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学園編
いっちょ直談判してきます
しおりを挟む「私、ティーナに愛想つかされたわ。絶対にそうよ!うう……」
「いや絶対違うって!そんなはずないもの」
「だって最近毎日よ?毎日、お昼になったら逃げるようにどこかに行くじゃない!きっと私が捻くれてるから…だから愛想をつかされたのよっ…ぐすん…」
「いやいやいや…大丈夫だってば。ティーナはそんなことするような子じゃないし。アメルダは捻くれてないよ?」
ほら泣き止んで、と涙目の少女の背中をさするのは、リサーシャである。一方、目をごしごしと擦りながら「な、泣いてないんだからね!」と典型的なツンデレ発言をするのはアメルダ。寄り添いながら互いに仲良さげに何かをこそこそと話し合うその姿は、はたから見れば美しい友情が花咲いているようにも見える。だが、それは会話の内容を知らなければの話である。
聞けば最後。
美しい友情の花が枯れてゆく幻覚を目にすることだろう。
「あれ?どうしたんですか2人とも。えっア、アメルダが泣いて…!?ど、どどどどうしたんですか!?さてはスクレリズ先生におやつをとられ……」
「いや、違う違う」
噂をすれば何とやら。
タイミングが良いのか悪いのか、アルカティーナ本人が現れた。だが、本人は友人達が今の今まで自分の話題で盛り上がっていたことなど露知らず。何故2人とも自分を見るなり顔を引きつらせたのかと不思議に思っていた。
そんな中、目元を赤くさせたアメルダが恐る恐るといった風に尋ねてくる。
「あの……ティーナ。今日のお昼は一緒に」
「あー…すみません。わたくし、今日のお昼は少し用事がありまして」
「はぅっ!!」
誰かに殴られたかのようによろめいたアメルダは、再び目を潤ませながらリサーシャの背中をベシベシと叩いた。
「ほら!ほらぁーー!やっぱり私、き、き、嫌われ……う、ううぅ…………」
「そうなことないってば!もう、仕方ないなぁ~~私が聞いたげる!」
任せておけとばかりにリサーシャは堂々たる態度でアルカティーナに尋ねた。
「最近やけに忙しそうだけど、一体何の用事なの?よかったら手伝うわよ?」
私達も連れていけ、という無言の圧力である。だが、それが激ニブなアルカティーナに通じる訳もなく。
「え……と、それはその~~……」
アルカティーナは何やら言いにくそうに口ごもってしまった。その様子に、さっきまでドヤ顔だったはずのリサーシャが一気に青ざめて行く。
「どっどどうしよ。これあれだわ。マジで嫌われたわ。アメルダじゃなくて私が。私が……私が変態だからっ……!いつも盗撮しようと目を光らせてるから……っ!!」
だから嫌われたんだわと震え始めたリサーシャを慰める者は誰1人いなかった。その代わりアメルダはリサーシャから数歩遠のいた。
だが、悲しそうな表情で自分を見つめてくる友人2人に流石に違和感を覚えたアルカティーナは、ここで行動に出た。
「えぇと、別に2人に隠し事をしているわけでは無いんですよ?ただ、少し厄介ことになりそうなので……」
その言葉に、アメルダとリサーシャは少し希望の光を見た。もしかしたら、自分はアルカティーナに嫌われていないのかもしれない、と。そもそも、アルカティーナは変わり者ではあるが、飛び抜けて良い子である。そんな彼女が、何も言わずに自分達から離れて行くなんて、そんな事をするだろうかと。
今更ながら冷静になった2人は、アルカティーナを元気付けるように声を掛けた。
「だ、大丈夫よ!私達、と、ととと友達でしょう!?厄介事でも何でも、相談しなさいよねっ!ふ、ふんっ!」
「そ、そうだよティーナ。私達、友達。面倒ごと、皆んな、共有。助け合い、大事」
「えっと、取り敢えずリサーシャは落ち着いてください?ロボットになってますよ」
何だかよくはわからないが、要するに彼女達の様子が変だったのは自分が2人に内緒で色々としていたからなのかもしれない。
そう判断したアルカティーナは、2人に穏やかな笑みを向けた。
「じゃあまぁ、そこまで言ってくれるのでしたら2人には教えますね」
それから、人目のない場所へと移動したアルカティーナは、2人に話した。
ユーリア・ルゼスタのことを。
そして何より。
ロゼリーナ・アゼルについて。
ここ数日で起こったことを全て、洗いざらい打ち明けた。話を聞き終えた2人はと言うと、何とも2人らしい反応だった。
「何だかよくわからないけど、ロゼリーナ様はティーナに嫌なことを言ってきたのね!許せないわ、私の大切な友達にっ……!べ、別に、ティーナに嫌われてなかったからって、安心してるとかじゃないんだからね!」
相変わらずなアメルダ。
「ふ~~ん、そう。やっぱりロゼリーナは、そうなのね。ふ~ん……」
前世の記憶を所持しているからこそできるリアクションを返す、リサーシャ。
ーーあぁ。何だか久しぶりに2人とゆっくり話すことが出来たような気がしますね…
やっぱり、2人といると落ち着くなぁと頰を緩めていると、リサーシャが身を乗り出してきた。
「ティーナ!」
「ふぁ!?は、はいぃ!!」
突然のことに飛び上がって返事をするアルカティーナに、リサーシャはぴしゃりと告げた。
「多分だけどね。その話を聞く限り、ユーリア様は現状ではこっち側についてる。つまり、味方」
「は、はい……そうですね」
ユーリアがアルカティーナに嘘をついていない限りの話ではあるが、彼女は嘘をついているようには見えなかった。
信憑性は高いと言えるだろう。
「で、ロゼリーナ様。あいつは敵よ」
気を付けなさい。殺られるわよ。
アルカティーナにだけ聞こえるように、耳元で囁かれたそれに、思わず震えてしまう。
何に、とは聞かない。
答えは、沢山あるからだ。
気を付けなさい。殺られるわよ。
ゲーム補正に。
ヒロインに。
ゲームストーリーに。
ヒーローに。
ロゼリーナ・アゼルに。
全てを理解した上で、アルカティーナは力強く頷いた。
「はい、分かってます。そこでですね…わたくし今からロゼリーナ様に会いに行こうと思うのですよ」
いくらユーリアの話の信憑性が高いからと言って、ロゼリーナを『敵』と判断するにはいささか証拠が不十分だ。だから、そこを見切らなければならないのだ。
そのためには、どうすべきか。
そう考えた時に、アルカティーナが一番に思いついたのは……
「いっちょ直談判してきます」
そう告げるや否や、Aクラスへと歩き出したアルカティーナを追うように、アメルダとリサーシャも続いた。
「私も協力するよ!」
「わ、私もっ!仕方ないから、つ、付き合ってあげる!」
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
最近放置プレイだったツンデレ娘&変態が再登場★
2人の大好きなティーナまで参戦して、皆んな仲良しハッピーライフだね♡
さぁ、いよいよ恋敵ロゼリーナちゃんに決闘を申し込もう!
あっ……もう、ティーナちゃんったら!
ロゼリーナちゃんに投げる白手袋、忘れてるゾ★
もう!
*アルカティーナがロゼリーナに白手袋を投げる予定は一切ありません。ご希望の方は水瀬までどうぞw
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