【更新停止中】残された者に祝福を

鳥居之イチ

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第二章 それは自殺かそれとも他殺か

021

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 次の日も訓練は続いた。
 といっても、宇田津さんがメリットの発動と停止を繰り返し、俺が手を取ってそれを感じ取る。
 今日は朝からぶっ続けで2時間。宇田津さんの顔色が優れなくなってきたため、一時休憩をすることになった。




 「俺のために・・・せっかくのお休みなのにすみません。大丈夫ですか?」




 俺は宇田津さんに声をかけながら、水を渡す。




 『大丈夫だよ。ありがとうね。』

 「いえ、俺のせいでもあるので・・・」

 『気にしないで。ちゃんと報酬はもらってるしね。』

 「それでもですよ。」

 『ちなみに言っておくけど、デメリットの影響じゃないからね。』

 「え?」

 『ただ単にメリットを連続使用したツケだよ。エネルギー消費をしただけだよ。ここにはメリットを発動させる対象がいないからね。デメリットは発生しないんだよ。実際に発動させているわけじゃないから。』

 「・・・・・今日は何が食べたいですか?」

 『そうね。今日は消化に良いものをお願いしようかしら。うどんとかでいい感じの作れる?』

 「はい。お任せください!」

 『よろしくね。私はこのまま少し寝るよ。できたら起こしてね。』



 そう言うと、宇田津さんはソファに横になった。
 メリット使用によるエネルギー消費はどの程度のものなのだろう。
 水面さんが使い続けていればいずれ慣れるのようなことを言っていた気がするけど、慣れでどうにかなるものなのだろうか。
 しかも俺はその現在あのファミレスのとき以外であんなにもエネルギー接種をしていない。
 何かあるのだろうか?
 そんなことを考えながら、スーパーに買い出しに行く準備をする。




 「水面さん、スーパー行ってきますね!ついでに買ってきてほしいものとかありますか?」

 「もうそんな時間かい?そうだね・・・キャベツがあったら買ってきてほしいかも。」

 「キャベツですか?いいですけど、キャベツ料理作ったほうがいいですか?」

 「あ~、違う違う。食べるのは僕じゃないよ。モルモットたちだよ。」

 「そういえばそうでしたね。忘れてました。わかりました!買ってきます。」

 『ボクも一緒に行きますよ。』

 「佐々木さん!いらしてたんですか!」

 『はい、水面さんに用がありまして。いかれるのは横にあるスーパーですか?』

 「そうですけど、大丈夫ですよ!お気遣いいただきありがとうございます。」

 『いえ、少し気になることがあるので、付いていきます。お邪魔でしたらいないものとして扱ってください。』

 「そんな!邪魔だなんて!」

 「つばめくん、一緒に行ってきな。これも甘える訓練だよ。」

 「うっ・・・そ、それじゃ佐々木さん。お願いします。」

 『はい、行きましょう。』




 そういって佐々木さんは俺に手を差し伸べてきた。
 え、手を繋いで行くのか?
 いや、イケメンはエスコートにも慣れてるってことだろうか。
 何にせよ、俺が触れると強制が働くからそれはできない。



 「ごめんなさい。嫌とかではないんですけど、メリットの関係で触れられないんです。」

 『え、あ、ごめん!癖で手を出してしまったね。瞬間移動するかと思ったからつい。』




 はっず!!!!!!!
 手をつなぐのかと思ってたのはっっっっっっず
 本当に恥ずかしい。
 そりゃそうだろ、手を繋ぐ意味がわからない。
 そう言えば、移動系のデメリットで車酔いに近いものだっけ?
 少しの移動で使って、佐々木さんはしんどくないのか?




 「少し答えづらい質問してもいいですか?」

 『内容にもよりますけど、どうぞ。』

 「・・・・移動系のデメリットは車酔いに近いものだと聞いたことがあります。他者のデメリットについて聞くのはNGだとは知ってますが、そんな少しの距離で使ってて、体調とか大丈夫なんですか?」

