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裏の物語
絶対悪の考え
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私はコーネリア・ミシェル。
現在、私は友人の華やかな結婚式で幸せそうな風景に、自分のことのように喜びながら拍手を送っている。
周りには「昔はとても敵対していたが現在では仲良しになった人」という何も疑われない位置に立っていることだろう。
彼女自身も何の疑いもかけず、目が合うと私に笑いかけてくる。
ああ、これだから貴女は・・・
バカだっていうのよ!!!
誰があんな安っぽい言葉で心変わりするっていうの?
そもそも私が主人公である世界で何で説教されなきゃいけないのよ、理解できないわ。
章介だって別にそこまで執着ないわよ、でも私のモノにならない男なんて鬱陶しくて、そいつが不幸になる方法が単にあの忌々しい女がいなくなることだったってわけ。ちょっと言葉を零せばあとはぜーんぶ東吾がやってくれるんだもの。ただ、死ぬとは思わなかったけど。
正直、そこに関しては気の毒に思うわ、東吾がそこまでやるとは思っていなかったんだもの。
もう少し優しい言い方をすれば良かったわね、でも殺せとまでは言ってないし、東吾のせいよね、私のせいじゃないわ。
ディズだって別に本気で好きとか言ったけどそうでもないわ、あのルートが私が一番幸せになれるルートだったんだもの。一国の王女よ?それ以外にないじゃない。
そしたら、またあの女が邪魔する。流石に私だって殺してやりたいほどにむかついたわ。
しかもここは私のための世界だっていうのにゲームと全然違うじゃない!?イベントも全然起きないし、攻略対象は他に恋人がいるし訳がわからないわ。
あああ、思い出したら腹が立ってきた。でも、ここで顔に出したら今までの演技が全部水の泡。耐えろ、耐えるのよ私。
「コーネリア、式は終わりましたよ?大丈夫ですか?」
ヴィンが覗き込みながら私に話しかけてくる。
あら、いけない、考え事が長すぎたみたいね。
「ええ、大丈夫よ、ごめんね?」
私はにこりと笑みを浮かべてヴィンの問いに答える。
とりあえず、私はヴィンとは良き友人だが私は彼に好意を抱いている・・・ということになっている。
私的には東吾の次くらいに使えるやつなのでとりあえず好意を示している、だけ。
別に本当に好きとかはないし、利用しやすいから一緒にいるだけ、まあヴィンも割と私の好意に対して満更でもなさそうだし、だから私も側にいるんだけど。
まあ、下僕並だったころと比べちゃうと利用はしにくいけどね。
「アルフに会いに行きますか?」
「ええ、そうね、行きましょう。」
結婚式まではあえて何もしなかった、だって一応ディズを狙っていたんだもの、何かあったら疑いがかかるわ。
でも、結婚してしまえば多少はその可能性が減る。計画は慎重に練ってある。次こそは、失敗なんてしないわ、絶対に不幸な目に合わせてやるんだから。
そう考えながらアルフの元に着く。周りを見渡すと魔王に彼女の弟や妹、執事がいる。そしてすごく私を睨んでくる。なんなのよ、何睨んでるのよ。
正直、あの人たちは要注意で警戒しなければいけない。
「アルフ、結婚おめでとう。」
「あ、コーネリア!ありがとう。」
私がアルフにいうと、彼女はにっこりと幸せそうに笑う。
なんてアホ面、こんなんに負けたなんてほんとに考えたくない、あーほんと死んでくれ。
そもそも、どうしてあれだけのことがあっても尚、未だに私を信じることが出来るの?意味がわからない。
頭が沸いているとしか思えない、平和ボケてるのかしら。私が貴方の立場だったら速攻で死刑にしてるわよ。
砂糖みたいに甘い考え方が仇になったようね。
「それじゃあね、楽しんでいってよ。」
「ええ、ありがとう。」
なんであんたの結婚式を楽しまなきゃいけないのよ、訳わかんないわ。
挨拶もしたし、早々にこんな胸糞悪い場所出て行ってやる。
「もう帰るのですか?」
出口へ向かう私にヴィンが問いかけてくる。
「ええ、あんまり具合が良くないの。」
「ちょっと待っていてください、私が家までお送りしますから。」
「気にしないでよ、従者がそばにいるもの。」
「そうですか・・・気をつけてください。」
