【更新停止中】残された者に祝福を

鳥居之イチ

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第一章 俺は母を殺してしまったのだろうか。

008

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  「ここからは少し気分を害することを聞くかもしれない。でもこれは君のメリデメを解き明かすために聞くことなのを近いしてほしい。」

 「わ、わかりました。」



 急に真面目な感じになって、緊張してきた。思えば最初が失礼すぎたので、今更何言われても気分を害することはないと思う。なんとなくだけど。



 「君はあの日、母親の葬式の時に想っていたことを聞かせてくれるかい?」

 「あの日ですか。あの日は悲壮感といいますか、自分が生まれたことを悔やんでいました。なんで俺なんかが生きてるんだろって。」

 「それは・・・どうしてそう思ったんだい?」

 「父親と離婚してから、女手一つで俺を育ててくれた母親に何もしてやれないままだったんです。俺さえ生まれていなければ、メリデメが発現していれば父親と離婚することもなかっただろうし、女手一つで大変な思いをすることもなかったんじゃないかって、そう思ったからです。」



 気分が落ち込む。いざ口に出すとくるものがある。水面さんの言葉で気分を害したわけじゃない。そもそも気分は害していない。俺がずっと思っていたけど、隠していた感情なだけだ。



 「愛されてなかったの?」

 「え?」

 「だから、母親からの愛情を感じることはなかったの?」

 「そ、そんなことはない!愛情は感じていた!」



 強く言い放った。
 そうだあの口癖の呪文。そしてあの仕草。俺はいつも愛情を注いでもらっていた。いつも母親は笑顔だった。でも俺が母親に何もしてやれてないのは事実。母親のやりたいことをさせてあげたかった。働いて稼げるようになったらたくさん旅行とか連れて行ってやりたかった。もっと、もっと、もっと、俺に力があれば。



 「そっか。それじゃあ君のそれは、自分勝手な妄想だよ。」

 


 そんなわけがない。たしかに愛情をたくさん、俺一人じゃ抱えきれないほどに注いでもらった。



 「妄想じゃない!俺は確かに愛情を感じていた!」

 「あ、ごめん。そっちじゃない。」

 「え?」

 「ごめん。言葉足らずだったね。僕が自分勝手な妄想だと言ったのは、生まれてこなければ~とか、メリデメが発現していれば~とか。そっちのこと。愛情を感じていたんだろ。なら君のそれは勝手な思い込みだよ。母親から生まれてこなければ良かったなんて言われたことあるのかい?ないだろ。それは自分の親に対する冒涜だよ。」

 「言われたことはないです。でもそう思っていたかもしれない。」

 「それが妄想だって言ってんの。現に愛情を注いでもらっていたんだろ。相手の気持を勝手に想像して、勝手に落ち込むのは悪いところだと思うよ。」

 「・・・・・」

 「・・・おそらくだが、君は母親としたいことやしてほしいことがあったんじゃないのかい?」

 「どういう意味ですか?」

 「葬式のとき、君は母親に何かを願ったとかしていないかい?」

 「願う?」

 「そう。最後に話したかったとか。もう一度共に食事をしたかったとか。」

 「はい、最後にもう一度話したいと願ったような・・・。」

 「なるほどね。とりあえず、君の大体のメリデメの予想はついたよ。」

 「え、本当ですか?さすがその道の人といいますか、、、」

 「ただあくまで予想なんだよ。メリデメを確定させるためにはもう少し実験というか、検証を行いたい。そのためには準備が必要なんだよ・・・・ちょっと時間がかかる。更に予想段階ではあるが、君のメリデメはすこーし特殊よりかもしれなくてね。君さえ良ければ今日はこの事務所に泊まっていってほしい。」

 「特に予定があるわけじゃないですが、そろそろ大学にいかないと行けなくてですね。そもそも今日は大学に行く予定だったんです。その途中でご飯とかも食べようと思っていたくらいで。」

 「大学か。それは大丈夫。なんとかなるよ。」

 「なんとかなるんですか?」

 「ん~、僕はいろいろなところで顔が利くんでね。」

 「国家資格保有者ってすごいんですね。」

 「どうだろ。同じ資格持っててもあんまり顔は利かないかもね。僕だけかも。」

 「え?」

 「まぁじゃあ今日は泊まっていくってことで!夜何食べたい?出前を取ろうか。」

 「・・・ッシ」

 「もう一回お願いできる?」

 「スシが食べたいです。」

 「遠慮がなくなってきたね。うん、スシ食べようか。」
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