話すとは本当に久しぶりです。それにしても、天使って歳をとらないのですね。会った時から見た目が一切変わってません。
「うん、元気元気~~!今日はちょっと暇ができたからー、ティーナに会いにきたんだ~!」
「そうだったんですか。ナビはいつも忙しそうですね」
「うん、だって僕~すっごく偉いもん!えっへっへ~~凄いでしょ~~」
えっへんと胸を張るナビは、残念ながら神話にまで記載されている大天使には到底見えない。だが、彼は正真正銘の大天使だ。
その大天使様は、「あ、そうそう~~」と思い出したようにアルカティーナに話を振る。
「もうゲーム本番になってるけど~、大丈夫ー?やってけそー?僕、すっごく心配!」
ティーナにはいろいろ、ヤバいフラグがあるからね~~というナビの言葉に、アルカティーナは顔を曇らせる。
「やっていけるとは思いますが、正直フラグに関しては不安しかないですね」
リサーシャという心強い助っ人がいるとはいえ、アルカティーナ1人ではフラグ回避の自信は一切ない。
「う~ん。そうだよね~やっぱり。でも安心して!この世界はゲームじゃいからー、ヒロイン補正とか、そう言うのは無いよ~!だから、頑張ったらフラグ回避なんて簡単!…なはず~!勿論基盤のストーリーは変わらないし~、多少ゲーム補正はあるけど~、全部フラグに関係ないような、しょーもない補正だから~~」
「しょうもない補正って………」
逆に何故それが入って、フラグに関係する補正が一切入らないのか。意味がわからない。
まぁアルカティーナとしては、万々歳だが。
それに、その『しょーもない補正』にアルカティーナは少し覚えがあった。
「あ、それってあれですか?わたくしが校門くぐった瞬間、花びらがぶわーって舞ったんですけど、あれのことです?」
「ピンポーン!大正解~~!!」
「…まぁ確かにしょうもない補正ですね」
「でしょ~~?ふふん」
満足げに頷くナビを見つめながら、アルカティーナは考える。
フラグに関係するゲーム補正がないとなれば、バッドエンドやデッドエンドを回避できる可能性は格段に上がる。そうなると、アルカティーナも多少気が楽で安心するが、それはそれとして、ヒロイン補正が効かないとなると…
「もしかして、ヒロイン様はリスク高めですか?」
「うん、その通り~~。ヒロインは元々ゲームではリスク低めだったんだけどね~、補正が入ってない状態で、かつ今のあの感じだとーー……」
「だと??」
真剣にナビを見つめると、彼はへらっと笑いながら言った。
「かなりマズイよね~~」
このままじゃ、ティーナの代わりにあの子がバッドエンドまっしぐらかも~~、とのんびり告げるナビ。アルカティーナはポカンと呆気にとられていた。
「ゲームの世界だから、彼女中心に回るものだと思ってたんですけど…違うのですね」
ロゼリーナのことを不安に思いつつ、呟く。
「うん、そーだよ~~。だからティーナ、頑張ってねー!!!僕、ずっとずうぅっと、ティーナのこと応援してるから~~!!」
短い手足をブンブン振りながら必死に語りかけてくるナビに、アルカティーナは思わず噴き出した。
「ふふっ、はい。ありがとうございます。頑張りますね!」
すると、その答えに満足したのかナビは手をブンブン振ると、消えてしまった。
「うん、頑張れ~~!バイバーイ!!また絶対会いにくるよ~~!!まったね~~」
「はい、また!」
手を振り返し、ナビが消えるのを見届けてから、アルカティーナは再びベッドに寝転がった。
ーーわたくしには、応援してくれる人が沢山いる。みんながいる限り、わたくしはきっと大丈夫です!!
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
ティーナの希望の光が色濃くなる話でした。
いいことですね。
ですが、いいことの後にくるのが嫌なこと。
現実でも、ゲームでも、それは変わりません。と言うことで、ヒロイン様の次はいよいよ彼女のターンです。
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