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Ⅰ.出会い編
24.ターゲット4:ダリル
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パーティーも半ばに差し掛かってきた。入れ替わり立ち替わりで国のお偉いさん達が挨拶に来て笑顔が麻痺しそうだ。そんな中アゼン様はいつも通りの完璧な笑みをキープしているからさすがだと思う。
“お似合いです”って言われるたびアゼン様の笑顔が濃くなっていくからみんな馬鹿みたいに同じことしか言わない。そんだけ言われたら安っぽく聞こえるのに、腹を立てないアゼン様は相当心が広いのだろうか。私も見習わないといけないわね。
そしてほぼ全ての人から褒められた後──
「なにニヤニヤしてんだよ。気持ち悪いな」
この場に相応しくない不遜な声がかけられた。
心地の良い低音ボイスに振り向けば、褐色の肌に漆黒の髪を持ち、琥珀色の瞳を意地悪く歪めた美青年が立っていた。
──あれ? この人ってもしかして……。
「なんで君がここにいるのかな? 呼んでないはずだけど」
「そうか? 俺はちゃんとザハード王家の紋章入りの手紙貰ったぞ」
「父上の仕業か……」
「まあ水臭いこと言うなよアゼン。俺たちの仲だろ?」
「君と仲良くした覚えはない」
やっぱり!! 4人目の攻略対象、ダリル・ギタレスだ!
すごい、こんなところで会えるなんて。ダリルは隣国の第一王子で、ザハード王国の公爵令嬢である私とは勿論関わりがない。ゲームではこちらの学園に留学してくるから、攻略はそれからだと思っていた。なのに学園に入学する前にお目にかかれるとは思わぬ幸運だったわね。
ゲーム内ではやけに仲が良いと思っていたけれど納得だ、小さい頃から交流があったのね。確かに隣国の第一王子同士会う機会も多かったのだろう。
だけど何故かしら。なんとなく空気がピリついている気がする。アゼン様ったら、ダリルを見る目が冷た過ぎない? なんていうんだろう……上手く言えないけど無機物を見ているような? 大丈夫? ちゃんと人間に見えてる? ゲームでは良きライバルといった感じだったのに……。
も、もしかして私がアゼン様のライバルポジションを奪ってしまったからだろうか? もうお前なんか用無しだ的な? どうしよう2人を不仲にするつもりは全くなかったんだけど……。
と、その時ダリルの品定めするような視線が向けられて背筋が強張った。
「ふーん。婚約者を俺に見せたくなかったってわけね」
頭のてっぺんからつま先まで視線が移動され、最後は顔で固定された。鷹のような鋭い琥珀色の瞳に見つめられ、つい逸らしたい衝動に駆られる。
ザックともアゼン様ともローレンスとも違うこの感じ。油断したら魂を持っていかれそうな、危険な雰囲気を感じる。
しかしすぐにアゼン様が私とダリル王子の間に立ちはだかったため、私達の視線は遮られた。
「わかってるなら早く帰ってくれないかな」
「やだね。俺今来たばっかだし」
バチバチッと火花が飛び交う。
うわあ、やっぱり仲悪い。えーどうしよう、アゼン様と仲の良いダリルを攻略するつもりだったから、最初は3人で交流を深めればいーやくらいに思っていたけれど、アゼン様の前でダリルと喋ったら怒られそうだな。
同時攻略はやっぱり難しいって。どうにかして隙を見つけるしかないか……。
“お似合いです”って言われるたびアゼン様の笑顔が濃くなっていくからみんな馬鹿みたいに同じことしか言わない。そんだけ言われたら安っぽく聞こえるのに、腹を立てないアゼン様は相当心が広いのだろうか。私も見習わないといけないわね。
そしてほぼ全ての人から褒められた後──
「なにニヤニヤしてんだよ。気持ち悪いな」
この場に相応しくない不遜な声がかけられた。
心地の良い低音ボイスに振り向けば、褐色の肌に漆黒の髪を持ち、琥珀色の瞳を意地悪く歪めた美青年が立っていた。
──あれ? この人ってもしかして……。
「なんで君がここにいるのかな? 呼んでないはずだけど」
「そうか? 俺はちゃんとザハード王家の紋章入りの手紙貰ったぞ」
「父上の仕業か……」
「まあ水臭いこと言うなよアゼン。俺たちの仲だろ?」
「君と仲良くした覚えはない」
やっぱり!! 4人目の攻略対象、ダリル・ギタレスだ!
すごい、こんなところで会えるなんて。ダリルは隣国の第一王子で、ザハード王国の公爵令嬢である私とは勿論関わりがない。ゲームではこちらの学園に留学してくるから、攻略はそれからだと思っていた。なのに学園に入学する前にお目にかかれるとは思わぬ幸運だったわね。
ゲーム内ではやけに仲が良いと思っていたけれど納得だ、小さい頃から交流があったのね。確かに隣国の第一王子同士会う機会も多かったのだろう。
だけど何故かしら。なんとなく空気がピリついている気がする。アゼン様ったら、ダリルを見る目が冷た過ぎない? なんていうんだろう……上手く言えないけど無機物を見ているような? 大丈夫? ちゃんと人間に見えてる? ゲームでは良きライバルといった感じだったのに……。
も、もしかして私がアゼン様のライバルポジションを奪ってしまったからだろうか? もうお前なんか用無しだ的な? どうしよう2人を不仲にするつもりは全くなかったんだけど……。
と、その時ダリルの品定めするような視線が向けられて背筋が強張った。
「ふーん。婚約者を俺に見せたくなかったってわけね」
頭のてっぺんからつま先まで視線が移動され、最後は顔で固定された。鷹のような鋭い琥珀色の瞳に見つめられ、つい逸らしたい衝動に駆られる。
ザックともアゼン様ともローレンスとも違うこの感じ。油断したら魂を持っていかれそうな、危険な雰囲気を感じる。
しかしすぐにアゼン様が私とダリル王子の間に立ちはだかったため、私達の視線は遮られた。
「わかってるなら早く帰ってくれないかな」
「やだね。俺今来たばっかだし」
バチバチッと火花が飛び交う。
うわあ、やっぱり仲悪い。えーどうしよう、アゼン様と仲の良いダリルを攻略するつもりだったから、最初は3人で交流を深めればいーやくらいに思っていたけれど、アゼン様の前でダリルと喋ったら怒られそうだな。
同時攻略はやっぱり難しいって。どうにかして隙を見つけるしかないか……。
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