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学園編
めんどりが空を飛んでいたから
しおりを挟むその後、チルキデンはアルカティーナ達のことを放ってディールに必死に訴えかけた。
自分にソッチ系の趣味はないということ。
見たこともないし、あり得ないということ。
色々な方法を使って、あらゆる手段を使って、ディールの誤解を解こうとするチルキデンの様子には涙ぐましさも感じた。
そして、そのかいあってか見事……
「ね!?僕がホモじゃないって信じてくれたディール?」
「あぁ、勿論だ」
「ホント!?嬉しいなあ。……ところでディール。なんか遠くない?本当に僕のこと信じてくれてるんだよね?」
「あぁ、勿論だ」
「ねぇディール。どうしてこっちを見ないの?本当に僕のこと信じてる?」
「あぁ、勿論だ」
「じゃあ僕の目を見て喋ってよ」
「あぁ、勿論だ」
「ちょっと待って。何で今クレディリア嬢の陰に隠れたの?ねぇ」
「あぁ、勿論だ」
ディールの誤解は、解けなかった。
チルキデンはぐぬぬと悔しそうに薄い唇を噛んだ。アルカティーナはそれを、獲物を捕らえ損ねたことからの悔しさだと勘違いし、ゼンとディールを庇うようにジリリと後ろに下がる。
「ねぇやめて?僕をバイ菌扱いするの、やめて?悲しくなるから!」
最早涙目。
それを見たアルカティーナは、流石に可哀想だと思ったのかふわりと笑った。
「大丈夫ですよ、チルキデン殿下。殿下はバイ菌扱いなんかされていません」
「ほ、ほんとに……!?」
「はい!だってほら……」
アルカティーナがニコニコと笑みを深めた瞬間、チルキデンの肩を何者かがポンと叩いた。振り向くと、可愛らしい栗色の髪の少女が立っている。
その顔に、変質者のような笑みを浮かべて。
「ねぇチルりん最高よ貴方!さっきは絶対受けとか言っちゃってごめんなさい!撤回するわ!?貴方、どうやら攻めの素質も十分あるようね。嫌がる好青年ディール殿下に迫る小悪魔系男の娘チルりん……!いける!!」
はぁはぁと息荒く捲し立てる変態少女にゾワリと肌を泡立たせたチルキデンを他所に、アルカティーナは花がほころぶような笑みを向ける。
「ね?バイ菌扱いされてないでしょう?」
「誰か!誰かこの変質者をバイ菌扱いしてよ!?僕なんかより彼女の方がよっぽどじゃないかっ!!」
「あーー…それは……」
「だって、ねぇ?」
「「「慣れたからもう良い(です)」」」
声を揃えて真顔で言い放ったアルカティーナ達に、チルキデンは声を張り上げる。
「嘘でしょ!?コレだよ?コレ!」
『コレ』と言いつつ変質者リサーシャを指差し、青ざめた顔で震えるチルキデン。だが、肝心のリサーシャは変質者かつコレ呼ばわりされたことに全くこたえていない様子だ。
「あぁその表情……っ!やっぱり受けの素質も抜群ね……!!リバおKなんて本当に神に愛されてるぅ!!!チルりん最高ーー!」
チルキデンとは真反対に頰を火照らせ、興奮した様子のリサーシャに、チルキデンは声を荒げる。
「てかさっきからチルりんって何!?何なの!僕、一応第二皇子なんだけどっ!?失礼じゃない!?」
「それはわたくしも同意見ですね…」
困ったような笑顔で頷くアルカティーナを見て満足したのか、チルキデンが少し表情を緩め、
「ま、僕はいちいちそんなことで処罰しようだなんて思わないけどね」
と言ったやいなや。
アルカティーナはパァと顔を明るくした。
「ほら良かったですねリサーシャ!チルキデン殿下もこう仰ってることですし今のうちにチルキデ………ふぅ、メンドくさいですね。……今のうちにチルキ殿下に謝ってください、リサーシャ」
「君こそ謝って!?僕が罰しないって言った矢先に!!!何省略してくれてるのさ!」
「だってメンド……めんどりが空を飛んでいたから」
「意味がわからない!もうちょっとマシな誤魔化し方してよ!?」
ゼエハアと息を整えるチルキデンを、ゼンはアルカティーナの肩越しに見つめていた。
ーーああ久しぶりに見たな、お嬢達のマイペースの犠牲になってる人。……可哀想に。
刮目せよ。
これがアルカティーナ・ワールドである。
ゼンも。そしてディールまでもが。
犠牲者チルりんを、可哀想だと言わんばかりの瞳で見つめていた。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
もう、なんとなく察して頂いているのではないでしょうか。
チルりんは、あれです。
この作品で一二を争うネタキャラです。
勿論、彼と一二を争うのは何処ぞの変態な訳ですが……どっちがNo. 1なんでしょうかね。
……第1回『真のネタキャラは誰だろな』投票でも開催しましょうかねww
皆さんはどっち派ですか?w
でも正直に申しますと、このチルキデンというキャラクター。
あるネタをやりたくて、それだけのために作ったキャラクターなんですね。
たった一つのショウモナイネタのために創作されしキャラ、それがチルりんです。
その肝心のネタはまだ出していないのですが…まぁ近々出ますww
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