 『ん~、そうですね。裏技使ってるので、そこまでの影響はないって回答をしておきましょうか。』

 「裏技?」

 『ですよね、水面さん?』



 そう言って、佐々木さんは水面さんのほうを見た。





 「つばめくん、ダメだって聞いたら。しかも警察相手に。」

 「す、すみません・・・・」

 「裏技ね・・・・。そんなの佐々木くんだけしかできないから、なんとも言えないよ。」

 『お褒めに預かり光栄です。』

 「佐々木さんにしかできないことですか?水面さんの生成したものとかで負担を軽減してるとかですか?」

 「違うんだよね。佐々木くんは天才なんだよ。移動系において佐々木くんの右に出るものはいないくらいにね。」

 『この辺にしましょ。火野くんスーパーに行きましょ。ボク自身の話されるのは恥ずかしいです。』




 恥ずかしいのは本当なのだろう。少し顔が赤い。
 イケメンでも恥ずかしがることってあるんだ。
 そんなことを思いながら、俺は佐々木さんとスーパーへ出かけた。

 買うものはもちろんキャベツそしてうどん。
 その場で佐々木さんの食べたいものを聞き、生姜焼きが食べたいとのことなので、豚とタレ。追加のキャベツを買うことにした。

 スーパーからの帰り、佐々木さんは買い物袋を持ってくれた。
 やっぱりイケメンだ・・・。




 「持ってもらっちゃってすみません。そう言えば水面さんには何の用事だったんですか?」

 『この間の水のない溺死事件を覚えているかな?ボクと初めて会ったときの事件だけど、被害者が恨みを買ってそうかつ、被害者と友好関係にあった人物のリストがまとまったからね。その報告に来ていたんだよ。』

 「そうだったんですか?すみません。てっきり本日お休みなのかと思ってました。」

 『休みだよ。でもこういった仕事だからね。休みでも動くことがあるんだよ。』

 「大変ですね・・・。ゆっくり休日満喫できないと彼女さんとか大変じゃないですか?」

 『彼女ね、いないんですよね。』

 「え!こんなにかっこいいのに?こんなにイケメンなのに?あ、もしかして彼氏さんでしたか?すみません、勝手に性を判断してしまって。」

 『はは、ありがとうございます。彼女も彼氏もいないですよ。こういう仕事をしているとね、なかなか。しかもボクが所属している部署は危険を伴うことも多いですし、最悪恨みを買って身内や恋人が襲われる可能性もあるから。そう考えて作らないって感じかな。』

 「やっぱりかっこいいですね。」

 『え?』

 「無意識かもしれないですけど、優しさに溢れてますよね。恋人を作らないのは守りたいからですよね。今だって買い物袋持ってくれたり、俺の身をあんじてスーパーにも付いてきてくれて、優しいですよ。そういうところかっこいいです。」

 『・・・ありがと。外見ばかり見られることが多いから、そうやって見てくれるのは嬉しいよ。』




 イケメンって微笑むだけで、こんなにも破壊力があるのか。
 ずるいな。
 生姜焼きは佐々木さんの分だけ多めに作ってあげよ。

 事務所に戻ってからすぐに食事の準備を進めた。
 生姜焼きにうどん。追加ですぐ食べれるようにおにぎりをいろんな具で作っておく。
 水面さんはおにぎりに感動していた。
 佐々木さんは生姜焼きを微笑みながら食べていた。
 宇田津さんも起こしにいってうどんを渡した。茹でただけなのに美味しい美味しいと言ってくれる。
 嬉しい。

 皆が食べ終わり、訓練の続きをするのかと思ったが、そうではなかった。
 事務所の客間に全員が集まって、話し合いが始まった。




 『佐々木がまとめてくれた容疑者候補を元に、話を進める。』

 『候補は3名です。

  一人目は黒田大輝(くろだたいき) 27歳 警備会社で夜勤警備を担当。
  被害者とは恋人関係にあったとのこと。
  メリットは操作系で操作対象は自身の血液。

  二人目は長友達也(ながともたつや) 25歳 警備会社で広報を担当。
  被害者とは元恋人関係であり、3年前には別れている。
  メリットは生成系で生成できるものはアルミ金属。

  三人目は山本恵(やまもとめぐみ) 24歳 警備会社で事務員をしている。
  被害者とは同じ部署で同期の友人関係。
  メリットは能力強化系で主に聴力を強化しているとのこと。

  以上、3名です。』

 『最有力候補は黒田だね。操作系のメリットで操作対象も液状のモノに分類されるからね。』

 「黒田に大きな傷跡はあるかい?」

 『すみません、そこまでは調べられておらず。調べましょうか?』

 「うん。できればお願いしたいかな。肺を埋め尽くすほどの血液を操作したとなれば、それなりの出入り口があるはずだからね。」

 『わかりました。すぐに調べます。』

 「あ、あの~。」

 『どうしたつばめん?』

 「この話俺が聞いてていいんですか?」

 『え、いいでしょ。』

 『水面さんの助手ですもんね。問題ないと思いますよ。』

 「だって、何か意見があったら言ってね!あ、今回は容疑者絞れてるから、犯人を当てようとしていいよ。」

 「なんか軽くないですか?俺ただのアルバイトですよ。」

 「でも僕の助手だからね。アルバイトでも関係ないよ。」




 大丈夫なのだろうか?
 警察と一緒に事件を解決!なんて男子なら憧れる要素しかないけど、本当にいいのか?とかいう感情の方が勝っている。
 でも。。。。。




 「あの、犯人て・・・・」
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