私はにこりと笑いかけて会場をあとにする、一人の従者を連れて。
「あなたと一緒なだけで十分に安心だもの、他の人はいらないわ。」
「それはありがとう優奈ちゃん。あ、間違えた、コーネリアちゃん。」
「その態度、他の人の前でやったら殺されるし、むしろ私が殺すわよ、東吾。」
「いやいや、もう死んでるし。」
この前、輪廻転生の輪に戻った東吾がここにいるのを不思議に思う人は多いでしょう。
『クレアの送魂術』を使うことが出来るのは私、だから何度東吾が消えても呼び戻せる。
「ちゃんと場は弁えてるつもりだよ。」
うんうん、と東吾は頷きながら従者らしくない態度で私の隣を歩く。
こうして東吾がいてくれるのは本当にとても助かる。
東吾はかなりハイスペックなので何を指示してもそつなくこなしてくれる、私の計画に限らず普段の身の回りの世話に対しても。
こちらの世界に来てから、私は割と東吾がいないとダメなんだと思った。
前世でも、実はなんでも東吾にやってもらっていたから。
魔力など全然ない、魔術など使えない・・・と見せかけておいて、東吾をどうにかこっちに来させられないか調べた結果『クレアの送魂術』を見つけだし、幼いながらにも東吾を呼び出した。
私の執事だった若い男の中に東吾の魂を入れた。ヴィンに移し替えたのは、アルフに近づかせやすいことと傷つけることが出来ないと踏んだから。
そして消滅した魂をもう一度呼び戻して、もう一度今までの身体に入れ込みそして今に至る。
「それで、今度はどうするの?」
「さあ、計画は練っているけどまだまだ甘いわ、今度は下手に殺さないでよね。」
「せっかく優奈ちゃんのために殺ったのに・・・。」
東吾はぶーっと口をとがらせる。
だって、殺してしまったら苦しいって気持ちも味あわせられないじゃない。
どうしようかしら、重大な罪を濡れ衣的に着せてディズを失望させて味方全部いなくならせて・・・なんて考えてるけど、全部なかなか大変そうよね。
ああもう、何か効果的な方法はないかしら。そう考えてると目の前に人が現れる。
「・・・一体、魔族ごときが私になんのようかしら。」
「あら、聞く人によっては差別に聞こえそうな言い方ね。」
魔族の一人がふふっと妖艶にほほ笑む。
そこには魔族幹部が3人ほどいた。
一人は今言葉を発した女、レイメイ・スチュアート。
「・・・よく考えてから発言した方がいいぞ、小娘。」
一人は冷静そうな男、ゲルド・カルム。
「いいえ、忠告しようと思いましてね。妙なことを考えているのなら、容赦なく魔族は貴方を敵とみなしますよ。」
そして最後は常にアルフの側にいる執事のシュロム・マーキュエル。
「あら、なんのことかしらね?」
私はにこりと微笑んでいう。
その笑みを見て、シュロムはちっと舌打ちを打った。
「用はそんだけかよ、だったら通してもらうぜ。」
東吾が険しい顔をして、3人を睨みながら私の手を取って歩く。
次の瞬間、シュロムがぎゅんっと移動してきて東吾に蹴りを入れた。
東吾はそれを回避してざっと構える。
「なんのマネだよ。」
「久坂 東吾、俺はお前を絶対許さねえ・・・あんたもだけどな。」
シュロムは東吾を睨んでから、次に私をキッとにらむ。
「あんた、誰だよ。」
「貴方に教えることなんて、何一つありませんよ。」
シュロムが、ゴッと東吾に蹴りをいれる。ぐっと鈍い声をあげて、東吾はうずくまった。
「シュロム、アルフ様が探しているらしい、戻るぞ。」
ゲルドの呼びかけにシュロムはコクリと頷いてて急いでその場を去った。
本当にわざわざ忠告に来ただけなのか。
その場にはレイメイ一人が残る。
「あんたたち、シュロムを敵に回すとめんどくさいわよ?」
レイメイは、んふふっと笑う。
「まあ、あたしたちはあんたたちのことを許す気なんか無いけど。」
最後に冷酷な表情を私たちに向けてから「じゃあね」と笑みを浮かべてレイメイも去った。
私は東吾に駆け寄る。
「東吾、大丈夫?」
「あ、ああ・・・いってて、あいつ容赦ねえな。」
東吾は腹を抱えながら立ち上がる。
しかし、こんなことで計画をやめるわけがない。
どうしてどいつもこいつも主人公である私の邪魔をするのかしら。
あんなモブですらない奴らに、こんなことされるなんて。
ああもう、邪魔なやつら全員消えてしまえばいいのに。
それもこれも全部あいつのせいだ、あああああ、もう憎らしい!!!
