聖なる歌姫は嘘がつけない。

水瀬 こゆき

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学園編

前途多難ですねぇ

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 気まずそうにして出て行ったロゼリーナを見送ると、アルカティーナは力尽きたように膝から崩れ落ちた。

 「流石にちょっと、疲れましたね……」

 冷めてしまった紅茶を飲みながら、ロゼリーナのことをぐるぐると考えてみるが、なかなか纏まらない。
 でも、ロゼリーナの気持ちが変わらないなら、アルカティーナも彼女に協力しないという思いは変わることはなかった。
ゼンも、皆んなも、人形じゃない。
軽々しく『攻略』なんてして欲しくない。 
 
 「……はぁ」

 ポスンとベッドに寝転がり、目を閉じる。
こういう時は頭を真っ白にするのが一番だ。
暫くそうしていると、やはり疲れていたのか、アルカティーナはすやすやと規則正しい寝息をたてはじめる。

夢を見た。
昔の夢だ。

 『何やってたのよ!どうせまたどっかぶらついてたんでしょう!そんな暇あったら勉強しなさいよ、この出来損ない!!』

 やめて。私は出来損ないじゃない。

 『あんたはやれば出来るはずなの。だってお父さんの子だもの。なのにどうして努力しないの?』
 
 何を言ってるの?努力してるじゃない。
貴女が勉強以外するなっていうから。
何を捨ててでも勉強しろもいうから。
それなのに。
貴女はいつも、娘の何を見つめているの。

 『はぁ?志望大学を変える?ランクを下げるっていうの?バカな考えはやめてよね!世間体ってものを考えなさいよこの馬鹿!!』

 あぁそうか。この人は……………

 『合格?そんなの当たり前でしょ。そうそう、大学でも首席とるのよ?首席以外許さないから。出来ないなんて言わないわよね?』

 最初から、私のことなんて見てないんだ。

 『どうしていうことを聞かないの!?あんたは私の言う事さえ聞いてればいいのよ!勝手なことはしないで頂戴!!』

 やめてよ。

 『ほんと、出来損ね』

 やめて、やめて、やめて!

 『あんたさえ、いなければ…』

 私は貴女のお人形じゃない!!!!

 
 ドンッ!という大きな音に、アルカティーナは目を覚ました。

 「……ゆ、め…」

 深いため息をつき、もう一度瞳を閉じる。

 ーー今更こんな夢を見るなんて…

 ロゼリーナにあんな事を言った後だからだろうか。それとも、言った時に当時の事を思い出したからだろうか。
わからない。

 でも、アルカティーナはどうしても、人を『人形』扱いする人が好きになれない。
勿論それは前世のせいだ。
皆んなにまで、あんな悲しい思いはして欲しくない。わたくしだけで、十分です。

 「でも、何はともあれ前途多難ですねぇ」

 アメルダの婚約騒動に引き続き、今回のヒロイン様のこともある。それに、忘れかけていたけれど、新入生代表挨拶の時に敵意を向けてきた悪役令嬢も、そろそろ何か仕掛けてくるかもしれない。

 そんな時。先を思いやってまたもやため息をついたアルカティーナの耳に、間延びした声が聞こえてきた。

 「ティーナお疲れ様~。大丈夫?大変そうだね~~」

 久しぶりに聞くその声に、アルカティーナはベットから飛び起きた。


 ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

最近ストーリーがまともですね。
私自身びっくりです。どうしたんでしょうか。風邪かもしれません。
でも、この状況でネタとか入れにくいんですよね。ここは話を進めたいので。
まぁ、常に真面目にストーリーを進めろという話ですがww
 
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