絶対にあんたのこと、不幸にしてやるんだから。
現在、私は友人の華やかな結婚式で幸せそうな風景に、自分のことのように喜びながら拍手を送っている。
周りには「昔はとても敵対していたが現在では仲良しになった人」という何も疑われない位置に立っていることだろう。
彼女自身も何の疑いもかけず、目が合うと私に笑いかけてくる。
ああ、これだから貴女は・・・
バカだっていうのよ!!!
誰があんな安っぽい言葉で心変わりするっていうの?
そもそも私が主人公である世界で何で説教されなきゃいけないのよ、理解できないわ。
章介だって別にそこまで執着ないわよ、でも私のモノにならない男なんて鬱陶しくて、そいつが不幸になる方法が単にあの忌々しい女がいなくなることだったってわけ。ちょっと言葉を零せばあとはぜーんぶ東吾がやってくれるんだもの。ただ、死ぬとは思わなかったけど。
正直、そこに関しては気の毒に思うわ、東吾がそこまでやるとは思っていなかったんだもの。
もう少し優しい言い方をすれば良かったわね、でも殺せとまでは言ってないし、東吾のせいよね、私のせいじゃないわ。
ディズだって別に本気で好きとか言ったけどそうでもないわ、あのルートが私が一番幸せになれるルートだったんだもの。一国の王女よ?それ以外にないじゃない。
そしたら、またあの女が邪魔する。流石に私だって殺してやりたいほどにむかついたわ。
しかもここは私のための世界だっていうのにゲームと全然違うじゃない!?イベントも全然起きないし、攻略対象は他に恋人がいるし訳がわからないわ。
あああ、思い出したら腹が立ってきた。でも、ここで顔に出したら今までの演技が全部水の泡。耐えろ、耐えるのよ私。
「コーネリア、式は終わりましたよ?大丈夫ですか?」
ヴィンが覗き込みながら私に話しかけてくる。
あら、いけない、考え事が長すぎたみたいね。
「ええ、大丈夫よ、ごめんね?」
私はにこりと笑みを浮かべてヴィンの問いに答える。
とりあえず、私はヴィンとは良き友人だが私は彼に好意を抱いている・・・ということになっている。
私的には東吾の次くらいに使えるやつなのでとりあえず好意を示している、だけ。
別に本当に好きとかはないし、利用しやすいから一緒にいるだけ、まあヴィンも割と私の好意に対して満更でもなさそうだし、だから私も側にいるんだけど。
まあ、下僕並だったころと比べちゃうと利用はしにくいけどね。
「アルフに会いに行きますか?」
「ええ、そうね、行きましょう。」
結婚式まではあえて何もしなかった、だって一応ディズを狙っていたんだもの、何かあったら疑いがかかるわ。
でも、結婚してしまえば多少はその可能性が減る。計画は慎重に練ってある。次こそは、失敗なんてしないわ、絶対に不幸な目に合わせてやるんだから。
そう考えながらアルフの元に着く。周りを見渡すと魔王に彼女の弟や妹、執事がいる。そしてすごく私を睨んでくる。なんなのよ、何睨んでるのよ。
正直、あの人たちは要注意で警戒しなければいけない。
「アルフ、結婚おめでとう。」
「あ、コーネリア!ありがとう。」
私がアルフにいうと、彼女はにっこりと幸せそうに笑う。
なんてアホ面、こんなんに負けたなんてほんとに考えたくない、あーほんと死んでくれ。
そもそも、どうしてあれだけのことがあっても尚、未だに私を信じることが出来るの?意味がわからない。
頭が沸いているとしか思えない、平和ボケてるのかしら。私が貴方の立場だったら速攻で死刑にしてるわよ。
砂糖みたいに甘い考え方が仇になったようね。
「それじゃあね、楽しんでいってよ。」
「ええ、ありがとう。」
なんであんたの結婚式を楽しまなきゃいけないのよ、訳わかんないわ。
挨拶もしたし、早々にこんな胸糞悪い場所出て行ってやる。
「もう帰るのですか?」
出口へ向かう私にヴィンが問いかけてくる。
「ええ、あんまり具合が良くないの。」
「ちょっと待っていてください、私が家までお送りしますから。」
「気にしないでよ、従者がそばにいるもの。」
「そうですか・・・気をつけてください。」
私はにこりと笑いかけて会場をあとにする、一人の従者を連れて。
「あなたと一緒なだけで十分に安心だもの、他の人はいらないわ。」
「それはありがとう優奈ちゃん。あ、間違えた、コーネリアちゃん。」
「その態度、他の人の前でやったら殺されるし、むしろ私が殺すわよ、東吾。」
「いやいや、もう死んでるし。」
この前、輪廻転生の輪に戻った東吾がここにいるのを不思議に思う人は多いでしょう。
『クレアの送魂術』を使うことが出来るのは私、だから何度東吾が消えても呼び戻せる。
「ちゃんと場は弁えてるつもりだよ。」
うんうん、と東吾は頷きながら従者らしくない態度で私の隣を歩く。
こうして東吾がいてくれるのは本当にとても助かる。
東吾はかなりハイスペックなので何を指示してもそつなくこなしてくれる、私の計画に限らず普段の身の回りの世話に対しても。
こちらの世界に来てから、私は割と東吾がいないとダメなんだと思った。
前世でも、実はなんでも東吾にやってもらっていたから。
魔力など全然ない、魔術など使えない・・・と見せかけておいて、東吾をどうにかこっちに来させられないか調べた結果『クレアの送魂術』を見つけだし、幼いながらにも東吾を呼び出した。
私の執事だった若い男の中に東吾の魂を入れた。ヴィンに移し替えたのは、アルフに近づかせやすいことと傷つけることが出来ないと踏んだから。
そして消滅した魂をもう一度呼び戻して、もう一度今までの身体に入れ込みそして今に至る。
「それで、今度はどうするの?」
「さあ、計画は練っているけどまだまだ甘いわ、今度は下手に殺さないでよね。」
「せっかく優奈ちゃんのために殺ったのに・・・。」
東吾はぶーっと口をとがらせる。
だって、殺してしまったら苦しいって気持ちも味あわせられないじゃない。
どうしようかしら、重大な罪を濡れ衣的に着せてディズを失望させて味方全部いなくならせて・・・なんて考えてるけど、全部なかなか大変そうよね。
ああもう、何か効果的な方法はないかしら。そう考えてると目の前に人が現れる。
「・・・一体、魔族ごときが私になんのようかしら。」
「あら、聞く人によっては差別に聞こえそうな言い方ね。」
魔族の一人がふふっと妖艶にほほ笑む。
そこには魔族幹部が3人ほどいた。
一人は今言葉を発した女、レイメイ・スチュアート。
「・・・よく考えてから発言した方がいいぞ、小娘。」
一人は冷静そうな男、ゲルド・カルム。
「いいえ、忠告しようと思いましてね。妙なことを考えているのなら、容赦なく魔族は貴方を敵とみなしますよ。」
そして最後は常にアルフの側にいる執事のシュロム・マーキュエル。
「あら、なんのことかしらね?」
私はにこりと微笑んでいう。
その笑みを見て、シュロムはちっと舌打ちを打った。
「用はそんだけかよ、だったら通してもらうぜ。」
東吾が険しい顔をして、3人を睨みながら私の手を取って歩く。
次の瞬間、シュロムがぎゅんっと移動してきて東吾に蹴りを入れた。
東吾はそれを回避してざっと構える。
「なんのマネだよ。」
「久坂 東吾、俺はお前を絶対許さねえ・・・あんたもだけどな。」
シュロムは東吾を睨んでから、次に私をキッとにらむ。
「あんた、誰だよ。」
「貴方に教えることなんて、何一つありませんよ。」
シュロムが、ゴッと東吾に蹴りをいれる。ぐっと鈍い声をあげて、東吾はうずくまった。
「シュロム、アルフ様が探しているらしい、戻るぞ。」
ゲルドの呼びかけにシュロムはコクリと頷いてて急いでその場を去った。
本当にわざわざ忠告に来ただけなのか。
その場にはレイメイ一人が残る。
「あんたたち、シュロムを敵に回すとめんどくさいわよ?」
レイメイは、んふふっと笑う。
「まあ、あたしたちはあんたたちのことを許す気なんか無いけど。」
最後に冷酷な表情を私たちに向けてから「じゃあね」と笑みを浮かべてレイメイも去った。
私は東吾に駆け寄る。
「東吾、大丈夫?」
「あ、ああ・・・いってて、あいつ容赦ねえな。」
東吾は腹を抱えながら立ち上がる。
しかし、こんなことで計画をやめるわけがない。
どうしてどいつもこいつも主人公である私の邪魔をするのかしら。
あんなモブですらない奴らに、こんなことされるなんて。
ああもう、邪魔なやつら全員消えてしまえばいいのに。
それもこれも全部あいつのせいだ、あああああ、もう憎らしい!!!
絶対にあんたのこと、不幸にしてやるんだから。
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